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手すりは「下地」があってこそ

前回『手すりの「強さ」は手すり棒とブラケット・ジョイントなど部材の合わせ技だ』とお話させていただいたのですが

大事なことを忘れていました。
下地。手すりを取付ける、壁の下地です。

設置する壁(もしくは床)がベッコベコだと、手すりがどんなにしっかりしていても意味がありません。


まず、住宅の壁の構造ってどうなってるの?

アレコレ欲張ると話が広がりすぎるので、今回は日本の住宅では代表的な在来木軸工法の壁を例に。


真壁(しんかべ)

真壁の構造

つい「まかべ」と読んでしまうあなた!おめでとうございます同世代です!

和室に多い壁です。柱が露出していて、柱と柱の間に土壁やジュラクや漆喰など和風の壁が塗りこめられています。
竹を編んだ「小舞竹下地」「木擦り下地」などがありますが、強度の問題から壁へ手すりブラケットを固定することはできません。

手すりの固定は、見えている柱を狙いましょう。

手すりは柱に直接固定するか、ベースプレートなどを柱に渡して。

大壁(おおかべ)

大壁の構造

そういえば近所に大壁君という友達がいました。いま思うと珍しい。

最近の住宅はこちらのほうが多数派ですね。
耐火性・施工性・経済性などから、石こうボード(プラスターボード)を壁下地に使うことが多いのですが、石こうボード自体に強度はありません。
もちろん、手すりの下地としてもダメ。

柱や間柱など、石こうボードの裏に隠れている下地を狙う必要があります。壁の裏は見えませんが、市販されている下地探し用の道具を使えば大丈夫!

大壁は石こうボードの裏に隠れた下地をしっかり探しましょう。

じゃあ、下地がないところに手すりをつけたらどうなる?

お家では実験できないことを、マツ六がかわりにやっておきました。
怖いもの見たさってありますよね。あるある。
絶叫マシーン避ける系の方は、動画をパスして下の画像でどうぞ。

(強度試験の様子は動画の00:37くらいからです)

約20kgfの荷重をかけただけでこの有様。

※私はこの試験、とおおおおおおーーくから見ていました。

ちなみに同様の試験を、石こうボード12.5mm厚+木下地20mm以上のところへ固定した手すりで行うと、120kgfの荷重をかけても異常は見られませんでした。強い子よい子。

下地、いる、ゼッタイ。

ということで、手すり本体には強度があっても、取付ける壁の下地によってその強度は著しく低下します。
安心して手すりをご使用いただくために、まずは取付ける壁や床下地の種類、強度をお確かめくださいね。


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