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web3search V2 の反省会②(プロダクトの価値編)

どうも、まった(@maztak_)です。前半に引き続き web3search の反省会②「プロダクト自体の価値編」です。前半はそもそもの背景とローンチ方法の反省を書いているのでもしご興味ある方はこちらへ。

さて、noteを書くことが仕事でもないんですが、さっとまとめます。


新しさがユーザー的に微妙だった

今回のDAppsはサイトの登録(Index)と検証(Validate)とをすべてオンチェーンで管理しています。つまり、フロントエンドとなるWebサイトとブロックチェーン上のContact(取引履歴だけでなく、データ自体(=サイトのURL等)もここに保存されます)しかありません。

一般的なアプリで必要なDetaBaseやバックエンド(DBとフロントエンドとの間に入り、フロントエンドからの命令をうけDBのデータを読み取ったり、書き込みしたり、更新したりします)もありません。

この辺のIndexとかValidateとかの専門用語や、技術的な背景でしか説明できていないこともよくないですが‥。

で、重要なのは「ユーザー的には普通のアプリでできることをわざわざガス代を払ってやらないといけない感」があり、今までと変わらないし何なら逆に不便になってると感じさせてしまったと思います。

履歴が改ざんできないとしても、普通のWeb2アプリでもデータが改竄されたりとか普通ないですもんね‥。TwitterがNFTのpfp(プロフィール画像)に対応した時に、たとえそれに対応していないPolygonのNFTであっても(※1)急にNFTの本質的価値が上がったように感じたのは、「技術的にこのアイコンのTwitterユーザーは世界中で1人しかありえない」ということを証明できるようになったからだと思ってます。

だから「インデックスと投票(サイトの検証)」がオンチェーンで管理されていることに意味があると思っていたのですが、ちょっと運営の勘違いだったというか‥。

※1:Twitterのプロフィール画像は現状EthereumチェーンのNFTにしか対応していない。

ツールよりも記事?

あんまりアンケートも当てになりませんし、9票のアンケートですが、フィッシングサイトに引っかかるリスクよりも、そもそも「良質なWeb3関連の情報がGoogleででないこと」の方が課題感が高かったのかなと。課題の見極めミスった感があります。

逆にフィッシングサイトに引っかかるのは(Googleで「polygon」と検索すると広告枠にフィッシングサイトがでてきたりします)、ネットリテラシーがそもそもそんなに高くない人、EthereumとかPolygonとかよくわからないし、なんか儲かるって聞いて教えてくれる人いないけどやって見る人ですよね(そんな人ホントに実在するのか‥?)。

もし「フィッシングサイトが出てきません」という価値を訴求するなら、こういった人たちがいる場所で(Twitterにはほぼいないかな)、この人達にもわかりやすいようなプロダクトやリリースの仕方をするべきでした。

MVPは高期待値、β版は?

また MVP と位置づけて作ったNotionページとツイートですが、ツイート自体はスモークテスト的な側面がつよかった。つまり「こういう製品があったらいいですよね」的なデモ動画をみせてニーズがあるかどうか探る感じです。

というかここでも「フィッシングサイトに引っかからない」とかじゃなくて、「Web3.0関連で何かしたいと思った時に、役立つサイト・ツールに案内してくれる検索サービス」と謳ってますね‥。

そして、ここで言いたかったのはこういったMVPやスモークテストで期待するプロダクトの価値と、実際に今回ローンチしたβ版の価値があまりにもかけ離れていること。

特に検索エンジンなんて、極論MVPのNotionや、何かの文章を文字列マッチでヒットさせる検索フィールドがあるサイトなら、まぁ最低限と言えてしまうわけです。

ぷちバズしたツイートでイメージするのは「Web3に特化したGoogle並みの精度を持つ検索エンジン」であって、β版は特にインデックスしているサイトの数が圧倒的に少なすぎる。

「どんなものも最初はゴミだった」とたしか Zero To One とかに書いてましたが、Web2の頃からずっとこのβ版の期待値の落差問題はずっとあったと思い出さされました‥。

勲章NFT

またweb3searchでのコンセプトでは勲章NFTという譲渡不可のNFTをユーザーに付与して、サイトの登録や検証に応じてそれをレベルアップしていくことで、ユーザーの信頼するしないの1票の重み付けをするものでした。

これはV2では実装はしなかったのですが、こういったNFTやブロックチェーンならではの部分があったら、反応も違ったかもしれませんし、Vitalikが発表して最近話題になってきているSBT(Soul Bound Token) と同じく、検索や投票以外でもWeb3サービスにおける個人の信用度を図る指標として新たな価値を提示できたかもしれません。

これは今後やっていきますし、SBTのことも踏まえて後ほどどうしていくかを話します。

Soul Bound Token について

SBT自体は本来何かの貸付とか、学位証明に使う用途ですが、今回のようなレピュテーションという使われ方も想定されていそうです。金城さんが note 書いてくれてました。

これがV3で実装できないか調べたのですが、現状はまだEIP(Ethereum Improvement Proposal)というERCとして実装される前の提案段階の規格です。

この提案段階の規格を実際にContactに実装していたのは下記の1プロジェクトくらいで、2022年中のEthereumメインネットへの実装とされているものの、まだまだ実験段階のものです(今気づいたけどメインネットに対応してもガス代高すぎて使えないからPolygonはいつになるのか‥)。

しかし Symbol だと SBT の規格と同じ機能を割と簡単に実装できるらしく、また日本人デベロッパーからも Symbol の評判が良いイメージがあり、SBTの実装を待つよりデプロイ先チェーンとして検討する価値がありそうです。

インセンティブの欠如

また勲章NFTと合わせて、何よりも to Earn となるトークンインセンティブを貰えないということも、やはりV2を使ってもらえない、サイトの登録や検証(投票)が増えない原因として大きいのかなと。

V2では実はサイトの1登録ごとに 0.0001eth を貰えるんですが、テストネットなので無意味です。

またそもそもユーザーがもらえるWTSトークンは税制の関係などであくまでサービス内ポイントという位置づけで、他のEtherやJPYCとは交換できず(DEXに上場されないもの)、サービスの月額費用の割引や、サービス内の広告枠の購入などに当てるものでした。

このトークンのインセンティブ設計自体も、やはりせっかくのWeb3のスマートさを殺してしまっているとも思うのですが、それすらも今回のV2では報酬として用意できなかったので、「自分が使うため」としても使うモチベーションではなかなか厳しいようです。登録→検証のUI/UXもまだ全然よくないですし‥。

ただ誰かがツイートされてたんですが、「トークンインセンティブさえ用意すればユーザーは使うと考えるのは危険」と僕も思いますし、STEPNとかをみてると to Earn 系は単純に「〇〇すればトークンあげます」じゃまわらなくて 投資面やマネーゲーム制 + コミュニティや現実世界の市場を広げる(NIKEのスニーカーとコラボとか)を織り込んだ、難しい運営の舵取りが求められるものだと思います。だからこそ、安易に私も考えないよう気をつけます。

福岡市がクリプト特区にならないか

また私が住んでいる福岡市では、まだ提案段階ですがトークンへの認定VCの出資を規制緩和しようという動きがあります。

これはあくまでVC側がへの緩和なので、国内の企業がトークン発行して調達した際の期末税制の問題や、そのトークンをDEX等に上場させる際の暗号通貨交換業の取得問題、また web3search で言うと勲章NFTが証券トークン扱いにならないかなどの種々の問題は未解決です。

ですが、この提案が通って、各クリプトまわりの規制や税制の緩和をする特区に福岡市がなれば、DEXに上場するERC-20トークンをユーザーに還元できる日がくるかもしれません。かなり厳しい道ではありますが‥。

今後どうしていくか

日本の税制や福岡市の特区化、Soul Bound Token の実装の動き(2022年中とされています)なども追って動きたいですが、まずは

  1. 特定のNFTを持っている人だけが〇〇できる機能

  2. サービス内ポイントとしてのWTSトークンの実装

  3. フロントエンドのリファクタリングとContractの改築

を半分R&D(研究開発)的に進めていこうと考えています。

1はメンバーシップNFTを買ってもらった方への特典としても、現状のサポーターズページをNotionから保有NFTと紐付いてどうこうできるページに変えたいですし、SBTとまでいかなくても譲渡不可のNFTを実装するうえでの礎になると思います。
2はトークンの発行自体は thirdweb などで簡単に発行はできるのですが、それをサービスとしてどのように組み込むかどうかをテストしていきます。
3はV2の実装を急いだためにフロントエンド(React)コードが非効率だったり汚かったりするのでそのリファクタリングと、Contractのロジックを後からでも変更できるようにしたり、V3, V4 と新しくなってもデータ(サイトのインデックスや投票結果)だけは同じものを引き継いでつかえるようにするために Proxy Pattern と Eternal Strage Pattern を使ってContract用のSolidityコードを大きく改築する予定です(V2のContract自体は破棄する形になりますが、V4, V5 では引き継げる形)。 

また運営者としての私事なのですが、近々フルタイムで福岡市のクリプト企業で働くことにしました。もともと web3search はサイドプロジェクトという位置づけではありますが、フルタイムで働くかどうかは迷いました。が、先の福岡市の特区化への期待や日本の中でもゲームやNFT以外でかなりクリプトを社会実装し、Uniswapに負けないレベルでプロダクトを作っている技術者集団なので、私自身のWeb3レベルの大幅アップやつながりが増えたりとかなりシナジーがあると思います。

また福岡市×クリプトという立ち位置で今後もやっていく身としては色んな景色や経験をつめるバンテージポイントになるかなと思っています。


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