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読んで分かる!人物イラスト描画#02

 あなたが「人物を描こう」と思い立つキッカケは何ですか?私が予想するに、その大半は二次創作でしょう。それは実在の人物かもしれませんし、既存のキャラクターかもしれません。そして、それを描こうとするならば、一番最初に取る手段は恐らくトレース(トレス)か模写になると思います。この二つは混同されやすく、時にズルのように語られることもありますが、実は絵を描き始めたばかりの初心者にとって、絵の上達にとても効果的な手法です。そこで今回はトレース、模写それぞれについて説明したのち、それぞれがどう効果的に働くのかを述べようと思います。
 
 一つ目、トレースについてです。トレースとは、諸説ありますが、ここでは写真やイラストなどの作品を直接上からなぞる技法を指します。簡単にいうと転写に近いです。
 二つ目、模写は、ある作品を見て、自身の紙の上にそっくりに写していくことを指します。それぞれについて、次から利点を述べていきます。

 まずはトレースです。なぜトレースから先に解説するのか、その理由は「トレースのほうが難易度が低いから」です。あなたが日本人であれば、恐らく書道を一度はやった事があるのではないかと思います。その時にお手本の上に半紙をのせてなぞる、という練習法をしませんでしたか?それがここでいうトレースです。どんなに自分は字が下手だと自認している人でも、その時ばかりは形の整った字が書けるはずです。書道の話はおいておき、私が上げるイラストにおけるトレスの利点は2つです。
 一つ目は達成感を簡単に得られるということです。絵を描いていく上で最終的に敵となるのは、時間や労力です。ゼロから何かを描こうとすれば当然それらは跳ね上がりますが、トレスは最初から完成形が決まっており、そこまでの道も舗装されているため、ゴールにたどり着くのが比較的容易です。
 二つ目は難しい構図の把握です。認識の難しい立体構造を含んだ作品は例え模写しようとしても自分の頭の処理が追い付かずに描けない、という事態になりかねません。しかし、トレスではそれらの構造を構成する線の一本一本をなぞって追いかけることができるため、模写に比べて立体構造を把握することに長けています。
 
 
 次に模写です。先ほど「トレースは模写より難易度が低い」と言いましたが、理由は単純です。模写は線をそのままなぞることができないからです。さらに、模写の場合は被写体と自分の描く紙を同時に視界内に入れることができず、自分が次に描く線を脳内に一度インプットしてから紙にアウトプットする必要があるため、慣れないうちは見た通りの線を引くことが難しいでしょう。これを踏まえた上で、模写の利点はトレースより大きな達成感と経験値を得られるということです。完成形が決まっているのは変わらず、ただゴールにたどり着く難易度が上り、またそれ通りに完成させることが難しい為、被写体に近い物を完成させることができればその達成感はトレースを上回ります。また、構造把握に関しても同様で、「その構造がどうなっているか」を考えながら描くことで、大きな経験値を得られます。
 
 最後に、この記事のはじめに「ズルのように語られることもある」と言いましたが、これは要するに、他者の作品の真似をして自分の絵を描くことに対する罪悪感や屈辱感からくる感情論的な批判です。私の尊敬するプロイラストレーターの先生にさいとうなおき先生という方がいらっしゃいます。この先生の言葉に「絵が上手くなりたければプライドを捨てなさい」というものがあります。はじめは模写でもトレスでもいいのです。実際に世間で評価を受けるほどにいい物を、自分の血肉として取り込んでいく事が、絵を描くうえでの近道になるでしょう。

ご拝読ありがとうございました。少しでもあなたの絵の上達に役立つ情報になっていれば幸いです。

引用 イラストトレスについて – aruseee (wordpress.com)

また、トレースに関する注意点として、いわゆる「トレパク」と呼ばれるマナー違反、違法行為が存在します。他者様の記事ですが、こちらも一読していただけると幸いです。
 
【トレパク】知らずにやってる人は要注意!悪いトレスと良いトレス | MediBang Paint – 無料のイラスト・マンガ制作ツール
 
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