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【社会人/博士/体験記】第13回「アララララーイ‼」

こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!

このマガジンは、
働きながら、「博士後期課程="社会人"博士」
を目指す体験談です。

前回の記事はこちら ↓↓↓


さて、今回は入学式当日の話について書いていきます。

1つの記事あたり、だいたい5分で読めますので、お気軽にスクロールしてみてください!


大学院編に続きます

このふざけた備忘録のようなnoteをご覧のみなさん、ありがとうございます。
当初、入学までは5回くらいまでで終わるつもりだったのですが、無駄にダラダラ進んでいます。
まあ、名作マンガ『ブルーピリオド』でも受験編に予想以上の時間がかかったと6巻の巻末に書かれていたので、そんなもんだと思っています。


アララララーイ

親に見送られるわけでもない、”社会人”の入学式というのはなかなか寂しいものです。

ビジネススクールに入学したときは、
お世話になっているユダヤ教の研究者が「トイレに行きたい」と関係者以外立ち入り禁止のキャンパスまでついてきたため一人ではなかったのですが、
この日は人生で初めて、一人きりで迎える入学式となりました。


たった一人で見知らぬ地へ訪れるときって、不思議な気分になりませんか?

旅行でも仕事でもなんでも、初めての地を一人で訪れるとき、
鳩の頭の中ではいつも、
古代マケドニア軍の鬨の声が響いています。

心の中のマケドニア兵たち

緊張と興奮でどうも落ち着かない。

初めてのキャンパスを回っていても、
「ほう……ここが図書館ですか」
「学生たちはもう10歳年下ですか……ふふオモシロイ」
などと、ピザのトッピングの想像が駄々洩れになる井之頭五郎のように、
ぼそぼそ独り声が漏れてしまいます。


そのときは、ニヤニヤしながら独り言をつぶやいてぶらぶらしていたように思います。
誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われている、独りで静かで豊かな時間です。


道中、キャンパスですれ違う若い学生の子たちの視線を時折感じたのですが、気にはしません。


うわあ、おしゃれ! オフィスみたい!

さて、入学式の開かれる体育館へ。
学部生と院生の入学式は別々に開かれているため、入学式と言っても、人出は随分と少なめです。

修士課程が200人、博士課程が数十人といったところでしょうか。
入学式に来ていない人も多数いると思われるので、全体像はよくわかりません。

パイプ椅子に座り、おそらく卒業するまで二度と目にすることはないであろう校歌の歌詞を眺めながら開式を待っていると、
学部生から修士に上がったらしき学生たちの声が聞こえてきます。

「俺さあ……パソコン周りをデュアルモニターにしたんだよね」
「うわあ、おしゃれ! オフィスみたい!

(君たちのオフィスの定義はその程度でいいのか……?)
と、ちびまる子ちゃんのナレーターの声が天から降ってきます

まあ、こういうときに、
「え、そんなの普通でしょ」
と言っちゃう“社会人“が嫌われるんでしょうね。

気をつけよう……。


それから、学長先生のありがたい話を聞いたのち、
学校近くのうまいんだかよくわからない家系ラーメンを食べて、キャンパスを去りました。

鳩の通うキャンパスは別にあり、オリエンテーションはそちらで行われることになっていたのです。

メインのキャンパスを去るとき、
(ふっ、ここに来ることは、卒業式まで無いかも知れんな……)
と哀愁を覚えながら、桜並木を後にします。

その4か月後には、あっさりここへ戻ってくることになるのですが、その話はまた別の機会に……。


場所を移してオリエンテーション

鳩の通うキャンパスに移った後、午後から大学院生向けのオリエンテーションが始まります。

入学試験の面接当日、控室で必死こいて筆記試験の勉強をしていた学生たちの姿も、ちらほら見かけられましたが、全員はいなかったかもしれません。

ここでも一人でぼんやりと時を過ごしていた鳩は、隣に座った博士後期課程らしき人から、
「君、転入?」
と声をかけられました。
心の中のアララララーイをインターセプトされ、歯車が狂います。

「ええ、そうですが」と返すと、相手はなんだかエンジンが入ったのか、初対面ながら、いろいろと話しかけられてしまいました。

しかし、「指導教員は誰?」と言われたところで、
指導教員のX先生の名前を伝え、
「”社会人”博士で入学したんです」と伝えると、
相手はこちらの年齢を察したのか、はっと顔色が変わり、急に敬語となったかと思うと、だんだんと静かになっていきました。

回転寿司屋で隣に座ったおばちゃんから変に気を使われたときの井之頭五郎のような気まずさを覚えます。



その後、一通りの注意事項の周知や先生方の紹介でオリエンテーションが終わると、指導教員のX先生から声をかけられました。

「入学おめでとうございます」というお祝いの言葉もそこそこに、
「ゼミ室へ行きましょう」と言われ、ほいほいついていきます。


本や雑誌が棚や段ボール箱に所狭しと並べられたゼミ室へ案内されると、
今後のゼミの進め方などを軽く話すことになりました。

部屋の中には、過去、学部生が残していったらしき写真や就活対策本、
X先生が図書館からもらったという1950年代ぐらいからの専門雑誌の山。

そんなあれこれに囲まれながら、X先生と大学で話している自分。

ああ、自分は改めて学生になったのだなあ、とぼんやり感じさせられます。


それから、もうすぐ日が落ちようかという段になって、鳩は先生と別れました。

鳩は校舎の写真を撮り、「いまから帰るよ」と添えて、妻に送りました。
夕焼け色に染まるキャンパスと桜並木が写っていました。

さて、ここから素敵な大学キャンパスライフの体験記が始まるのかと思いきや、
その前に、ちょっとお堅い内容の話をしてみます。

「他人の意見と自分の意見をどう分けるか」
というアカデミックな世界で重要となるポイントについて考えてみた記事です。


to be continued…


参考資料

・挿入マンガ①③:岩明均『ヒストリエ』(講談社)
・挿入マンガ②④⑤:久住昌之(原作)、谷口ジロー(作画)『孤独のグルメ』(扶桑社)

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