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「とぐろ、或いは揺らぐ」

劇団ポポポ第11回公演「とぐろ、或いは揺らぐ」

新生館シアターにて5月6日〜8日、無事に幕を下ろしました。


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愛しのB班


今回のポポポは会話劇、身体表現もかなり絞られ一箇所のみ。コロナ禍の中でぐるぐると翻弄される小劇場の劇団のお話。

劇団の主催がコロナ重症化、劇団の公演を打つのか打たないのかと話し合ったりぶつかったり盛り上がったりなお話。新人劇団員の恵として劇団テンタクルスの先輩方と主催の奥さんと65分間濃密に向き合った日々でした。

個人的にはポポポの劇団員となってから初の自劇団の有観客舞台。劇団員になって2年目になりましたがまだまだ新人です。2年前、ポポポに入ってから初公演になるはずだった「ソノゴノセカイ」はコロナ蔓延で延期。そして「アンケーラ」は有観客から配信オンリーの無観客公演「MIX」になりました。今回、こうして最後まで誰一人欠けることなく公演を打てたことは奇跡だと思ってます。このご時世、どれだけの人が悔しい思いをして哀しんで涙を流したのか。どんなに対策をしていてもやっぱり完走出来る保証はどこにもなくて、それでも出来る限りのことをして最後まで駆け抜けられることを信じてやるしかない。

今回の公演は題材も題材ですが、沢山の方々の想いの上に出来上がった作品だったと思います。本当にやれて良かった。


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劇団テンタクルス。このメンバーと劇中には出てこなかった主催とで構成された劇団です。

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山ちゃん(若林辰也さん)

劇団テンタクルスの副主催、ゴリゴリの演劇人です。いるいるこんな人!が台本初見のときの印象。実際に稽古に入って若林さんとやり取りをしていくと、愚かではあるんだけど凄く愛嬌のある可愛らしい人なんだと気付きました。恵への好意の向け方が本当にアホみたいに純粋でアプローチの仕方が微妙過ぎて可愛くて。腹の中に抱える思いとか熱意が真っ直ぐ過ぎて空回りしちゃってる。間違ったことは言ってないんだけど、意見が通らなかった時とかに感情を隠すことなく丸出しにしちゃう。大の大人があんな分かりやすく落ち込んだり駄々こねたり…子供っぽさがまた身勝手で愛らしい人でした。

会話劇って初めてでどうやったらいいのか右も左も分からない中、若林さん自身が凄く真っ直ぐ向き合ってくださる方だったので凄く凄く救われてました。写真の冒頭のシーンなんかは難しかったけど、丁寧に時にいい加減に投げ掛けてくださるからめちゃくちゃ楽しかった。コレしたいアレしたいも相談したら一緒に考えて直ぐに試してみてくださったり、思うことだってあった筈だろうに親身になって聞いてくれて。一番一緒にいる時間が長かったと思います、本当にお世話になった先輩。こんな密に1対1でやり取りをするお芝居をしたのは初めてだったので、お相手が若林さんで本当に良かったです。

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ヨモギさん(生島誠人さん)

本業は保育士、二足のわらじを履いてる先輩。B班のヨモギさんは男性の方なので台本で読んだ時とかなりイメージのギャップがあったかも。恵的には一番頼れる先輩でした、お兄ちゃんみたいな。それは生島さんが恵にかなり寄り添ってくれたから生まれた関係性で、そのお陰であの空間の中でリラックスする事が出来ました。そりゃ窓から両手でぶんぶん手振っちゃうよね、一緒にいて何の打算もなく楽しく笑えたのはヨモギさん相手が一番多かったかもしれない。恵的に一番遠慮をしなかった相手かもしれません、折り紙も勝手にかっさらっちゃったり。懐の深さが凄かった。

頼り甲斐があるけど、凄く悪戯をする方で。生島さんがとても楽しそうに何かを仕掛けたり、ぶつけられたモノを飄々と交わしたり無視したり変化球で返したり。そのお陰で空気が入れ替わったり、そのまま保つことが出来たりとかなりバランスを取ってくださる方でした。一番AB班でギャップがあるキャラクターだったんじゃないかな。けれどマイペースな所はどっちの班のヨモギさんも共通していて、それがまた凄く魅力的。揺れるんだけど、ブレることはなく。B班は生島さんのヨモギなしではあんなに纏まらなかったんじゃないかと思います。助けられたり困らされたり、楽しかったなぁ。

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俊さん(林田雅樹さん)

憧れの先輩、俊さん。この人のお芝居が好きで、人間としても惹かれた方。関係性については明言するとチープになる気がするので伏せます。人気商売だからこその現実と自分の信念との葛藤を抱えて居る方、ドライに見えてかなり熱く山ちゃんにも負けない位にお芝居が好きな人。夢だけじゃなくて現実も知ってるからこそハッキリと中立の意見も言うことが出来る。けどそんな人が抱えてる弱音とか悔しさとか、溢れ出てしまう言葉を聞くとどれだけの事を考えてどれだけの事を我慢しているんだろうと切なくなります。

リンダさんとこんなにしっかり絡んだのは初めてでした。舞台上で話したことはあるけど、ほんの数言だけ。けどお芝居は身近で何度も見ていたし、不思議と御一緒するのに不安はありませんでした。ドキドキはしたけど、楽しみで仕方なかった。スケジュールがかなりタイトで稽古に暫く居なかった時もありましたが、その間に作ったものを相談したら二つ返事でOKしてくれてそのまま一緒に作り上げてくれました。リンダさんが吐き出すものに素直に動いて、そうして受け取ってくれたリンダさんから出たものでまた気持ちと身体が動いて。あー舞台ってナマモノなんだなぁって実感する時間だった。いっぱい頼らせて頂きました、御一緒させてもらえて本当に良かった。嬉しかったなぁ。


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そしてやって来ました、香奈美さん(菅野友絵さん)

主催の奥さん。主催が意識不明の重体だと教えにやって来てくれます。そして、主催の意志を継ぎ公演を打とうと奮闘する。物語的にも起爆剤となっている方です。香奈美さんは本当に本当に演劇を知らない一般の方。あーこんな反応するよなぁ、とかそういう発言するよなぁ、とかあるあるを思い出しました。小劇場の界隈にいると、当然伝わる言葉が一歩外に出ると全く通じなかったり意味合いがズレてたり。そんな方が逆にこちらの中に入ってきた時の異物感、いい意味でガタガタの空気になりました。また菅野ちゃんのちょっぴり癖のある感覚がより良い異質感を出してたり。

マジでファンタジスタだなと思ってました。香奈美さんは一般人であるんだけど、それに加えてやや天然だったり。その天然具合がまた菅野ちゃんの悪戯心やちょっとの毒が混ざることでB班のスパイスになっていたなーと。そこでそんなテンションで喋る?そんな音が出る?っていう斜め上の球を投げまくってて、私たちを翻弄してました。菅野ちゃんともちゃんと一緒にお芝居するのは初めて。菅野ちゃん自身も、菅野ちゃんのお芝居も凄く大好きなのでこんな近くで一緒に居られたのはめちゃくちゃ嬉しかったし楽しかった。隣にいて楽しいけど悔しい思いもいっぱいしました、尊敬する女優さん。


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恵(笠原芽吹)

良い子に見えて全然良い子じゃない。空気読んでるつもりで空気読めてない。やればやるほど恵の身勝手さが見えてきてとても楽しく演じてました。B班の劇団テンタクルスは男所帯だから、紅一点としてあの場に居座ることに。俊さんとのこともあり、山ちゃんさんからの好意にも気付きつつヨモギさんに程よく甘えて新人であり紅一点である立場を楽しみ上手く泳いでる、そんな子でした。自分の意見もあることはあるけど、人の顔色を見てコロコロ掌をひっくり返しまくってました。

個人的にはあまりやらないタイプの役。いつもはパワータイプの役を貰うことが多いのでこうやって丁寧に丁寧に言葉を紡いだり、縮こまったり、様子を見たり、っていう行為をするのが新鮮で楽しかった。台詞がない場所では皆さんの言葉やエネルギー、行為を素直に受けてその場に居るって言うのが面白くて。喋ってるときより何かを見たり聞いてる時の方が凄く楽しかったかもしれない、恵っていう役だから特にそこは丁寧に作ってました。演じられて良かった、すごく勉強になりました。


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ポポポ復活公演ということでいつもより人数も少ないけど、やっぱり光と影の演出はしっかりあって。日常から離れた明かりや、日常の中の暗さがとても綺麗でした。

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会話劇にシフトしたけど、ポポポらしさは残したまま。挑戦的な作品だったけど、楽しかったしまたやりたいと思います。


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程よくふざけたりとかね。

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A班の方々のこともお話したいけど、とんでもなく長くなりそうなので振り返りもこの辺に。あーロスやぁ。劇場に帰りたい。

最後はお気に入りの写真を置いておきます。

本当に本当にありがとうございました。幸せです。


笠原芽吹

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