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オッズ比と相対リスクの使い分けについて


日本疫学会の「疫学用語の基礎知識」というウェブサイトに、オッズ比についての説明がある。

そこでは、「コホート研究での累積罹患率(罹患率)のオッズ比と症例対照研究での曝露率のオッズ比がある」と書かれてある。

コホート(コーホート)研究は、罹患を取りあげのに対して、後ろ向き研究としての症例対照研究は、曝露を取りあげるという説明である。

ここで使われている「罹患」は、一般的には、特定の状態の発現と捉えることができるであろう。

「曝露」とは、一般的には「リスク(と想定される)要因あり」ということであろう。

昔のことであるが、SPSSの解説書に以下のような例があった。

私の記憶に間違いがなければ、症例対照研究では、オッズ比として
$${(48 / 23)  / (8616 / 7159)}$$
を計算するということであった。

日本疫学会のページで出てくる「曝露」という表現は、この表では、「モニターしない」に相当する。

同ページで、計算式として$${(a/c)/(b/d)}$$と示されている。ここで、表の1行1列が$${a}$$、1行2列が$${b}$$、2行1列が$${c}$$、という表記法である。この式はSPSSの解説書の記述と同じである。

これが症例対照研究の場合のオッズ比の使い方なのであろう。

しかし、自明なことなのであるが、$${(a/c)/(b/d)=(a/b)/(c/d)}$$なので困惑してしまう。

以下のようなグラフ(ヘルメット着用状態別の致死率)に遭遇して、このことを思い出した。この場合は、$${(a/(a+b))/(c/(c+d))}$$を計算しているようなのだが。

この式は、コーホート研究の場合の相対リスク(オッズ比ではなく)の計算式であるはずだ。

なお、日本疫学会のページには、「症例対照研究の場合、相対危険と寄与危険を直接計算することはできない」が、一定の条件が成り立つ場合には「オッズ比により相対危険の近似式として用いる」と記述されている。ここでの「相対危険」は、相対リスク(relative risk)と同じ意味であろう。

「①患者群・対象群が母集団を代表していること、②疾病の発症率が低いこと」という条件に解説が言及していることに注目するべきであろうか。

よくわからないのは、一定の条件が成り立てばオッズ比を相対リスクの近似として扱うことができるということが、症例対照研究をコーホート研究と同じように扱ってよいということになるのかどうかということである。

警視庁のウェブサイトより



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