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短歌日記(6/17〜6/23)

6月17日(月)
検査結果をきくため病院へ。過去に取ってもらった脳腫瘍は問題なかった。夜、実家から届いたメロンを食べる。

銀色のスプーンに映るさかさまのアールスメロンの種すべて命


6月18日(火)
午前中、いつもの胃腸科へ。薬をもらって家まで遠回りして歩く。風が気持ちいい。

プライドをふたつみっつ捨ててきたリュックの底で処方薬揺れる


6月19日(水)
気が抜けたのかぐったりする。スーパーのレジでの短いやりとりが今日唯一の発声。

唐突に生きていること思い出す朝のゴミ出し非常階段


6月20日(木)
朝からのぼせ気味の頭を氷枕で冷やす。中学生の頃から頭が熱くなりやすかった。冬の教室の窓によりかかったら、自分の頭の周りだけガラスがもあもあと曇ったのを思い出す。

人間になりたくなかったあのころは夢で脱皮をくりかえしてた


6月21日(金)
今日も頭がのぼせている。氷枕を交換しながら、読書をする。木皿泉の『昨夜のカレー、明日のパン』を読み返す。何度読んでも「パワースポット」の回がいい。太宰治の『満願』『姨捨』を読む。

運命に酔いしれている硬い背が月の光を浴びたがってる


6月22日(土)
夏至。夫は始発で釣り。喫茶店でモーニングを食べ、午後は氷枕をしながら読書。久しぶりに村上春樹を読もうと『羊をめぐる冒険』を手に取ったけど、全然読み進められなくなっていた。物語の魅力は変わらない、自分が変わったのだと思う。

ふるさとに帰らないのはたましいの色とかたちを知っているから


6月23日(日)
午前中、蒲田で買い物。インド料理屋の焼きたてナンが美味しかった。ケーキを食べながらYouTubeでQueenをみる。マリオカートもする。200ccはむずかしい。

大丈夫きっとすべてうまくいくレインボーロードかけぬけてゆく


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