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いつの間にか、失っていた何か

今日は、早朝から大忙し。

締め切り付きの仕事に追われていたところ、後輩が出勤して来て、悲鳴を上げます。

(ヤバイ、込み入った質問が来るかもね…)

この後輩、あまり遠慮がありません(笑)。

私がどんなに忙しくしていても、質問し出すと、止まらなくなります。

まあ、情熱があることは良いことです。

「花甘露さん、見てください!」

「お客さんが、私達との約束を破りました!」

このお客さん、私達が納品した仕事に勝手に手を加えてくるので、止めてもらえる様にお願いしていました。

責任者の女性が、ある従業員に注意をし、「二度とこの様なことはしません!」と言っていたのですが…。

しかし、この従業員は、大変気が強く、責任者の女性も困っている様でした。

自分の仕事を中断して、納品物の何処に手が加えられたのかを確認します。

どうやら、大事には至っていない模様。

「まあ、いいんじゃない?」などと思っていたところ、後輩は段々激怒。

「なんて手癖の悪い人なの!」

「責任者の女性に言って、また注意してもらいます!」

正義感の強い後輩。いつも怒っています。

「約束したのにー」

(今まで、余程善良な人達に囲まれていたに違いない…)

「ボスから、責任者に苦情を言ってもらいます!」

(おっと、今日はボス、超不機嫌なんだぜ!)

後輩を止めようとしたのですが、物凄い勢いで突撃して行きました。

「ボス、大変です!」

「お客さんが、約束を破りました!」

もともと、嘘つき野郎のボス。

三角目をして、「それ、そんなに重要なコトなんですか!」「急ぐんですか!」「私は、忙しいんだ!」などとキレ始めます。

だって、人間だもの~

嘘だってつくし、約束も破るんだぜ~

ボスを見ていると、段々感覚がマヒ。

もう、お客さんが約束を破った位では動じなくなります…。

(コレって、マズイのか…?)

ボスから邪険にされても、後輩はちっとも落ち込んでいません。

根負けしたボスは、結局、お客さんに苦情のメールを送りました。

満足げな後輩。

(なかなか、やるではないか!)

理不尽な事に怒る元気を失っていた私。

妙に物分かりが良くなったりして…。

私も、年を取ったのかも知れません(笑)。

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