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10万円給付金の裏で死にかける地方公務員(憶測だよ) その3

 各種バックナンバーはこっち。
※無断転載等における処遇は従来と同じです。念のため


 どうも、最近シャニマスに頭から突っ込んで久保です。この件はまた追々ゆっくり時間のある時に話したいと思います。冬優子いいですよね、ああいう子大好きなんですよ僕。

 じゃないよ。それどころじゃないよ。

 というわけで、巻きで解説したいんですが今日10万円給付金(以下『給付金』)の申請用紙が久保ハウスにも届きました。
 で、送られてきた内容としてはざっくり以下の通りです。ちなみに送り主は僕の住んでいる市区町村の役場からでした。つまり、これやっぱり国じゃなくて役場が割食ってますね。当たってほしくない「その1」の憶測が当たってしまいました。

 あとごめん、最後までの解説は割愛します。それどころではなくなってしまったのだよ。

☆内容物☆

・役所→各世帯へ送る用の封筒(要は開けたらただのゴミになる奴)
・給付金に関する説明レジュメ×1(A4/表裏カラー)(こっちはよりチラシっぽい感じ)
・給付金申請用紙に対する記入見本×1(A4/表裏カラー)(比較的紙って感じの質感)
・給付金申請記入用紙×1
・返信用封筒×1

 一通り目を通して、僕はふむふむと感心しました。なるほど、ちゃんとしっかりとした質疑応答も載っている。素晴らしいじゃないか。
 ここまで見て、思いました。

で、これ様式はどこから持ってきた?

 これにつきます。幸いにもネットの海を泳いだところ、杉並区から送られてきた旨のページを発見しました。共有しておきます。

 本当は僕の手元にある各種書類と並べて違う部分をシェアしたかったのですが、さすがに居住地開示は差し控えさせていただきます。許して。
 給付金案内の用紙に関して、大まかな内容や書いてある意味合い的には大体同じなのですが全体的なレイアウトや情報の順番などが違っているので、デザインに関しては一から組んだと見ていいでしょう。さあとんでもないことになってきたぞ。
 肝心の申請用紙なのですが、これも杉並区の用紙と僕の用紙とは若干異なります。全くのゼロベースから作ったわけではないのでしょうが、それでもデザインというか考える手間暇が発生していることは疑いようがありません。
  ちなみに国からの記入説明があるのですが、用紙に書く項目・情報の順番などは大体同じでした。さすがにこれも一から作成となったら、多分本当にやばいでは済まされないですね。きっと国からサンプルというか主だった様式はあるんだと思います(各種通達や通告をあされば多分ありますけど、そこまで調べる気力がありませんでした)。

 なので、今回必死に脳汁絞って作ったのは主にご案内のレジュメのみとなりますね。よく頑張ってくれた。何なら職員は今すぐ寝てくれ頼むから。
 内容物や様式に言及が終わったところで、じゃあ次行きましょう。

なんか変な担当増えてね???

 もし皆さんのお手元にゴミとなった封筒や返信用封筒がまだあるのならそれをちょっと見てみてください。ここでまた僕の詳しい返信先書けないのがもどかしいのですが、賢い読者の皆さんは皆さん思ったはずです。

 こんな所属、普段の役所にあったっけ?

 多分ないです。杉並区で言えば特別給付金担当なんて去年からあってたまるか。つまり、今回の給付金で急造されたことは想像に難くありません。

Q:その人員はどこから?
A:ほぼ100パーいろんなところ(部署や課)からかいつまんで数人引き抜かれていますね。少なくとも僕がお役所にいた際は、そうした給付金系の話題があれば一定期間正規職員が引き抜かれていました。

 なので多分、ほぼ間違いなく「その1」における0の想像で相違ありません。市民課やそれ系の普段の業務でもすりきり一杯な所属から数人引っこ抜かれているわけですね。やばいで済むんですかねこれ。要は引っこ抜かれる前の母体も人数減って打撃もらってるわけですから。痛いで済んだら御の字です。
 まだこれで終わりはしないんですよ、地獄は。

処理件数の数がやばい

 この給付金、言うまでもなく日本全国すべての国民が対象です。つまり、すべての市町村やお役所が泡吹いて対応しているわけですね。
 ここで皆さんにクイズですが、この数字が何かわかります?

7,298,694

 これ、令和2年1月1日時点東京都内の世帯数です。つまりこれだけに都内だけでも文書を送るわけですね。
※給付金の書類は4月27日時点の居住地データに依存しているのでこの数字の限りではありませんが、あくまでわかりやすい数字として採用しました。
 
データ元はこちら(何故か数回試したんですが埋め込みができなかったので、参照される際はコピペしてください)

https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/juukiy/2020/jy20qf0001.pdf

 で、都内の市区町村数は62。死ぬほどガバガバで申し訳ないのですが平均すると一つの市区町村で平均117,720世帯(小数点切り捨て)ある計算になります(もちろん各市区町村によって数字の上下は当然あるのですが、規模感の目安としてこの数字という体で話を進めます)。
 62市町村の根拠はこちらから引用しております。


 じゃあこれ、すべての市区町村が業者に委託したりするわけなんですが、その業者も無限にあるわけではありません。業者の数には限りがありますし、多分こうしたものは早い者勝ちでどんどん工場や機械が埋まることが常です。いわば椅子取りゲームならぬ業者取りゲームですね。ちなみになんで業者に委託するのかと言えば、「その2」を参照してください。
 ここで最後の一発行ってみましょう。

そもそも工場動くの?

 現状僕がやばいやばいと書いているのは、あくまで封入封緘や印刷業者が健全な状況の話をしているわけです。そして今はコロナ。三密は避けろや異論な事業所が自粛や営業停止を強いられています。
 なので、工場だけ特別に健全な稼働が許されているのかと言われたら議論の余地が残ります。もしかしたら時短営業や稼働自粛の業者があっても、何一つおかしくはありません。その中で前述のような受注を受けてどうにかこうにか市町村へ送品しているわけですから、その努力は推してしかるべしです。頭が上がりません。

最後に

 大体こんな感じで、ざっと解説してみました。
 どのくらいやばいか、概ねお察しいただけたでしょうか。皆さんが思っている以上に、現場は混沌としているし皺寄せを受けています。
 だからと言って別に仕事を市町村へ投げた国に文句言えと言いたいわけでもなく、現場の地方公務員を神様仏様のように手を合わせて接しろと言いたいわけでも無くて、ただ、それだけ大変なんだと汲んでいただけると嬉しいです。僕はお上にはあまりいい感情を抱いていませんが(特に税務署)、それでもやっぱり大変なことは間違いありおません。国のこうしたこと考えて地方へおろした国家公務員の人は、それはそれで僕や地方公務員の想像の及ばない部分でのたうち回っている可能性だって十二分にあるわけですから(僕は元地方公務員ですけどね)。
 公務員は基本的に感謝されませんし「やって当然、できて当然」と言われるしできなかった時のお叱りはなかなかのものです。特にお金の絡むことなら尚更。
 そうした中、皆さんも先の見えにくい生活の中で10万円が貴重なものであり、待ち遠しいものであることはわかっています(僕も待ち遠しいので)。
 ただ、その陰にはどれほどの状況が横たわっているのか、知っていただけると嬉しいです。元とはいえ市民のために働いていた地方公務員として、このメッセージを受け取ってもらえると嬉しいです。
 以上です。
 お付き合いいただき、ありがとうございました。

念のため…

 ただ、何度でも書きますがあくまでこれは僕なりの経験や予想なので、これが絶対正しいわけではないと思います。だけども、そのくらいの状況なんだなとふんわり察してもらえると、これに勝る喜びはありません。

 では。

サポートしてくださったあかつきには、僕のご飯が少しグレードアップします。あと画材や絵の本に使いたいです