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メタファーは生きる指針になる!?

メタファーってなに?

今日はいわゆる「理論」からは離れてしまいますが、

授業でユニークなアクティビティを行ったのでそれについて書いてみます。

タイトルにもある、「metaphor, メタファー」ってなんぞや。

Barten (1983)いわく、"any comparison that cannot be taken literally" (文字通りに受け取れない比較)

いわば日本語でいう「隠喩・暗喩」です。

primary subject (主題) と secondary or metaphorical subject (副題)をつなぐもの、と定義づけられています。

ゆでたまごみたいな肌だね!(言われたい)

脳内お花畑だね!(言われたことある)

口から生まれたみたいだね!(よく言われる)

そう、いわゆる伝えたい主題を別の言葉で言い換えることを「メタファー」と呼びます。

実はファシリテーションの一環に、メタファーを使ったアクティビティがあるのです。今日はそれについて紹介します。

Metaphor analysis(メタファー分析)

この「メタファー分析」というものを授業で習い、実践しました。

手順はシンプル。

1 家族、ライフスタイル、キャリア、人間関係などなんでもいいから主題を決めてもらう

2 その主題に関連するメタファーを考えてもらう

unpack the meaning of metaphor 2で思いついたメタファーの意味づけを促す

そう、たった3ステップ。

たったこれだけなのですが、ここには

recognition (気づき) reflection (振り返り) comparison (比較) creation (構築) decision-making (意思決定) など様々な「おとなの学び」に欠かせない要素が含まれているのです!

ファシリテーターに求められるのは

help learners become aware of distorted expectations, assess the grounds of beliefs and values. (学習者が予期しなかった信仰や価値への気づきを促す)

 そして第4のステップとして意味づけをしたもとに新しいメタファーを考えてもらう、というのまであります。

そしてその先には transformative learning(変容的学習) が引き起こされる、、だそうです。(これについてはまた今度!)

文章で言われてもよくわからん、ということで実際に今日授業でみんなでやりました。

授業の冒頭、教授から Think about your own metaphors for facilitating.

というお題をだされました。そしてクラスみんなの前で一人ずつおのおの思いついたメタファーを発表していく。みんなからこんなのがでてきました

facilitation...

conductor's baton 指揮棒, bridge 橋, cooking recepies レシピ, compass コンパス, maestro 指揮者, producer プロデューサー, clouds 雲, clay 粘土 などなど。

そして発表後に unpack the meanings ということでなぜそのメタファーが浮かんだのかもあわせてシェアしました。

こうしてみてみるとみんな個性があって、「ファシリテーションは繋ぐものだから橋だと思った」とか「同じレシピがあっても違う味になるように学習者も異なるから」とか「つくりあげていく過程だから粘土と似ている」とか。

おもしろいねぇ。みんな違う。

ちなみに、わたしはですね、

lantern (ランタン) と言いました。

学びって明かりを灯すイメージがうかんでくるんです。ファシリテーションってだれかの心をぽっと明るくするものだったり、たまに燃えすぎたら消したり、そんな役割があるのかなーって。ラプンツェルのあのランタンが何千個も浮かんでるような、そんな光景が思い浮かんだ。これを英語で説明するのが難しかったけどなんとか伝わったみたいです笑

メタファーは生きる指針になる?

このアクティビティのあとは小さなグループにわかれて、メタファーについてディスカッションしました。

・幼少期の思い出や記憶が今のメタファーにまで繋がっている

・言語や文化の違いが反映される(たとえば、at the bottom of the totem pole というのはアメリカなら誰にでも通じるメタファーだけど、我々非ネイティブからすると、「え?トーテムポールの一番下?」となる。一番下だから縁の下の力持ち?かと思いきや unimportant 不必要 の隠喩だそう)

・メタファーを意味づけする機会は意識しないとない

・あんまり日々の生活でメタファーでいちいち表現しない

などなど limitationも挙がってきました。

だけど、結局グループメンバー全員で納得したのは、

メタファーは「guide 指針」になる、ということ。

今回のアクティビティを通して私自身も実感したのはメタファーを使って、その意味を紐解くことで、自分は抽象的なfacilitationという言葉をどんな風に捉えていたのか、そしてこれからfacilitatorになるにあたってどんな風になっていきたいのかが見えてきたということ。

ランタンのようなファシリテーターになりたい、なんていうとまた頭お花畑とか言われちゃうんだろうけど、自分の軸や指針になるとっかかりにはとても有効だと思いました。

メタファーなんてエビデンスも理論もなく、究極の「ぼやっと、なんとなく」感で溢れているけど、これはこれでとてもおもしろい!

みなさんも身近な出来事から、ぜひメタファーを考えてみてください!


参考文献

David Deshler. Metaphor Analysis: Exorcising Social Ghosts. In Jack Mezirow and Associates (1990). Fostering critical reflection in adulthood. Jossey-bass.


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