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危険度n%を切る場合の局収支の求め方

1 はじめに

 今日は『「統計学」のマージャン戦術』に寄せられた質問に回答する。
 質問の趣旨はこちら。

『「統計学」のマージャン戦術』の押し引きの章において、アンパイを切った場合、危険度10%の牌を切って押した場合の局収支が書かれている(例えば、92ページの【表14-8】など)。
 そして、押した場合の局収支とベタオリした場合の局収支を比較して、前者の方が大きければ押すべき、後者の方が大きければ引くべきとしている。

 ところが、実際に切る牌は10%とは限らない。
 そこで、①n%の危険度を押す場合の局収支の求め方を知りたい。
 また、巡目が深まれば、牌の危険度は増えるはずである。
 ②巡目が深まったときの牌の危険度が知りたい。


2 n%の危険度を押す場合の局収支の求め方

 まず、①n%の危険度を押す場合の局収支の求め方について。
 計算式を先に示すと次のとおりである。

 なお、

(n%の危険度を押す場合の局収支)=【局収支(n)】

とする。
 すると、

【局収支(n)】
=【局収支(0)】+n/10×(【局収支(10)】-【局収支(0)】)

 例えば、11巡目のベタオリ時の局収支はー1100点である。
 他方、11巡目・自分も先制立直者も子、自分が30符1ハンのリャンメン聴牌の場合、アンパイを押した場合の局収支はー200点、危険度10%の牌を押した場合の局収支はー700点である。
 とすれば、危険度15%の牌を押した場合の局収支(15%)は

局収支(15%)=-200+15/10(-700-(-200))
        =-200-750=-950

と言う感じでー約950点となる。
 こうなると、ベタオリした場合の局収支とあまり差がない(200点未満)。
 とすれば、自分の持ち点が多い・ベタオリを選ぶと完全に降りきれるなどの事情をにらみながら、15%の牌を押さずに降りるという選択肢は十分あり得そうである(逆に、自分の手牌だと降りきれないから押すという選択肢も当然あるだろう)。

 このように、本にはアンパイを切った局収支と危険度10%の牌を切った場合の局収支しか掲載されていないが、この数式を用いれば任意のnに関する局収支を求めることができる
 ちなみに、今度出す『秋刀魚データ本(仮)』でも活用することができる。
 必要に応じて活用してほしい。


3 巡目が深まった場合の牌の危険度

 牌の危険度は巡目によって変動する。
 140ページの牌の危険度が示された【表20-1】を見ればわかるが、無筋19一般の牌の危険度は1巡目は3%、8巡目は7%、11巡目は9%、14巡目は11%、17巡目は14%である。
 このように牌の危険度はそれなりに動く。

 ただ、牌の危険度が巡目によってどの程度動くかは【表20-1】と【表20-2】に示されている。
 これを見れば、各巡目の牌の危険度を見積もることが可能であろう。

 他方、通った筋の本数毎のデータが欲しいという人もいるかもしれない。
 その場合、私に「通った筋の本数別の牌の危険度」のデータをくれと言えば提供すると思うが、簡単に数値を推測する方法がある。
【表20-1】には各巡目毎のデータとその巡目における通った筋の本数も掲載されている
 とすれば、筋の本数に注目して牌の危険度を見積もることも可能である
 例えば、9巡目における通っている筋の本数は7.1本である。
 とすれば、7本の筋が通っている状況の牌の危険度は9巡目のデータを使って見積もれば良い。
 例えば、15巡目における通っている筋の本数は11.1本である。
 とすれば、11本の筋が通っている状況の牌の危険度は15巡目のデータを使って見積もれば良い。
 無論、推測できるというだけで完全に一致するわけではないが。

 こうして、牌の危険度が分かれば、その牌を押した場合の局収支は求められる。
 押したときの局収支が分かれば、その局収支がベタオリ時の局収支を上回るか下回るかが分かるので、それによって押し引きを決めることができる。
 ぜひ、本書を活用して新たな押し引き基準を作ってほしい。

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