初心者に量産型デジタルを勧める理由
私は少し前に「初心者は量産型デジタルを目指すべきなのか」という記事を書いた。
この記事で書いたように私も特段の事情がない限り量産型デジタルを経由することを勧める。
ここでいう特段の事情とは次の2つのいずれかである。
1、プロになる志がある
2、数学的素養が十二分である
というのも、プロになる志がないならば、量産型デジタルを経由する副作用が重大ではないからである。
また、数学的素養がなければ牌譜解析やシミュレーションの内部事情に突っ込んだ話をしても理解できないからである。
よって、当人にプロ(トッププロ)になる志がなく、かつ、数学的理解が深くなければ私も量産型デジタルを経由する道を勧める。
では、そのメリットは何か。
今回はそれについて説明したい。
メリットその1 わかりやすい
量産型デジタルを勧める理由の第一として「戦術がわかりやすい」ということが挙げられる。
研究者によって牌譜解析や大量のシミュレーションが行われた結果、麻雀の研究成果は類型化されてまとめられている。
その結果、命題が抽象化されている。
例えば、
先制リャンメンテンパイは原則リーチ
追いかけリャンメンテンパイは原則リーチ
対リーチイーシャンテンは原則オリ
などという形で。
もちろん、その抽象化と戦術論の精密さとはトレードオフの関係にあるわけだが。
また、原則、例外という論理関係を作ることによって、覚える量が限定されている。
例えば、「先制リャンメンテンパイは原則リーチ」ということを覚えたら、次はダマにする例外さえ覚えればよく、リーチをすべき状況を覚える必要はない。
このように、理論を気軽に学び、実践できること、これが量産型デジタルを勧める第一の理由である。
メリットその2 根拠が初心者にも理解可能
二つ目のメリットとして「根拠が客観的であり、数理的素養があれば初心者の段階で理解できること」が挙げられる。
例えば、東1局0本場、8巡目の先制ピンフテンパイをリーチすべき根拠を挙げるとする。
すると、計算過程を全部言葉・数字にして説明することができる。
一部を抜粋するとこんな感じになる。
東1局においては点棒の大小関係と平均順位は一次関数で近似できる(データ省略)ので、局収支の大きい方の選択を選べばよい。
リーチ時の局収支は●●点である。なお、局収支を求めた際のパラメータは和了率が●●%(以下略)であり、和了率(以下略)は~の条件で集めた牌譜解析結果から求めた。
ダマ時の局収支は●●点である。なお、局収支を求めた際のパラメータは和了率が●●%(以下略)であり、和了率(以下略)は~の条件で集めた牌譜解析結果から求めた。
よって、リーチをした時の局収支の方が、ダマにしたときの局収支よりも局収支が高い。
以上より、リーチすべきである。
もちろん、量産型デジタルにとってこの説明は必要がないものである。
しかし、根拠に興味を持った場合、初心者の段階でその根拠に触れることができるのは大きい。
このように「初心者の段階であっても、知ろうと思えば、その根拠に触れることができる。初心者の段階でそのメリットを理解できる」、これが量産型デジタルを経由するメリットである。
もちろん、根拠を知ろうとしている時点でその人は量産型デジタルではないだろうけれども。
メリットその3 そこそこ有用である
そして、最大のメリットが「そこそこ有効」であることである。
現段階で、「初心者から脱却する」という観点から見て、この方法論に対する批判はそれほどない。
この事実がこの戦術論自体のそこそこの有用さを物語っている。
戦術論が抽象化されている割にそれほど間違っていないという意味で。
以上、量産型デジタルを勧める理由についてまとめてみた。
参考にしていただければ幸いである。
では、今回はこの辺で。
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