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【第一種電気工事士】筆記試験 難問解説 2019年 第7問

1、はじめに

この記事では、過去に第一種電気工事士 筆記試験で出題された難問について解説していきます。第一種電気工事士の筆記試験では過去に出題された問題がそのまま引用されて出題されたり、数値をかえただけで同じような内容について問われることがほとんどです。過去に出題さた難問を繰り返し演習して解いていくことで、筆記試験の対策を効率的に進めていくことができます。

今回は、2019年度 第一種電気工事士筆記試験 第7問について解説していきます。

2019年度 第一種電気工事士 筆記試験 問7

問題
ある変圧器の負荷は、有効電力 90kW、無効電力 120kvar 力率60%(遅れ)である。いま、ここに有効電力 70kW 、力率 100%の負荷を増設した場合、この変圧器の容量 [kV•A] は?

2、出題の意図

この問題は、変圧器の負荷と力率に関する問題であり、変圧器の容量の計算方法を理解することが求められます。

3、問題の解説

point!
有効電力 P(W)、無効電力 Q(var)、皮相電力 P(V•A)の関係をベクトル図を作成して解いていく。

①負荷の増設前のベクトル図
負荷を増設する前からもともとあった負荷の容量は P' = 90kW、Q = 120kvar(cosθ = 0.6)なのでベクトル図は以下のとおりです

2019Q7負荷増設前のベクトル図

→ 三角関数<3:4:5>の関係からS' = 150kV•A が求められます

②負荷を増設したときのベクトル図
新たに増設する負荷の有効電力は P" = 70kW、力率(cosθ)が100%なので、無効電力 Q は0(ゼロ)となります。
よって、負荷増設後のベクトル図は以下とおりです

2019Q7負荷増設後のベクトル図

新たに負荷を増設後の有効電力 Pは 増設前の P'と増設後の P"の容量の合計となり、P = P' + P" = 90 + 70 = 160kW とります
∴ 三角関数<3:4:5>の関係から、負荷を増設したあとの変圧器にかかる負荷の容量は S = 200kV•A と求めることができます

よって正解は、ハ. 200 となります

4、もっと詳しく!

三角関数<3:4:5>
電気工事士の試験では、問題を見た瞬間に ”うっ複雑な計算問題かも…” とおもって鉛筆を動かす手が止まってしまうことがよくあります。
この三角関数はもっともよく出題される比率の1つです。今回の問題にあたっては、負荷を増設する前 有効電力 P' = 90kw、無効電力 Q = 120kvarより、P':Q:S' = 3:4:5 の関係から S' = 150kV•Aが求められます。
増設後も同様に(増設した負荷は力率100%のため無効電力はありません)
増設した負荷 P" = 70より、有効電力の合計 P = 160kW、Q = 90kvarより、
P:Q:S = 4:3:5の関係から S' = 200kV•Aが求められます。

この<3:4:5>の比率を使うことで複雑な計算をせずとも回答を導くことができます。ぜひ暗記して使い慣れておきましょう。


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