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友達との自撮り(グルーフィー)を、自分だけ加工する心理

こんにちは。達川幸弘です。

今はCAMPFIREという会社でマーケティングをしたり、ほそぼそと個人でも企業のマーケティングのお手伝いをしていたりします。

マーケティングと進化心理学をつなげるブログという実験的な試みをしております。

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みなさん、グルーフィーって聞いたことがありますか?

自撮り(セルフィー)は自分ひとりをスマホなどで撮影することですが、グルーフィー自分を含む複数人の集合写真を撮影することを表した単語です。

この「グルーフィー」をSNSに上げる頻度に対する進化心理学的な観点からの研究論文があったので紹介したいと思います。

人間の心理って怖いなって思いました…。

Instagram のセルフィーとグルーフィーの研究

セルフィーとグルーフィーノイメージ

本論文は2022年10月17日にS. Venus JinとEhri Ryuによって発行されました。

■タイトル
“A Streetcar Named Instagram Desire”: Evolutionary Psychological Perspectives on the Multifarious Human Desires That Shape Instagram Selfie-and-Groupfie Cultures

■和訳
「インスタグラムの欲望という名の電車」: インスタグラムのセルフィー&グループフィー文化を形成する、人間の多種多様な欲望に関する進化心理学的視点

このように本論文は題されており、「インスタグラムの欲望という名の電車」というのは中々強烈なタイトルですが、読めば納得の中身です。

この研究では、人々がインスタグラムをどのように使い、自分の写真や友達との写真をどのように投稿するかを調べ、その結果、人々がインスタグラムを使う理由や、どのような写真を投稿するかは、その人の性格や欲求によって大きく影響されることが分かったというものです。

当たり前といえば当たり前かもしれません。しかし、人が無意識化で行っている所作を、進化的観点を掘り下げたときにより原始的な欲求の発露を見いだせるところが進化心理学の面白いところです。

では、具体的な内容を見てみましょう。

競争相手を引きずり下ろす、グルーフィーの心理

Instagramで自撮りやグループ写真を投稿する頻度が多い人は、

  • 自分の外見に自信がある

  • 他人の外見を自分と比較する

  • 異性を取り合ったとき、競争相手は離れていくと思う

と回答しやすい傾向があることがわかりました。これは何を意味しているのでしょうか?

外見に自信がある人はInstagram上でグルーフィーを投稿することで、周りの同性を測りにし、自分を引き立たせ異性にアピールするための自己宣伝ストラテジーとして機能させているということです。(怖い…)

具体的には、「自分の外見に自信がある人」は、自分の魅力をアピールするために、自撮りの写真を頻繁に投稿します。また、「他人の外見を自分と比較する人」は、自分が他人よりも優れていることを示すために、グループ写真を投稿します。さらに、「異性を取り合ったときに競争相手は離れていくと思う人」は、自分が最適なパートナーであることを証明するために、自分と友人たちが楽しく過ごしているグルーフィーを投稿します。

これらの行動は、進化心理学的には、異性に対する配偶者競争の一形態と見なすことができます。

フォロワーや、その写真を見るであろう意中の異性に対して、自らが優れていることをアピールしているのです。

その心理を前提とすると、このような漫画にかかれている「グルーフィーで自分だけ加工する」というのは、ある意味そういった欲求が強い人・意中の人へのアピール行動として優位な自分を見せる心理としては合理的であるとも言えます。

自尊心と購買行動

またこの研究では、自尊心と購買行動との関係についても研究されています。「自分の外見に自信がある人」

  • 高級品を持っている人への尊敬

  • ものを買うと嬉しい

  • 今よりもっとものを買いたい

という強い物欲と正の相関がありました。

また、「自分の理想の外見と現実の外見にギャップを感じている」という人は「高級品を持つ人を妬む」という傾向が現れており、ハイブランドマーケティングはキラキラとした自尊心の強い人達の物欲だけをターゲットにするのではなく、自尊心の低い人もターゲットにすることが重要であることを示唆しています。

どのようにマーケティングに応用するか?

では、どのようにこの心理をマーケティングに活用すればよいでしょうか?

アイデア1:マッチングアプリ

この研究をマッチングアプリのマーケティングに活かすのであれば、プロフィール写真の登録を促す際にどのようなサンプルにしたらいいか、などの示唆を与えてくれます。

つまり、登録を促すサンプル画像をどのように見せるか(あまり具体的には書きませんが笑)、登録率が上がるかもしれないということです。

アイデア2:自尊心が高まるタイミングと購買喚起

理想の自分と現実の自分とのギャップがうまる瞬間(美容室・サロン)に物販を促すことは、効果的なマーケティングかもしれません。

自尊心が高まり、購買欲求が高まる可能性が高いからです。

物欲の高い人の傾向としては、「他人と自分を比較しやすい(外見・社会的地位)」傾向があり、Instagramのヘビーユーザーに対して、なぜインフルエンサーが購買意欲を喚起する装置として機能しているかが伺えます。

アイデア3:グルーフィーターゲティング

僕がMetaの担当者なら、画像認識からInstagram上で「グルーフィー」の投稿頻度が高い人をターゲティングする機能をつけるかもしれません。

そうすることで、購買行動を起こしやすい人をターゲティングできる可能性が高まります。

Metaさん、いかがでしょうか?ターゲティング機能に、「グルーフィーの投稿頻度の高い人」を加えてもらえると、BtoCマーケターは喜ぶかもしれません。

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最後までお付き合い、ありがとうございました!!

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