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抽象化思考は最強の時短スキル

オムレツのレシピから情報を抽象化すると…


ものごとを見て抽象化するという思考は最強の時短スキルになるんですよね。料理のレシピを例に説明します。
たとえば、このようなオムレツのレシピがあったとします。

  1. 卵を割って溶く

  2. 塩コショウを加える

  3. 鍋を熱して油をひく

  4. 卵液をいれたら菜箸でかき混ぜる

  5. 手前に卵を寄せて形を整える

この料理の手順を、手順通りに行えればオムレツが完成します。抽象化思考ができる人は、こういった情報を取り出して抽象化し転用できるのです。

たとえば、オムレツのレシピから「卵は熱を加えると凝固する」という情報を取り出して思考の棚に納める。そうすると、オムレツの場合は直火で凝固させているが、お湯やオーブンでの加熱でも凝固が可能である、という風に考えられます。
ですからフライパンを使わなくても、オーブンに卵液を流し込んで加熱すれば、オムレツの作成が可能である、という風に情報を抽象化して思考の棚に入れて、それを転用することができます。

抽象化できないと、手順を全て覚える必要がある


逆に情報が抽象化できないとどうなるでしょうか。それは、作る料理ごとのレシピが必要になる、ということになります。

さきほどの説明のように、1つのレシピから情報を抽象化すれば、複数のレシピに転用して自分でレシピをアレンジすることができます。

しかし、情報の抽象化が行えない人は、料理の数だけレシピを覚えるしかなくなるのです。
10個の料理が作りたければ10種類のレシピを、100個の料理が作りたければ100種類のレシピを覚えるしかありません。

しかし、情報の抽象化を行える人は、10種のレシピから情報を抽象化、転用して100種の料理を作ることができるようになります。
つまり抽象化志向とは、最強の時短スキルなのです。

料理人の修業は、なぜ10年もかかるのか


一般的に料理人は一人前になるまでに10年かかると言われています。この現象の要因として、抽象化思考が許されない修行の構造があります。

和食の料理人は洗い場の見習いからはじまり、ステップアップすると料理をさせてもらえるようになりますが、焼き場や煮方など担当が細かく分かれています。素材を焼く、煮るという1つの調理方法を時間をかけて極めるという手法が取られており、それ以外は手を出してはいけないというルールがあるため、1つの情報を抽象化して他に転用するというシチュエーションがないのです。

冒頭の例でいうと、1つづつレシピを覚えている状態となり、一連の習得までに長い時間がかかります。

なぜ料理人の世界でこのような手法が取られるかといえば、それは伝統を守るためでしょう。抽象化した情報を転用するということは、情報を応用してアレンジをしていくということです。伝統を守り、そこにアレンジを入れたくない場合は、一つ一つの手順をきっちり守るということが最適解になるのです。

カスタマーの対応ハウツーが、プレゼンテーションに転用できた


この抽象化思考をビジネスの場で活用できれば、時短でスキルアップして活躍の場が広げられるようになります。

過去にカスタマーの対応セミナーを受けた際に、プレゼンテーションに転用できた事例をお話します。

その昔、カスタマーの対策セミナーを受けたことがあります。講師の先生から一通り説明を受けた後、実演を行ったのですが、このときに得られた学びは2つありました。

1つめは、カスタマーの内容が間違っていたとしても、途中で訂正せずに最後まで聴くことです。相手は感情が高ぶっていることが多いので、あきらかに主張が間違っていたとしても、途中で訂正をしたら「自分が否定された」という感情の問題に置き換わってさらに激高してしまう可能性があります。ですから、いったん話を否定することなく、全て吐き出してもらう必要があるということです。

2つめは、相手の言った主張をゆっくりと復唱するということです。例えば商品が1週間過ぎてもまだ届かないというクレームを受けた場合は、ゆっくりと
「1週間過ぎてもまだ届かず、お困りだということですね。」という風にです。

これには2つの効用があり、ゆっくりと話すことで相手の感情のたかぶりを落ち着けるとともに、内容を復唱することによって、相手に「いったん自分の主張を聞いて理解してもらえた」という安心感を与えることができます。

このセミナーを受けてから数年後、プレゼンテーションをしているときに、このときの経験が役立つことがありました。

このときは、役職が高い方にプレゼンをしていたのですが、上位役職の方へのプレゼンは正直その方の好みに左右されます。たいていは中間の管理職の方にリサーチやヒアリングをして内容を固めるのですが、このときは色々な事情でそれがかないませんでした。

プレゼン中にだんだんと不信感をあらわにされて、多少声を荒げながらプレゼン内容に対する反証を挙げられました。
このとき、プレゼン内容に納得できない顧客というのは"相手の主張や行動に納得できない”という点でカスタマー対策セミナーの内容と同じだなと気づきました。

ですから、その場で数値データ等を用いて反証をするのではなく、全面的に話を傾聴するモードに切り替えました

いったん話を区切って聞いた上で、要所要所で「おしゃっていることは、こういうことですね」と、話の要点を取りまとめて復唱しました。
その過程で、相手の方も溜飲を下げられた印象があったので、自身のプレゼンを続けることなく「色々とヒアリングさせていただけたので、本日いただい内容をふまえて再度資料の内容を修正します」ということでプレゼンを終えました。

途中で傾聴の態度を示すことで、相手の溜飲も下がったので、修正の提案を聞いてくれる余地ができたのです。

時短で成長をしたいなら、抽象化思考が必須


このように、一つの物事から得た情報を抽象化し、それを転用していくと時短で成長していくことができます。

このとき大切なのは、自分の専門以外の領域の情報の方が実は転用しやすいということです。映画監督の北野武氏も、自身の映画の制作には数学の素数を応用しているといいます。

下記の記事も参考になるので是非ご覧になってみてください。

北野武とスティーブ・ジョブズに学ぶ、専門外のスキルを磨くべき理由
https://note.com/media_labo/n/nb6124b9883d1

また、抽象化思考に関連した思考で、アナロジーというものがあります。抽象化思考やアナロジーを鍛えるための方法は、以下の記事を参考にしてみてください。

ビジネス書しか読まない人が、アナロジーが苦手な理由
https://note.com/media_labo/n/n609f310b8d3d


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