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3月16日(土)メディア日記

 琉球新報は13日、共同通信配信記事として、「政府の公文書管理委員会は12日、沖縄返還に伴う日米密約を報じて記者が逮捕された『沖縄密約事件』を巡り、外務省が閲覧を制限した裁判記録のうち冒頭陳述書など一部は閲覧を可能にすべきだと答申した」と報じた。
 答申書によると、対象は事件に関する裁判記録や米側との関係を記載した文書など3ファイル。2020年9月に外交史料館に移管され「特定歴史公文書等」となった。閲覧請求に対し、外務省は22年8月に「個人の権利権益を害する恐れ」「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れ」を理由に、一部の閲覧を認めなかった。一方で、個人情報を含む記録や供述調書は引き続き非開示が妥当とした。
(注)共同通信記事は「西山事件」と表記したが、当日記は「沖縄密約事件」と表記している。

 自民、公明両党は15日、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の日本から第三国への輸出解禁で合意した。典型的な殺傷兵器である戦闘機の輸出解禁は、平和憲法の理念に基づき、日本の安全保障政策の大転換になるが、国会での議論が一切ないまま自民、公明両党の密室協議で決定された。後日、閣議決定される。
 15日夜の各局のテレビニュースを観たが、NHKの「NC9」は、時間をたっぷりとり、なぜ戦闘機の輸出は何が問題なのかを深く考察し、秀逸だった。
同ニュースが報じた経緯によると、1967年、佐藤内閣は共産圏諸国や紛争当事国などへの武器の輸出を認めないとする「武器輸出三原則」を打ち出した。1976年には三木内閣が三原則の対象ではない地域についても「輸出を慎む」とし、実質的にすべて輸出を禁止した。しかし1983年に中曽根内閣がアメリカから要請を受けてアメリカへの武器技術の供与を例外として認める決定をする。それ以降、迎撃ミサイルの日米共同開発や、PKO活動に従事する他国軍への銃弾の提供など、個別の案件ごとに例外的な措置として輸出を認めてきた。2011年には野田内閣が「武器輸出三原則」を事実上緩和し、戦闘機も含めた装備品について国際共同開発や共同生産に日本が参加できるようにし、共同で開発・生産を行うパートナー国への輸出が可能になった。その後、装備品輸出のルールを大きく転換したのは2014年の安倍内閣。新たに「防衛装備移転三原則」と「運用指針」を決定し、他国と共同開発や共同生産した装備品以外についても、厳格な審査のもとで、輸出を判断していくとした。
 さらに、去年12月、岸田内閣は防衛装備移転三原則を改正し、外国企業から技術を導入して国内で製造する「ライセンス生産」について、ライセンス元の国に完成品を輸出できるようにした。そして15日、自民・公明両党はイギリス・イタリアと共同開発を進めている次期戦闘機について、第三国への輸出を容認することで合意した。
 平和憲法のもとで日本政府がいかに武器輸出をなし崩し的に黙認してきた経緯がよくわかる放送だった。

 共同通信によると、トランプ前大統領に仕えたペンス前副大統領は15日放送のFOXニュースのインタビューで、「トランプを支持しない」と表明した。ペンスは「保守とは相いれない政策を追求しており、支持できない」と述べた。副大統領経験者が「元上司」を支持しないのは異例。2020年のアメリカ大統領選挙で勝利したバイデン大統領は、勝利宣言の中で「私は分断ではなく結束を目指す大統領になることを誓う」と述べた。しかし、トランプ前大統領は、国民を「敵」と「味方」に分け、敵と認定した相手を徹底的にたたくという手法で自らの支持率を強化してきた。
 トランプ施政下でより深刻度を増してしまったアメリカ社会の分断について、ジャーナリストの池上彰は、「こうしたアメリカ社会の分断はかつての南北戦争に匹敵する」と16日の毎日新聞デジタルで解説した。池上はさらに「アメリカ議会はリベラル寄りの民主党と保守寄りの共和党という2大政党で成り立っている。かつては民主党も共和党も政治理念は今よりも中道寄りで、共通する考えも多くあったが、近年はお互いの政治的理念が分極化し、まったく相いれない状態になっている。そのため、米国民もリベラルな考えを持つ人はますます民主党を支持し、保守的な考えを持つ人は共和党で結束するということが起きている」。

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