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「超タイパ系文章術『文章コツ100』は、文章を書くことが苦痛で苦痛で仕方がない人のための本です」─著者の高田強さんに聞きました

今回は珍しく、いつものメディアパルのなかの人とは違う人が、インタビュー記事を書いてくれたので掲載します!なんかうれしい…!
というわけで、わたしはここまでで、隅からそっと見守ります。
みなさまお楽しみくださーい!

出版史上最速をめざし、「1ネタ約7秒で読める」(※個人差による)をテーマとした書籍「文章コツ100」。このインタビュー記事では、本書制作の裏側や中身の魅力についてご紹介していきます。 
             写真・文 文章コツ100広報チーム 船橋一徳

インタビュー第一弾は、本書誕生のきっかけについて、著者の高田強さんに聞きました!

■Webライターの文章に絵文字が入っていた衝撃

──高田さんは、編集者でもあるので、たくさんの原稿を読む機会がありますよね。まずは、最近、感じる若い方の文章の特徴について教えていただけますか?

高田強さん(以下、高田):ぼくが接しているのはプロのライターが大半ですが、そもそも若い書き手自体が減ってきていますけどね(笑)。
ただ、Webマガジンやニュースサイトには、20代〜30代の若いライターもいます。全体としての傾向というより……ある方は、原稿に絵文字を使ってました(笑)。

──笑顔のマークとか?

高田:そのときは、残念で泣いているようなマークだったかな。もちろん、相手は良かれと思ってやってるわけなんで、「こういう絵文字は、記事には入れないように……」と、丁重にお伝えしました。その方は、言葉で伝えるより、効果的だと思ったんでしょう。利にはかなってますけど……。

──文章力は落ちていると思いますか?

高田:うーん、一概にそうは言えません。あえて言うなら、書籍や雑誌の編集者ではなく、Webのディレクターが、どれほど文章に関心を持っているかでしょうね。ぼくらの時は、100文字以内で要点を踏まえ、ビシっと整える訓練をしてきた。それを、指導してくれる先輩の編集者さんもいました。そういう指導できる人が、不在だとするなら、要点それ自体が何かわからず、ダラダラと1000文字書いちゃうとか。そういう意味では、文章力が落ちているとも言えます。

──ちなみに、ライターではなく、取材などでやりとりする企業の方はどうですか?

高田:これも、言いづらい話ですね(笑)。LINEやSNSのDMの影響だと思うのですが、ライトなノリの文章が増えたと感じます。打ち解けた関係ならいいんですが、たまに「この文章、相手がムッとしないかな」と心配になることもあります。

──初対面なのに馴れ馴れしいとか?

高田:例えば、「!」を入れるにしても、目上の人なら避けるべきでしょう。受け取る人が、とてもまじめな人だったら不快に思うこともあるはず。そのあたりのマナーというか、相手に対する気遣いが欠如していると、伝わりにくい文章なってしまうんじゃないかな。

■世の中にある「文章術」は難しい

──高田さんのまわりで、この人は文章がうまいという人はどんな方ですか?

高田:たくさんいますよ。とにかく、文章のリズムがいいから最後まできっちりと読ませてしまう人とか、専門性が高い内容を平易な言葉で書ける人とか。ボキャブラリーとか知識の量とは別次元の才能ですよね。

──「うまく書ける人」は、ビジネス文章も上手?

高田:そうですね。でも、たとえ文章が下手でも、伝わる文章は書けるようになります。「誤解させず」「手短に」「気配りをして」書く。それが、備わっていれば、言い回しや語彙力なんていうのは関係ありません。

──ちなみに、世の中にある文章術の本を読めばその力は身に付きますか?

高田:そこなんですよね……。ぼくも、若い頃はそういう本をたくさん読みました。少しでも、仕事のプラスになればと思って。でも、ある程度、文章に触れてきたぼくでさえ、世の中にある文章本は難しいんですよ(笑)。

──読み解くのが難しいという意味ですか?

高田:というよりも、「応用力」が備わっていないとダメなんです。例えば、今回の「文章コツ100」でもご紹介しましたが、本多勝一さんが書かれた「日本語の作文技術」(朝日文庫)は、文章術の決定版といえるほど内容が充実しています。文章を学ぶなら、あれ一冊でいいと思うぐらいです。でも……応用するには、鍛錬が必要でしょうね。

──コツを知っても、すぐに応用できない?

高田:そうですね。理屈として理解できても、いざ文章を書こうと思ってもすぐには応用できない。ある程度、文章に触れて、たくさんの経験をした人なら「あぁ、こういうことか」となるのかもしれません。

──じゃあ、新社会人や若手のビジネスパーソンが読むのは難しいと?

高田:「来週中には、文章を書き上げないといけない!」じゃなくて、じっくりと学ぶときにはピッタリだと思います。だから、すぐに応用できるような文章の本があればいいなというのが、本書を書くきっかけですね。

■そのまま引用できることを心掛けた

──本書は、イラストや図録など、パッと読める内容が特徴ですよね。著者としては、どんな部分に気をつけて執筆されたのですか?

高田:ぼくは、ずっとフリーランスで仕事をしてきたわけではなく、業界に入ってから20年近くは出版社の中で仕事をしてきました。あえて、名前をあげると、リクルートや講談社などです。だから、情報誌や書籍を制作する傍らで、いわゆる企業の方々と同じように企画書やレポート、会議資料の作成などの事務仕事の経験もある。

──企業と同じような業務も一通り経験されてきたのですね。

高田:そうなんです。だから、企業の中で発生する文章を書く作業が見えるんです。ということは、その業務を例にして、そのまま名称やキーワードを入れ替えれば、引用できるようにしちゃおうと(笑)。

──丸々、引用できるように?

高田:その方が、圧倒的に効率がいい。それを繰り返していくうちに、なんとなく「伝わる文章」の要点みたいなものに気付くんじゃないかと。ぼくらも最初は、先輩の文章を意味もわからず清書したり、ワープロに打ち込んだりする中で、コツを掴んだようなところもありましたから。

──確かに、何度も書き写す中で気付くこともありますよね。

高田:今って、タイパとコスパの時代じゃないですか。じっくりと腰を据えて勉強しようと思ってもそんな時間はない。だから、引用しやすく、見出しだけ拾い読みしても理解できることを心掛けました。

──出来栄えへの自信はどうですか?

高田:ほんとは、本書に動画を付けようと思ったんです。読むのが面倒な人は、プロの役者によるコントみたいなやりとりを見て学べるとか。結局、若い人にしっかりと届いて、少しでもビジネスの場面で役立つことが大事ですしね。発売されたら、またなんかやろうと思ってます。直接、新社会人の文章を添削するとかね。メディアパルさんも応援よろしくお願いします!

Profile.高田強 Tataka Tsuyoshi
1968年生まれ。兵庫県出身。1987年、伝説の情報誌『ぷがじゃ』(プレイガイドジャーナル社)に編集者として入社。その後、アルバイト情報誌『from A』(リクルート)や『KANSAI1週間』(講談社)で編集に従事。現在は、フリーの編集者・ライターとして、Webや雑誌での執筆をはじめ、テレビでのコメンテーターなど、幅広く活動をしている。

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