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JICA海外協力隊員のつぶやきーウガンダの農村から

Gyebaleko(ジェバレコ)!ウガンダからこんにちは!
しばらくnoteを更新していませんでしたが、昨年JICA海外協力隊の合格を頂き、現在2023年度1次隊、コミュニティ開発隊員としてウガンダに派遣されています。
今日はウガンダに来てちょうど1か月、そして首都研修を終え、任地であるルウェロ県に赴任した節目なので、久しぶりにnoteを更新してみようと思います。

アフリカという未知の世界
大学生の頃から、何となくアフリカへの憧れがありました。自分が目指していた国際協力業界で働く方々の多くがアフリカで支援活動をしている姿を見た影響もさることながら、昔から未知のものに興味を示すタイプだったので、「貧困、飢餓、治安が悪い」という世間一般に抱くマイナスイメージが実際はどうなのだろう、と確かめてみたかったという思いがありました。
そして実際にアフリカ大陸の一つである、ウガンダという国に住み始めてみて。
最初はカルチャーショックが凄くて、これまで海外に来てホームシックになったことはありませんでしたが、初めてホームシックになりました(笑)
これまでは、主に東南アジアで旅行や仕事をすることが多かった自分。アジア諸国の多くは親日国で、(差別的な意味はなく)同じ黄色人種で、考え方や価値観も似ているため、国籍は違えど何となく自分が「受け入れられている感」、完全にと言わないまでも「馴染めている感」がしてとても居心地がよかったんです。

ところがどっこい。ウガンダでは(他のアフリカ諸国も同じかと思いますが)どこに行っても「チャイナ、ニーハオ、ムズング、チンチョンチャン」と声をかけられ、挨拶のように「金をくれ」と言われる。もちろん、中国人と間違われることが嫌なのではなく、彼らの言動が明らかに人を嘲笑する言い方なのが手に取ってわかるから嫌悪感を抱くのです。任地を歩いていると、「見て、あそこにムズング(外国人)がいるよ」と指をさされ、同僚と歩いていても、「お前何で外国人連れて歩いてるんだよ!」と嘲笑される。配属先顔合わせで、配属先長に「JICAから出来るだけお金を引っ張ってきてほしい」と言われた日には、私は所詮「お金をもたらす外国人」としてしか見られていないのか、と思いかなり幻滅しました。(その後、JICAから説明があり配属先長が協力隊事業を誤解していたようなので良かったですが。)外国人というだけで、肌の色が違うだけで、まるで「歩く異質物」として扱われることが、正直居心地が悪く、「何でこんなところに来てしまったのだろう、、、」と落ち込んでいました。「途上国の貧困削減に取り組みたい」と意気込んできたはずなのに、自分の心の余裕がなくなり、「この国の人たちを助けたい」という気持ちがなくなっているのに気が付きました。

首都カンパラにあるナカセロマーケットにて

任地ルウェロ県の農村を訪れて
1か月の首都研修の間、本赴任の前にSite Visitという任地を4日間ほど訪問する機会がありました。私は現地のローカルNGOのスタッフの一員として、小規模農家さんや青少年グループの収入向上、生活改善に取り組むのが仕事です。(かなりざっくりですが、これが要請なんです(笑))配属先では私のほかに、アメリカのPeace Corp、ドイツの農業専門家、カナダの学生ボランティアとも一緒に働くことになります。
Site Visit中、本来は配属先挨拶、任地の住居確認、病院や警察への挨拶や生活用品の買い出しで終わるはずなのですが、私の場合は上記に加え、支援先の農家グループ、青少年グループ、協働組合、地域の私立/公立学校訪問のほか、事業提携候補先の企業訪問の準備など、「もう活動始まってないか?」と思うほど何だか忙しなく過ごしていました。ですが、おかげさまで、自分の任地が抱える課題や、やるべきことがクリアになった気がします。

1.湿地問題と陸稲普及
国民の7割が農業に従事すると言われるウガンダ。近年コメ需要が増加している一方、生産力が低く他国からの輸入に頼っている現状があります。需要はあるのに自国での供給が追い付いていないため、コメは他の農産物よりかなり高値で取引ができるようです。(例えば、卸価格がメイズは約40円/kgの一方、コメは約200円/kg、配属先長曰く。)そのうえ、最も高値で取引できるコーヒー(約240円/kg)は収穫まで3年要しますが、コメは3か月で収穫できるため、きちんと収量を確保できれば、現金収入向上に直結する作物として注目されているようです。
ここで問題が。稲作で最も重要な要素のひとつである「水」。ウガンダでは政府の指針で環境保護のため、湿地での稲作栽培を法律で禁止したそうです。湿地ほど大規模でない圃場での水稲栽培は可能なようですが、ニュースを知らない支援先の農家さんはみな湿地で稲作を続けており、警察に見つかれば連行されるのも時間の問題とのこと。「これは収入向上どころではない」とのことで、水稲栽培を続ける農家さんを、陸稲栽培にシフトさせることが当面の私の仕事の主軸となりました。そのためには、農業知識0の自分が研究所で1から稲作栽培の知識を学び、それを農家さんに普及させること(有難いことに、JICAのPRiDeプロジェクトの中心国ウガンダには立派な研究所があり、農業専門家から稲作研修を受けられるそう)、また「コメには水が絶対に必要」と考える農家さんのマインドチェンジを図りやる気にさせること、そして最も課題である、支援先農家さんを賄う量のコメの種子の確保と、(ほぼ不可能だと思うけど)灌漑設備を導入することなど、まさに課題山積。(笑)しかも今まさに種を蒔くベストな時期だそうで、種子の確保は待ったなし、今回を逃せば半年先だそう。本当、どうしましょうね(笑)

湿地に広がる稲作

2.青少年グループへのアプローチ
農家さんとは別に、16~35歳の主にシングルマザーなどの若年女性がメインの、青少年グループへも収入向上支援を行う予定です。配属先長曰く、青少年グループにもサイドビジネスとしてコメ栽培の提案をしたそうですが、若いせいか、収穫まで時間と労力を要する農作業は彼らに向いていなかったらしく、相談の上、クラフト製作をやってみようという話になりました。当事者たちは養鶏ビジネスにも興味を持っていましたが、何だか話が壮大になる予感がしたのでスルーしました(笑)

3.個人的に可能性を感じるパイナップル事業
ウガンダに来てまず思ったのは、果物がとにかく安くて美味しい。そして私の任地であるルウェロ県は、ウガンダ国内でもパイナップルが有名なディストリクトで、Site Visitのあとお土産に同期隊員に買って帰ったパイナップルも大好評でした。にも拘わらず、首都カンパラで流通しているほぼすべての生鮮食品は産地が分からず、中にはルウェロ産パイナップルもあるのかもしれないけど、ごちゃごちゃで売られているので販売価格に差別化もされていない。ルウェロから首都に上がる帰りのバスでは、同じように手土産でパイナップルを買って帰る現地の方が多くいたので、「ちゃんとブランディングしたら売れそうだな、、、」と勝手に可能性を感じていたのでした。

任地で売られているパイナップル

案の定、簡潔に書くことが苦手なのでつらつらと書き連ねてきましたが、Site Visitで感じたことは、少なからず支援が必要な人が目の前にいる、そしてどのような形で、どの程度のインパクトをもたらせるか分からないけれど、自分が貢献できることが少なからずあると感じたこと。現地人にどんなに冷たい対応をされて、ウガンダが好きになれなくても、少なくとも自分が活動で関わる目の前の人たちには真摯に対応したい、そう思えたことが、今回の訪問で変わった自分の心境でした。

先日、日本大使館を表敬訪問させていただいた際、「アフリカの発展には何が最も重要か」大使に質問させていただきました。大使は「教育」が最も重要だと答えました。それは私も同感で、今回「コミュニティ開発」という職種を選んだのも、「出来るだけ多くの子どもが教育にアクセスできる環境を作ること」に貢献したかったからです。そのためには、家庭の収入を上げることで、学校に給食費や教科書代を払う余裕ができドロップアウトが防げる、日中子どもが働きに出なくても良い、教育にアクセスできる環境を作ることが出来るんじゃないかと思ったんです。(実際にはそんなうまくいかないけれど、、)

任期の間は、日々小さなことでも感謝を忘れず、人との出逢いを大切にしながら生きていこうと、ただそれだけは大事にしたいと思います。

長々と自分の心の整理に付き合って頂きありがとうございました!時々こうしてウガンダからつぶやいていきたいと思います。それでは、Sula Bulungi! (おやすみなさい)

配属先事務所にて

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