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⊿を経てプラズマへーPerfume 9th Tour 2022 "PLASMA" 2022/09/01

正直言って、今回のツアーは参加しなくてもいいかもと思っていた。なのに3人が登場した瞬間から涙がドバドバ出てしまった。

ここから先は盛大にネタバレします。
でも、ネタバレごときではPerfumeのライブの魅力は色褪せないことを約束しますので、特に行くか迷っている方にはぜひ!読んでもらいたい。
(メンバー本人たちもそう言っていました。口コミウェルカムな姿勢最高‼︎)


当日は開演に間に合うように会場に入ると、アリーナのど真ん中、白い布で覆われ、まだ全貌のわからないどでかいセットがあった。家を出る直前のニュースで見た、巨大なパラボラアンテナを思い出す。そこから左右に細長く、おそらく花道らしきものが同じく白い布に覆われていた。となりの席の関西弁の男が瓶の酒を飲んでいることに気づき発狂寸前になったり、会場で落ちあうことになっている姉がなかなか来ずハラハラしているうちに開演時間になり暗転。

白い布が落ち、オープニングはアルバムの導入と同じインスト曲「Plasma」。3人が宇宙船らしきものに乗って上から登場したのも相まって、2016年のCOSMIC EXPLORERを思い出していると「Flow」が始まった。ここで3人の姿をはっきり確認することができ、繊細で透明なレースをたっぷりあしらった衣装を身に纏って歌う姿があまりに綺麗で、涙がドバドバ出てきた。私は一部のファンが彼女たちのことを「三姫」と表現するのが個人的に好きでないのだが、これは率直に「天女みたい…」と思ってしまった。あぁ今日ここにきてよかった、と素直にそう感じた。無常感を漂わせる「Flow」という曲は、この数年間自由に身動きがとれなかった私たち(メンバーを含む)への、押し付けがましくなく過剰なわかりやすさも持ち合わせない、哀歌というべきか鎮魂歌というべきか、とにかく慰めの歌なのだと、曲が始まった瞬間、強烈に腑に落ちる感覚があった。

僕はただ信じていたくて
何もこわくないふりをしていた
あの日から心は変わらない
そのままでわがままでいたいだけさ
Perfume「Flow」

そして、この日の公演を後から振り返ってみると今回のツアーにおける手引きのような響きも持っていて、導入の立ち位置だったのもうなずける。シングル曲だったので、これは予想外だしすごいと思った。

そこから一気に「ポリゴンウェイヴ」「再生」とアルバム曲を畳み掛けるうち、無事に姉も合流し、私の涙も落ち着いた。隣の男は酔っ払ってクソおもんない合いの手を入れ続け、私の中での関西人のイメージダウンが著しかった。Perfumeはテレビ露出をしっかりしてくれるアーティストなので、歌番組で見たパフォーマンスをライブで観られるのはシンプルに嬉しい。「ポリゴンウェイヴ」のしなやかさ、特に三角形を手で形作るところは真似したくなるし、「再生」は前にドームで観た時(コロナで東京公演が当日中止になった“P Cubed”ツアー)はキョンシーダンスがもっとホラーで怖い印象があったんだけど、ライブの新たな定番曲になりそうなかわいさのあるナンバーになりました。「Time warp」はピコピコサウンドに合わせてとにかく忙しなく、バタバタした雰囲気がキュート。根強い人気曲の「ナチュラルに恋して」をやってくれたのも嬉しかった。狭い花道の上をヒールで…と心配になりつつも、全方位のファンに見えるよう、器用に向きを変えながら、3人のアイドルとしての魅力がシンプルに伝わるパフォーマンスに目尻を下げまくりました。

で、MCなんですが、わかってたけどよう喋る!セットリスト探してきてビックリしたけど、全部で20曲満たないんですね。でも体感はもっと長い時間を過ごした気がしてて、それぐらいトークタイムもしっかりある。パフォーマンスは超一流だけど、おしゃべりしだすと止まらない、トレードマークの広島弁はあまりにもフレンドリー…。コロナ以前は「P.T.Aのコーナー」も歯磨きのうたも、もうちょい控えめでもいいなーと思っていたけど…ライブが止まった期間を経験した今、そんなことはとるに足らないことだと思いました。「当たり前」が恋しくなるにはこの数年間は長すぎた。

そして、「この曲、ライブでこんなふうに化けるんだ⁇」って体験、誰しもしたことあると思うのですが、演出にリソースを割ける体力のあるメジャーなアーティストではそれを体験しやすいので、アリーナクラスのコンサートが大好きです。今回のPerfumeでもそれがしょっちゅう起きます。(かしゆかファンが倒れるでおなじみ)「Take me Take me」以来のイスを使ったパフォーマンスがあるし(小道具を使ったパフォーマンス大好き)、「アンドロイド&」も大化けします。ガイシホールが比較的小さめキャパなのかも知れないけど、「これアリーナクラスでやってくれるんか?!」ってほどに豪勢で贅沢な演出がすぐ目の前で繰り広げられる。めちゃめちゃかっこいい上に見どころが多くて、目が足りなくなります。

で、大切なのはその演出やテクノロジーがあくまで3人やメッセージをひきたてるものとして機能してること。思えば「Perfumeといえばテクノロジー」みたいなものに対して「もうええわ」と食傷気味になっていたのは、Perfumeよりその技術が目立っていることが多かったから。「なんか凄いんでしょうけど…もっとメンバーの姿をしっかり見せて😭😭😭」と感じる場面が特にテレビでは多かった。今回もそれがゼロになったわけではないけど(紗幕越しは鬼門)、それでもメンバーをいっそう魅力的に見せるものになっていたと思います。あ〜ちゃんがMCで語っていた、「オンラインではないライブで、実際にお互いの気持ちを交換しあえる(意訳)」ためのものであってほしいし、そうなっていたと思います。心に熱くさせる、温かいものを届ける、心を震わせるためのツールであること。

メンバーのMCを振り返ると、よく「今これからの時代、どうなるかわからないけれど…」といったことを口にしていました。冒頭に「Flow」が指針になってると書いたのはその点です。どんな時代になるのかわからないけれど、それでもいい曲、いいパフォーマンスを届けていきたいと。かしゆかの「私たちの道を正しいものにしてくれてありがとうございます」という言葉はファン泣かせだったし、珍しく(本当に珍しい)のっちが声を震わせていたのにもグッときました。「両サイドの花道がキラキラ輝いているのを見て、これまでの道もこれからの道もきっとそうなんだなと思って…」。韓国のアイドルファンの言い回しに「花道だけを歩こう」というのがありますが、本当にそう思いました。Perfume、花道だけを歩こう…。

そしてふと気づいたことがありました。今回、三角形のアピールが少ないな?と。どのバンドやアイドルグループにとってもそうであるように、メンバーの人数は特別な意味のものになります。TM NETWORKしかり、BUMP OF CHICKENしかり。Perfumeも例に漏れずで、3人を投影した三角形というモチーフは重要だったはずです。今作のアルバムタイトルになっているプラズマは、「固体、液体、気体に次ぐ第4の物質と言われる」ものだそうで、ここから第4形態に突入したというふれこみのPerfume。それは、三角形を重要なモチーフとして大切にした過去を踏まえて、新しい地点に行く…ってことなのかも知れない。とグルグル想いを巡らせてところでハタと気づいた。ラスト、彼女たちは登場時と同じリフターに乗って去っていく(完全に余談だが、直前まで天真爛漫に喋っていたのに突然スイッチが入って帰る様子がかぐや姫のようにシュールなので注目してほしい)。そのリフターの柄は、三角形のモチーフが繋がってできていることを…。そして、3人が立っていたセンターの丸いステージも、三角形で結ばれていたことを…。

とここまでダラダラ好き勝手に書いたのですが、何が言いたいかっていうと、あなたの街の近くにPerfumeが来て、チケットが買えたら、ぜひ行ってください!!!!!!ということです。正直チケットは安くないです。でもその価格以上の世界を彼女たちは、チームPerfumeは見せてくれるでしょう。コロナ禍を経た後のいくつか観たライブやフェスの中で、私はこのライブが一番だと思いました。残りのツアースケジュール載せておきますね。安心してください、これを読んでライブに足を運んでも、わたしには一銭も入りません。

9月17日(土) 広島・広島グリーンアリーナ
9月18日(日) 広島・広島グリーンアリーナ
9月24日(土) 福岡・マリンメッセ福岡 A館
9月25日(日) 福岡・マリンメッセ福岡 A館
10月1日(土) 長野・長野市多目的スポーツアリーナ ビッグハット
10月2日(日) 長野・長野市多目的スポーツアリーナ ビッグハット
10月7日(金) 宮城・宮城セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
10月8日(土) 宮城・宮城セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
10月29日(土) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
10月30日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
11月5日(土) 北海道・北海きたえーる
11月6日(日) 北海道・北海きたえーる


とにかく今のPerfumeを観てくれ!!!!見逃すなんてもったいないよぉ!!!!

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