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BTS「Dynamite」は遠くからでも見える花火だった

2020年、BTSの「Dynamite」が世界を席巻した。まるでずっと前からそこにあったような、幼い頃から馴染み親しんでいるような歌の響きで、私たちの心を魅了した。 

新型コロナウイルスが世界中に暗い影を落とすなかで、少しでもポジティブなムードを届けたいという彼らの姿勢が伝わるナンバーで、公式サイトには以下のようにある。

「Dynamite」は明るくて軽快な雰囲気のディスコポップ(Disco Pop)ジャンルの曲であり、「大変な状況でも各自ができることをしよう。ダンスとミュージックで自由と幸せを探そう」というメッセージを込めた。
https://ibighit.com/bts/jpn/discography/detail/dynamite.html

リリース当時の私はKPOPに関してはTWICEやIZ*ONE、itzyなどの女子グループはかなり好きだったが、男子グループには全く明るくなくBTSも例に漏れずだった。そんな私にもさすがに大人気のなのはわかり(ラジオをつければほとんど毎日流れていた)、しみじみといい曲だなぁと思った。ツイッターのTLでよく見かけるジョングクという名前の人が誰なのか、CGみたいなイケメンがいるなどの最も基本的な情報にふれはじめ、ここで世界に5億人はいると推察される、いわゆるダイナマイト新規…にはならなかったのだが、一年後にはオンラインライブを観て、「Dynamite」のMVで唯一ソロショットがないと嘆かれるジンくんのファンになり、ファンクラブに入会するまでになった。ここに至るまでの紆余曲折にはまた別で書きたい。

当時の私がハマらなかったのには理由があり、日本でトップアイドルとしてひた走ってきた嵐が活動休止前の残された期間を走り抜けていたから。毎日乱高下する感情と向き合いながら、彼らの一挙一動を見逃すまいと、瞬きも惜しいような気持ちで追いかけていた。嵐は活動休止を発表してから2年間の猶予を与えてくれたが、どんなに気持ちを準備したつもりでもお別れは寂しいものだと知った。それでもファンと誠実に向き合い続けた嵐のメンバーには感謝している。

そんなこんなで2021年12月、BTSのストリーミングライブ「BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE – LA」を視聴していてふと思い浮かんだのが、今回の記事のタイトルだった。

このストリーミングライブで、セットリストの間に映像が挟み込まれた。アジトらしき場所でメンバーが集っているところに、袋に入ったパステルカラーの粉末が届く。スイッチを押すと、街中でそのカラーが勢いよく発射されるーーーそんな描写だ。これは「Dynamite」のMV終盤に登場するものと同じ質感だ。

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これを見て、「あっ そうかダイナマイトは花火みたいな曲だったんだ」とすとんと胸に落ちた。音や光に気づくと、落ち込んで下を向いていた顔が思わず上がってしまうのが花火というものだ。そして、そこに花火を上げる人がいるという事実にまた勇気づけられる。楽しく明るいムードを放ちながら歌い、踊り、みんなも一緒に楽しもうと語りかけて、折れそうになる心を何度も持ち上げてくれた。

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改めて見てみると歌詞でしっかりそう伝えている。

海を隔てた距離にいても見えるぐらい高く、きらめいていている花火。それはこの曲に限ったものではないかもしれないが、当時の世界にとって「Dynamite」は、人々の心に希望を灯す大輪の花火みたいな一曲だった。そして、残念ながらコロナ禍が収まっていない現在も、これからも、そうあり続けるに違いないと思う。

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