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秋の気配

すこし前から秋の気配を感じるようになった。このクソ暑いのに、だ。

何にそれを感じたのかというと、夕暮れの空模様だと思う。濃紺と橙色のグラデーションを背景に、白い雲は水彩絵の具を伸ばしたように細く長く伸びていた。日が落ちる時間も少しずつ早くなっている。会社勤めの人間には定時があるので、日照時間の違いは意外と正確にわかる。

あ、夏が終わるな

と空を眺めていて思った。

季節の変わり目の空が一番切なくてきれいな気がする。切なさは綺麗を多分にをはらんでいる。

どんなにクソ暑い名古屋の夏でも、その終わりの気配は寂しいものだ。あなたは夏の名古屋を体感したことがあるだろうか。サウナというかもう、乾燥直後の洗濯槽の中と言って差し支えない。新幹線に乗って旅に出て、名古屋駅に戻って降りたったときのホームの「むわぁ…」と肌にまとわりつくあの空気。帰ってきたわぁ、と思う。そんな郷愁すら感じさせる名古屋の暑さ。絶対に東京より暑い。京都は正直、同じぐらい暑い(夏に嵐山で竹林を歩きながら、気を失いかけたことがある)。

子供の頃から、お盆を境に夏は急速にしぼんでいく実感があった。今年の夏も例に漏れず秋が静かに忍び寄ってきている。

でも暑すぎて死にそうなので秋になってもらって構いません。おしまい

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