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第179話 ツインレイという信頼関係


 真っ黒がどこまでも広がった、夜の海のような存在と会話をしていた。

「お前はお前でいろ。そうでないと俺も俺でいられない。」

 私にそれを伝えてきた“彼”の真意とはこうだった。

……自分が作り出した“彼女”が、彼女自身に不足を感じている。足りないと言わんばかりに次々と異質なものを身につけ、どんどん自己から遠ざかっている。
 そのままのお前を愛したかったのに。なのにお前は俺を傷つける。そのうち俺のことなど忘れて、いつしかお前は違う自分になることばかりに夢中になっている。
 いっそ殺してしまいたい。
そんなに俺から遠ざかるというのなら、お前を呪って殺してしまおうか……。

 どこまでも冷静な、彼の私に対する『失望』がその海原(うなばら)に横たわっていた。直情的な怒りというより私への『幻滅』そのもの。
 彼自身が深く“自分”を愛したいと願い、その願いの末に創られた“私”という存在は、今、彼にとって、見る影もない全くの別物と成り果てていた。

 だからずっと、呪い殺したいと言われていたんだ。それほど遠くへと離れてしまっていたからこそ、私をズタズタに切り刻める距離にいなかったからこそ、それで手段として、私を『呪って』殺したかったんだ……。

 それらを真摯に受け止める。
『私たちという二極』にとってのツインレイとは愛と憎悪(※)。双子だからこそ当然だけど、彼の存在が私を左右し、そして逆を言えば私という存在が彼のすべてを左右する。
 私自身、もう私以外の何者にもなりたくなかった。本来の私じゃないというなら、それでは私である意味がない。他人の寄せ集めのような、誰かの真似をした私なら、私であるという必要がない。

 あの先生が、中学校で私に笑顔を向けてくれていたその瞬間にも、先生自身も気づいてない深い哀しみがあったんだ。いつも笑っていてくれたけど、その間ずっとあの人のことを、私が傷つけ続けていたんだ。

「約束するわ。どれほど時間がかかっても必ず私が私に戻る。あなたが想いを込めて創ってくれた、その私へと戻るから。最初のあなたを真っ二つへと分けてまで、『愛したい』って創り出してくれた、その私へと戻るから。
 あなたが私を呪い殺したくてもかまわない。その感情のままでいい。そのままのあなたのすべてを、私が全部愛するわ。」

 夜の海は凪いでいた。
だけどまだ“お前を信用していない”と、トプンと音を立てて彼は再び潜っていってしまった。

……

 その明け方、気づいた時には鶴の背中に乗っていた。
 鶴岡八幡宮で私の身体を通過したあの鶴が、今度は明るい陽の光の中を飛んでいて、私はその“彼”の背中にぴったりとくっついて野山の景色を見下ろしていた。
 ビジョンは鶴の背中と田園風景だけでしかないのに、不思議なことに飛んでいる間、ハートチャクラでのまぐわいを感じていた。三次元ではあり得ない、チャクラ同士が溶け合って一体化する肉体以上の快楽が遥か上空で続いていく。
 たまらず幽体の腕を伸ばして鶴の首元にしがみつくと、私を愛せる彼の喜びが心の中へと流れ込む。すると再びチャクラが歓喜し、その快感で満たされる。

 あなたのことが大好きな私が大好き。

 そんなことをふと考えると、空には金色のフィルターを纏ったプレアデスが視えていた。美しく輝く黄金のプレアデスの元で、また螺旋を一段階、彼との統合を果たしていった。




※愛と憎悪の二極……魂の個性によって若干違ってくるようです。けーことタケくんの場合の二極とは、最初から『愛と無』。無視だそうです。
そして私の中にも『愛と無』もあるんですが、まず私と彼の場合の二極は愛と憎悪。その次に『統合した私と彼イコール愛』となり、その、『私と彼という自分』への二極として『そのほかの他者イコール無』という構造も持っています。自分という存在に夢中で他人への興味が無いんです。

そしてまた、誰かの真似をした自分なら自分である必要がないというのも私の原初の性質ですが、そこもけーこは違います。この辺はツインレイの個性によります。
(が、そこまで私が書いてしまうのもどうかと思うので、けーこの気が向いたらいつか記事になるかも。)



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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ツインレイという存在が相手に対して一番苦しむのは、この、二つに分かれた時とはまるで別人の、キメラ化してしまったことを相手自身が気づいてないことだと思います。
以前宇宙子さんと話している時、「サイレントって3〜4ヶ月で終わるものじゃないんですか?じゃあ辞めます。」って言った方がいらっしゃったと聞いて笑

今日の話だけでも、そもそもツインレイの相手はあなたを八つ裂きにしたくているのがわかると思いますが、さらにそこから逃げて「じゃあ辞める」なんて言った日には……。どこまでキメラになりたいの笑
更なる試練コース突入おつかれさまでーす。

あとよく勘違いが多いのは、サイレント終わって再会することが、イコール『統合できた』と思い込むことかな。これもね、統合をエゴ的にしか考えられていないという証拠ですかね。
はい、おつかれさまでーす。

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←今までのお話はこちら

→第180話 封印された浦島太郎

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