詩 発火する夜行

 涼んでいた 焼け落ちる列車を前に
 ズカズカと入り込み 懐中には 愛するものの蓋
 靡く声 哀れなる群 組織が痺れ始めた
 ざかざかと奴までくる 山盛りにしておけ
 油が滴り落ち 白毫 無墨に昏を呼び起こす
 太陽は沈み続け 我々の預かり知らぬ

 仕事に並んでいた 蜘蛛の巣のような組織 絡めとられ
 息苦しさに喘いでいた 熱風がわたしを燻製のようにする
 色々をとりどりに 木々の隙間から恐ろし気な鳴き声が響く

「この先、行くは地獄、戻るは破壊」
 全身で感じている 感じさせられている このような感情ども
 むずむずとして 敗血症のような乱高下に この顔が張り付く
 辿る道 そして崖 燃え立つ全ての道筋 安らかなる

それは願い
それは憂い
そして祈り
無慈悲だ
昏い底に
また
やって来る
鳥に従い
また
鳥になる
全て

苦しいな
神は
頼まれ
仕事は
紙屑
びりびり
わたしは
燃え滓

全てが鈍色で 遥かなる音の後にやって来る
イランイランの香り
内緒話のような、罪深さで
わたしたちは隠れていくものですね

釘を打ち込み打ち込まれる。 そんなところです。