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読書[地域再生の失敗学]地方交付税とナショナル・ミニマム


飯田泰之さんと5人の地域のプロの対談本を読みました。

[印象に残ったこと]

第1章 木下斉さんとの対談

○今までどおりのことはやらない。

行政の話でしたが、
今ある公共施設の維持費が現行の予算では足りないことが明らかになっている。
自治体は今ある施設のうち何%を手放さなければならないのか、政治的決断が問われている。

公共サービスを充実させつつ、人口減を前提にした方法で運営していくことが大切ですね。
私の住んでいる地方都市では、市役所建て替え、病院移転、スタジアム移転、新規博物館建設、など、盛りだくさんです。。こんなにたくさんの計画ばかりで大丈夫なのでしょうか?
老朽化、耐震強度、津波対策と、理屈は分かるのですが、規模を小さくする。稼げる施設にするなど、未来に負担の少ない形にして欲しいです。
これに関しては、選挙に行くしかありませんね。

○地域経済が活性化するには集中、集積が必要。

ということは、集積地以外ではいっそうの人口減少を容認しなければならない。

地方の都市部と郊外、山間地の関係ですね。
この辺りについては、最近、木下斉さんのnoteに関連エントリーがあります。

「地域再生の失敗学」は2016年出版なので、もう8年前の話。
現在では、集積化が進み新たな問題が出てきているようです。

コンパクト化しないから非効率で困るという議論の時代から、もはや生活者たちがどんどんDIDを選択するのが止まらないコンパクト化の流れにより、過去形成されていた無形資産がなくなり、それをどう補うのか?というテーマにシフトしてるのが現実です。

木下斉さんnote

沿岸部や離島に人がいなくなると、国防上の問題がある。国境問題や、不法滞在などの問題ですね。
対策として、石垣島に海上自衛隊を展開したというのがある。公務員を配備して日本の領土としての存在感を増すということのようです。

第5章 熊谷俊人千葉市長(当時)との対談

○地方交付税とナショナル・ミニマム

2024年現在は千葉県知事を務める熊谷さんですが、こうおっしゃっています。

日本の交付税制度が今あるような形で存続しているのは、国がナショナル・ミニマムを細かく決めていることの裏返しです。
国がナショナル・ミニマムを設定しているのだから、当然、国が財源保障をしなければならない。

地域再生の失敗学より

ナショナル・ミニマムとは、
"国家として国民に保障する生活の最低水準。対して地方自治体単位での最低水準をシビル・ミニマムという"

そして、ナショナル・ミニマムは国民が求めていること。

私は初めて知った言葉ですが、日本に住んでいればどこだろうと、だいたい同じような生活を送れると当たり前のように思っています。
家賃が高いとか、水道代が安いとか、子育てしやすいとかの違いはありますが、場所による格差が少ないと思います。

地方交付税制度が悪いというよりは、国が細かいレベルまで全国一律のサービスを設定して、その保障として財源を確保することが暗黙の前提になってしまっている。
その結果、地域ごとの独自性が薄れ、お金を集めることはやらずに、もらったお金を使うことが仕事になっている。

地方自治体が稼ぐ方向に転換すべき。と、木下さんも常々おっしゃっています。
しかし、そもそも国民が地域の独自性ではなく、日本の平均化を望んだ。国も地方自治の権限を制約したから、現在のようになったということですね。

ちきりんさんは世界中を旅して、先進国とは、国内どこに行っても同じインフラが整っていること。とおっしゃっています。

国民が同じように豊かになった日本の次のステップの段階がきている。そして、変わらないと日本がどんどん貧しく、生きづらくなってしまいます。

変化を受け入れ、世界情勢に乗り遅れないようにしたいですね。

お読みくださりありがとうございました。

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