350年後、の話

フス戦争が終結したのは、諸説ありますが1434年、または1437年とするのが一般的です。

前者はフス戦争の最終的な会戦である「リパニの戦い」において穏健派と主戦派の戦いが行われ、フス派の主戦派が敗北したことにより一応の終戦とする説です。ちなみに、この戦いで穏健派の総大将をつとめたのがアレシュ・リーズンブルクです。

後者は、リパニの戦いを生き延びたフス派の残存部隊の首領が斬首され、それをもってボヘミアのフス派の壊滅・終戦とする説となります。

私はさまざまな史料をさぐっておりましたが、このたび、1780年に編纂されたという歴史書を発見いたしました。とても嬉しい。うっへっへ。

1780年というと、現在2024年から見て240年ほど昔です。
しかし、フス戦争から見れば350年後に書かれたものであります。これは不思議な感覚です。

書いてある内容をところどころ翻訳してみましたが、歴史のディテールはだいぶ角が落とされて描かれているという印象でした。

それでも、おおまかな歴史の流れはほぼ踏襲されていました。

ていうか、240年前の歴史書を見て、「あー、これ知ってる。けど端折りすぎ。むしろ私のほうが詳しいざます」と、マウントを取りながら読んでいる自分に驚きです。
これは、アレシュの視点なのかしら?
アレシュから見れば、自分の死後300年ぐらいの時代に書かれた未来の書物でありますから、きっと私の目を通して彼もわくわくしながら読んでいることでしょう。

その歴史書は260ページもあります。私が読んだのはその中のごく一部です。
この260ページの歴史書を編纂した先人には、やはり敵うものではありません。部分的な知識でだけ、ちょっと優越感に浸らせていただきました。げっへっへ。

で、私の中のアレシュが言います。

「研究太郎さんは、端折らない歴史書を書いてね」と。

そのために夢を見せたり、不思議な出来事を起こして応援してるんだからね、と。

そう。アレシュの人生で成し遂げられなかったこと、それは、フス戦争で散って行った敵味方の人生を、一冊の本にまとめることでした。

「あの戦いで死んだあの貴族は、生前こんなエピソードのあった人なんだよ」、そんな一言でも良いから、彼らが生きた証を文章に残したいと、アレシュは今でも強く願っていると思います。

それに、私、研究太郎も同じ気持ちでいます。
だからこそ、少しの手がかりとなる史料を発見すると、この上ない喜びを感じるのです。

そこから汲み取った情報をまとめ、フス戦争の人々が生きた証をもう一度編纂するのが、私の夢であります。

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