「若者のがん急増は加齢の加速に関連している」という研究について。

最近は、朝晩少し冷え込みますが、
日中は暖かいですね。
家の前の桜もやや散りだしてきました。
今日の日没直後、
月が木星と牡牛座のプレアデス星団(すばる)に接近するそうです。
ちょうど帰宅途中だから見れるかなあ。

最近、ニュースなんかで50-60歳くらいの方の癌の話が、
目につくかなあと思っていましたが、
その関連の話題です。

Cancer Surge Among Young People Linked to ‘Accelerated Aging,’ Researchers Claim.
TheEpochTimes. 4/10/2024.

4月5日から10日までサンディエゴで開催された米国癌研究学会(AACR)の年次総会で、若年成人の癌の急増は「老化の加速」の結果である可能性を示唆する新しい研究が発表された。
ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学医学部の大学院生であるRuiyi Tian氏は、「複数の種類の癌が、米国だけでなく世界的に若年成人の間でますます一般的になってきています。この増加の要因を解明することは、若い世代や将来の世代における癌の予防や早期発見を改善するための鍵となるでしょう。」と述べた。

AACRは癌の研究発表では有名な学会です。
日本でも大学院生なんかは、
学位論文が仕上がったら発表す(させられ)ることも多いかも。

近年、世界中で癌の増加が認められています。
「コロナで病院にかかれなかったからだ!」という説もあるのですが、
高齢者はともかく、
若者はもともと癌が少ないので、
この種のバイアスはあてはまらないでしょう。

研究者らは、加齢加速の特徴である生物学的年齢の上昇が、55歳未満の成人に発症する早期発症癌の発症に寄与している可能性を示唆している。
生物学的年齢とは、人の身体と生理的プロセスの状態を指し、修正可能であると考えられている。年代的年齢は、その人が生きてきた年数を指す。
「年代的年齢とは異なり、生物学的年齢は、食事、身体活動、精神的健康、環境的ストレス要因などの影響を受ける可能性があります。これまでのevidence(証拠)によれば、若い世代は予想以上に早く老化している。しかし、老化の促進が早期発症癌の発生に及ぼす影響については、まだ明らかではありません。」
昨年、アメリカ癌協会は、結腸癌の診断の20%が55歳以下であり、1995年のほぼ2倍であったと報告した。また、50歳未満では進行がんの割合が約3%増加していることもわかった。

暦通りの年齢ではなくて、
生物学的年齢の上昇が若年者(55歳以下)で加速しているとのこと。

大腸内視鏡が身近になって、
早期の結腸癌の発見が増えたのかもしれませんが、
(アメリカでは高額で手軽にできるのか怪しい?)
若者だけ増える(倍増)というのはどうなんでしょう?


データの評価
Tian氏らは、英国バイオバンクのデータベースに登録されている148,000人以上のデータを調査した。
アルブミン、アルカリフォスファターゼ、クレアチニン、 C反応性蛋白(CRP)、グルコース、平均赤血球容積(MCV)、赤血球粒度分布幅(RDW)、白血球数、リンパ球比率の9つのバイオマーカーをもとに生物学的年齢を算出した。生物学的年齢が年代よりも高いことが判明した人は、老化が加速していると考えられた。
参加者は2つの群に分けられた。一方は1965年以降に生まれた人、もう一方は1950年から1954年の間に生まれた人である。
研究者らは、1965年以降に生まれた若い参加者は、高齢のグループと比較して、老化が加速する可能性が17%高いことを発見した。

9つの採血項目をもって、
生物学的年齢を推定したそうです。
これが妥当なのかは、
ちょっとよくわかりませんが・・・。
15万人近くで検討しているので説得力はありそうです。

1965年以降生まれなので、
58歳くらい?から下、
ざっくり60未満の人は、
老化が加速しているそうです(英国のデータ)。

次に、Tian氏らは老化の促進と早期発症がんのリスクとの関連を評価した。AACRの研究によると、老化の加速が1標準偏差(SD)増加するごとに、早期発症肺癌のリスクが42%増加し、早期発症消化器癌のリスクが22%増加し、早期発症子宮癌のリスクが36%増加することがわかった。
また、加齢の促進は55歳以降の肺がんリスクに有意な影響を与えないことも発見した。しかし、老化の促進は、晩発性胃腸癌のリスクを16%増加させ、子宮癌のリスクを23%増加させることがわかった。

生物学的年齢が上がると、
肺癌、消化器癌、子宮癌のリスクが上がるそうです。
肺癌は高齢ではリスクが増加しないそうなので、
今後トータルでは減ってくるのかも?

「加速する老化と早期発症癌のリスクとの関係を調べることで、早期発症癌に共通する病因について新たな視点を提供することができました。この知見が検証されれば、生物学的老化を遅らせるための介入ががん予防の新たな手段となる可能性が示唆され、また、老化が加速している兆候のある若年者に合わせたスクリーニングの取り組みが、がんの早期発見に役立つ可能性があります。精密ながん予防戦略を開発する ために、老化加速と早期発症がんを推進するメカニズムを特定する研究を続けたい」と研究者は述べている。研究者らはまた、参加者がすべて英国人であったため、この結果の一般化には限界があるかもしれず、多様な集団での検証が必要であるとも指摘している。

一般的な採血で済むようなので、
検診で「生物学的年齢」なんて出すのも面白いかも
(まだまだ検証が必要なのは置いといて)。

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