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元旦はBob Evansでパンケーキを食らう

先日会社の先輩に連絡をしたら、米国のNew Yearはどんな様子なのか?と聞かれたので、今日は初めてアメリカで過ごした正月の様子をお送りしようと思う。

最初に冒頭の質問から回答すると、大方のアメリカ人にとってNew Yearはただの祝日のひとつでしかない。Thanksgiving、そしてクリスマスにホリデームードは最高潮となり、新年が明けてもしばらくは街がクリスマスの装飾で彩られている。日本のように新年の飾りがある所は皆無。仕事も2日開始だ(今年は元旦が日曜日だったので、2日が代休で3日開始)。

ホーチミンに住んでいる時も、大晦日のカウントダウンはやっていたが、こちらも旧正月が本番なので、年末年始も長い休みはなくあっさりとしていた。思えば日本のように年末年始に長々と休みをとり、やたらと新年を祝う国は少ないのかもしれない。

年末年始は大晦日から、この広いアメリカで奇跡的に車で2時間半の隣州に住む叔母の家へお邪魔した。叔母夫婦は30年近くアメリカに住む大ベテラン。一歩家に足を踏み入れると、クリスマスの飾りが所狭しと並んでいた。大きなツリーには二人で訪れた場所のオーナメントが揺れていて、二人の歴史が感じられるようでとても美しかった。

夫は叔父とは初対面だが、これまた奇跡的に同時期にアナーバー(ミシガン州)に住んでいた共通点があり、すぐに打ち解けた様子だった。

大晦日は叔母の家でフットボール観戦をしながら手料理を頂いた。もちろん応援するのはミシガン大学!息子もミシガンのユニフォーム服を着て応援。サーモンやローストビーフ、そして蕎麦を頬張りながら、前評判を裏切る失速を見せたミシガンに皆で檄を飛ばす。
叔母の家は彼のキスチョコで有名なHERSHEYに近いのだが、なんとローストビーフはチョコレート味のビネガーでしたそうだ。これが美味!
アメリカと日本の良いとこ取りをしたような素敵な大晦日であった。ミシガン大学が負けたことを除いて。

元旦も叔母お手製のお節をご馳走になった。丹波の黒豆や、昆布巻き、田作り、伊達巻に海老、そしてお雑煮がズラリと並ぶ。食材集めに車で2時間はかかる日系のスーパーマーケットにわざわざ行ってくれたそうだ。
これまで全くと言っていいほどお正月を感じていなかった我々だが、「ああ、新しい年が来たのだなぁ。」と、胃からじんわりと感じた。お雑煮が染みるこの感じ。新年だ。
お雑煮が大好きな夫は、まさかアメリカでこんな正月を迎えられるとは夢にも思わず、いたく感激していた。

お節を食べて、コーヒーを飲んでゆったりお喋りをしていたらお昼をまわった。夜、朝と叔母が手作りしてくれたので、外にしようと二人がたまに行くというファミリーレストラン”Bob Evans”に行くことになった。
叔母曰く、アメリカ人はホリデーシーズンに手料理を振る舞いまくる分、それが過ぎるとママたちに休息を与えるべく外食に出る家族も多いそうだ。

元旦の13時頃にも関わらず、店内はファミリーで混み合っていた。叔母おすすめのパンケーキをオーダーし、眠いのかご機嫌斜めでぐずぐず君な息子をひたすら抱っこ紐であやす。ほどなくして大きなプレートに盛られたパンケーキが運ばれてきた。皿には4枚のパンケーキが並び、中央にはなみなみとメープルシロップが注がれたココットが2つ。これだけでお腹いっぱいなのに、漏れなくソーセージかベーコンがついてくるのがアメリカ。

アメリカ人はこの大量のメープルシロップを使い切ってしまうのか?なんてどうでもいいことを考えながら、もちもちなパンケーキを美味しく頂いた。こうして我々の元旦はゆったりまったりと終わった。所謂”お正月”ではなかったけれど、こういう年明けも悪くない。
帰り際に叔母が煮小豆やお餅を沢山持たせてくれて、ほくほくとした気持ちで夫と帰路についたのだった。

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