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地元じゃない場所でできた、人とのつながりに救われた日

先日、ナゾの眩暈とのぼせ、動機で、かかりつけの内科を受診した。
隣町なのだが、ご夫婦で医院を開かれていて、旦那さんが内科、奥さんが小児科と内科を診てくださるので、親子でお世話になっている。

血液検査をしてみましょう、ということになり、「検査結果をお伝えするので、一週間後にまた来てください」と言われていた。

正直、年始から家族の不調が立て続いたので、ストレスのせいじゃないかなあと思ってはいた。あと、年末に受けた健康診断の結果で、異様に中性脂肪が上がっていたので、そこも気がかりなところではあった。

受付で保険証と受診券を出すと、血圧測定をする部屋へ通される。

呼び出しに来てくれた看護師さんは、息子の同級生のお母さんだった。

息子が生まれてかれこれ12年。生まれた時からお世話になっているこの医院で、看護師としてずっと勤めていた人なので顔見知りではあったのだが、2年ほど前まで同級生のママさんだと知らずにいた。
もともとの学区が違ったのと、息子の学校が統合されてすぐ、コロナの影響で授業参観がなくなり、親どうし顔を合わせたのは5年生になってからだっためである。

親しい、と言えるほどの関係ではないが、今までは近くにいてもお互い特に話すこともなかったけれど、同級生の親どうしと分かってから、学校の話をするようになった。

今日も、血圧を測ってくれたのが彼女だったので、明日の授業参観の話や、6年生の送別会「ありがとう集会」を見に行きたかった話などを交わした。送別会では、どの学年も劇をするのだが、6年生は「アラジン」で、お姫様役は男子、悪役は女子という今風の配役に加え、インド映画ばりの歌って踊るシーンがあるなど、おもしろそうなのに親は見ることができないのである。残念でたまらない。そんな共通の話題と気持ちで盛り上がった。

もともと、地元ではない土地で、通う場所ができ、気さくに話せる人がいる。そんな関係がまた一つ、増えたのが嬉しい。


◎◎◎


診察が終わり、心配していた中性脂肪の値やコレステロール値は問題なかったのだが、貧血で引っかかってしまった。
鉄剤を処方され、薬局で受け取るよう処方箋を渡される。

医院のすぐ隣にある薬局へ行くと、受付に一人の女性がいる。私が勤めているデイサービスの利用者さんの、お孫さんにあたるひとだ。
私が、おばあちゃんの通う施設に勤めていることも知っていて、以前に声をかけてもらったことがある。
おばあちゃんは一人暮らしなのだが、お孫さんとちょこちょこ行き来があるようで、たまに「うちの孫が・・・」とおばあちゃんから話を聞くこともあった。

そういえば先日、おばあちゃんの誕生日会をデイでやっていたな、と思い出す。勤めているデイサービスでは、その週に誕生日を迎える方へ、写真を添えて手作りの誕生日カードを贈り、みんなで「ハッピーバースデー」を歌ってお祝いするのだ。

利用者さんの大半が昭和一桁生まれ。少女時代や青春時代は戦争で、誕生日祝いどころではなかったろうし、一人暮らしで家族からお祝いをされたことがない方もいる。

なので、誕生日祝いの席では、皆さん緊張しつつも喜んで下さることが多い。その話を出そうかどうか迷ったが、そもそもお孫さんが知っているかどうか分からないし、仕事の邪魔をしてもいけないと思い、そのまま待合の椅子に座った。

すると、女性がささっと私のそばに近寄ってきて、
「りんごりんさん、いつもおばあちゃんがお世話になっています。先日、誕生会を開いてもらったってとても喜んでいました」
と言うではないか。
ああ、おばあちゃんが話してくれていたんだ、とこちらも嬉しい気持ちになる。

「こちらこそ、いつもありがとうございます。喜んでいただけて良かったです」と返事をしている間に、次の患者さんが来てしまった。女性はささっと受付に戻る。

そのまま、薬を待っていると、また女性がやってきた。
「これね、この間の誕生日カード。おばあちゃんと撮ったんです」と、今度はなんと、先日の誕生日カードと、おばあちゃんが写っている写真を見せてくれた。家で撮ったものらしい。

もともと、さほど表情のあるおばあちゃんではないが、ちょっと恥ずかしそうに、でも嬉しそうにフフっと笑った利用者さんがピースしている脇に、紙で作られたいちごケーキが飛び出してくる仕様の誕生日カードが置いてあった。

デイとは違う、家族の前で見せるくつろいだ姿、そして心から誕生日祝いの行事を喜んでもらえた姿を、写真で見せていただけて嬉しかった。仕事中であり気兼ねもあったろうに、わざわざこうして私に話しかけて、嬉しい気持ちを伝えていただけたのが有難かった。

本当は、もっといろいろな話がしたいと思った。
「歩く機会が欲しい」と、おばあちゃんが積極的に歩行運動へ参加してくれていること。
分け隔てなく、いろいろな利用者さんと話を合わせてくれること。
寒い中、いつも車に乗せやすい通りまで出て待っていてくれること。
仲の良かったご近所さんが亡くなり、落ち込んでいるだろうに、気丈に淡々と生活を続けていること。

また、薬局へ行った時に、今度はもう少し自分から話ができるといいなと思った。

今の職場へ勤め始めて10年になる。
今までの自分の、人間関係やキャリアについて振り返り、いろいろ考えてしまいがちなこの頃だったけれど、


こうして、喜んでもらえたり、話ができる人間関係は、これまでの私が作ってきたもの。


自分にできることを、コツコツと積み重ねていこう。
そうすれば、思いがけず大きな喜びを得られることもある。
そんな、ご褒美の一日。


※トップの可憐な白梅は、すーさん日記さんからお借りしました。ありがとうございます。この時期に聞きたくなるこの曲👇良かったらご一聴を。


#今日の振り返り #日記 #通院 #人間関係 #心の栄養 #会話 #今日のご褒美

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