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「勿体無い」って言わないで

「勿体無い」

私が退職したと知り、同期がそう言ったそうだ。
何やら、同期で飲み会を開いたらしい。そこで、皆が「もったいないねー」と言ったんだと。

私はそれを聞かされ、不思議と嫌な気持ちになった。
ずっと半年近く、モヤモヤと、悲しく、腹立たしく感じた。


そして、ふと、腑に落ちた。


道端に粗大ゴミシールを貼られたソファがあったら「あら、勿体無い」と言う。

リサイクルショップで中古のソファを目にして「勿体無い」とは言わない。


私は粗大ゴミ扱いされた気がして、嫌だったんだ!


私は確かに仕事を辞めた。
しばらくは家にいて、家事と育児しか出来ないだろう。
もちろん迷った。悩んだ。辞めるの辞めた、辞めるの辞めるの辞めた…を何十回繰り返した。

でも結局、私は、仕事と家庭なら、圧倒的に家庭が大事。
ならば、まず今は家庭の為に時間を使おう。
そして、傍らに、もっと大事にできる仕事を探していこう。

そう思って、退職を決意したのだ。
安易に決めた訳じゃない。
決意できた事を褒めて欲しいくらいだった。


けれど、他人から見れば、私は「勿体無い」
ただ処分を待つだけの存在…

え?そんなつもり、ありませんけど?
可能性、感じていただけてないんですね。
何クソ…!
絶対切り拓いてやる。


意に反するレッテルを貼られてしまった、
理解してもらえなかった、
モヤモヤしたのは、そんな風に感じたからだった。


同期からしたら、そんなつもりはなかったのだと思う。

けれどやはり「勿体無い」と言うからには、
彼らの無意識の中に、
退職後の生活において、私がより有効に活きる可能性は無いだろう
という考えがあるわけで、
私の現状を慰めたり、蔑んだりする表現だと思う。
意図していようが、いまいが、言葉の意味は変わらない。


「あんな男に、あなたは勿体無いよ、別れて正解!」と過去の事を言う場合や、
「あら、勿体無い!だったら私、もらっていい?」と代替・改善案を提示する場合には、
むしろ好意的に捉えられるんだろうけど…

「勿体無い」は迂闊に使うものではないな。

また一つ、勉強。


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