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着物とレコードと竹久夢二③

サイケデリックな銘仙に目を奪われながら、次の展示に進んだ。<↓前回の記事>

竹久夢二美術館と銘仙の展示がされている弥生美術館は館内で繋がっていて、銘仙の華やかな部屋の奥に、竹久夢二美術館への入り口がある。

何度か訪れているはずなのに不思議と初めて来るような感覚を覚えた。
銘仙という着物の放つ大胆でキッチュとも言えるパワフルさが、五感を麻痺させてしまったのだろうか。それぐらい銘仙と竹久夢二の描く世界はおよそ似つかわしくない。そういう意味でもこの展示は貴重なものだった。

ちなみにわたしは竹久夢二と誕生日が同じだ。
9月16日生まれの乙女座。
知ったときにはびっくりした。

乙女座がどんな印象を持たれやすいかは何となく知ってるしその大方は間違っていない気がする。ロマンチストで、現実主義で神経質でどこかザツで、分析が得意だけどどこかザツで、美しいものを愛して止まないくせに毒も伏せ持つ。わたしの場合、ザツってところが人生の節々で出てしまっているが。笑

そんな夢二の求める美しさは、常に彼の中にいる女性が持っている。淡い色使い、細やかな花の模様、線の細さ。そのすべてに夢二の美意識を感じて少し泣きそうになってしまう。

セノオ楽譜:イラスト竹久夢二
セノオ楽譜:イラスト竹久夢二
セノオ楽譜:イラスト竹久夢二

セノオ楽譜:イラスト竹久夢二
セノオ楽譜:イラスト竹久夢二

どれも戦争が始まる前、西洋と日本の文化が混ざり合っていた大正時代のもの。その色褪せなさに驚く。夢二は時代より一足早く生まれたデザイナーとも評されたりするが、まさにその通り。

こちらは昭和5〜8年頃のレコード。

左下は男装の麗人と云われた川島芳子のもの。
川島芳子のことは寺尾紗穂さんの著書で知ったが、もっと詳しく知りたい人物の一人だ。


この秋に初めてつくったZINE「introduction」でご協力頂いた寺尾紗穂さんは音楽家であり文筆家でもある。

戦前に移民送り出し国でもあった日本の「その後」について、「日本人が移民だったころ」という著書も出されている。戦争を経験した人間がほぼ居なくなる時代の危うさを、彼女はきっと肌感覚で感じ取っているのだと思う。尊敬するアーティストの一人だ。

音楽はわたしにとってかけがえのない存在。
もし地球に音楽がなかったらと想像するのすらむつかしい。
あまりにも音楽に救ってもらっているから。

好きな音楽を聴いて、好きな映画を観て、時々美味しいものを食べて、くだらない喧嘩をして、時々デモに行って、愛を知って、解り合えなさを知って、誰かを好きになって、嫌いになって、一人で泣いて、好きな音楽を聴いて、好きな映画を観て。

そんな日々を過ごしたい。

だから戦争なんてイヤ。
悪政で世の中が疲弊していくのもイヤだ。
みなが笑って暮らせる世界が見たい。

竹久夢二


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