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日経記事を経営学の視点から見るーホンダ、カナダにEV新工場 電池含め巻き返しへ検討

日経新聞の記事『ホンダ、カナダにEV新工場 電池含め巻き返しへ検討』について、経営学の視点から考察しました

記事の概要

ホンダはカナダにEV新工場を建設し、電池の製造も視野に入れています。この動きは、イノベーションと市場適応、持続可能な開発戦略、地政学的要因を考慮した市場戦略、および新技術への投資とリスク管理の観点から理解することができます。これらの戦略は、ホンダがグローバル市場において競争力を保ち、持続可能な成長を達成するために重要です。

経営学の視点からの考察を以下に示します。

経営学の視点からの考察

イノベーションと市場適応

ホンダがカナダで電気自動車(EV)の新工場建設を検討していることが7日、分かった。電池の製造も視野に入れており、関連投資は総額で2兆円規模になる可能性がある。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC216PO0R21C23A2000000/

ホンダは市場の変化に対応し、イノベーションを通じて競争力を維持するために、新しいEV工場の建設を検討しています。シュンペーターのイノベーションの理論によれば、企業は新技術や製品を通じて市場での地位を確立する必要があります。

持続可能な開発と環境戦略

カナダは23年12月に「脱ガソリン」を宣言した。35年までに全ての新車をEVなどの電動車にする。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC216PO0R21C23A2000000/

ホンダのこの動きは、環境に配慮した持続可能な開発の方向性を反映しています。ブルントランド委員会による持続可能な開発の概念は、環境保全と経済成長の両立を目指す戦略として、企業の長期的な成功に不可欠です。

地政学的要因と市場戦略

北米での組み立てや電池の調達地域の制限といった一定の条件を満たす必要がある

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC216PO0R21C23A2000000/

 ホンダのカナダでの工場設立決定は、地政学的な要因と市場の特性を考慮した戦略的な動きです。ポーターの国際ビジネス戦略に基づき、企業は地域の政治的、経済的条件を利用して競争優位を築く必要があります。

新技術への投資とリスク管理

EVの中核部品である電池では世界シェア3位の韓国LGエネルギーソリューションと組み、25年に米オハイオ州で量産体制を整えるが、カナダでは自前での生産を目指す。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC216PO0R21C23A2000000/

ホンダは新技術、特にEV電池の自前生産に向けて投資しており、これは技術経営とリスク管理の観点から重要です。ジョン・ドルートンによれば、新技術への投資はリスクを伴いますが、長期的な競争優位を確保するためには不可欠です。

この記事についての私見

結局のところ、ホンダのこの大規模な投資は、自動車業界における持続可能な未来への責任ある一歩であり、技術革新と市場の需要の両方に対応する緻密な戦略を体現したものだと思いました。カナダでの新工場は、ホンダが環境負荷の低減、技術革新、そして市場リーダーシップを目指していることの明確な証しであり、自動車業界全体の変革における重要なマイルストーンとなると考えます。

また類似する事例としては、テスラの「ギガファクトリー」の展開が挙げられると思いました。この事例は、自動車産業におけるイノベーションとサプライチェーン管理において重要なマイルストーンです。

テスラは、電気自動車(EV)およびバッテリー技術の大量生産を目的として、複数のギガファクトリーを世界中に建設しています。最初のギガファクトリーは米国ネバダ州に設立され、以降、中国の上海、ドイツのベルリン、米国テキサス州などにも展開されました。これらの工場は、EV製造のための大規模なバッテリー生産設備を含む完全な垂直統合を目指しています。このテスラのギガファクトリー戦略は、自動車産業における革新的な事例として広く認知されており、ホンダのカナダにおける新工場計画も同様の戦略的考え方に基づいていると考えられます。

また、Apple社の中国でのiPhone製造戦略も他業界における類似事例であると思いました。この事例は自動車業界とは異なりますが、イノベーション、サプライチェーン管理、地政学的要因、新技術への投資という点でホンダのカナダでのEV新工場建設に似ていると思います。

今回のホンダの事例は、グローバル展開するメーカーが取っていく基本的な戦略なのであろうと思いました。

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