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明日はえる葉っぱ、神津島

神津島にはスーパーが一軒だけある。それはスーパーまるはん。
このスーパーに入るとまず目に入るのはキャットフードだった。出入り口に鎮座していた。理由は言わなくても察して欲しい。そして野菜売り場だ。野菜は下田産と書かれたものが目につく。私はなるべくそのスーパーに近い産地の野菜を食べたい派だ。下田産を買うことにする。下田から船で運ばれてくるだろう野菜、そして神津島産もある。神津島産も買うことにする。そして次に目に止まるのは惣菜コーナーだ。惣菜は忙しい都市部の私たちにとって大変ありがたい。惣菜コーナーで島寿司を目にする。これは、島でしか食べられない。ピリ辛だ。でも、そんなに辛くはなかった。寿司を目にすると魚介が気になり出してしまうので鮮魚コーナーに行く。神津島でとれた金目、そして塩辛。神津島にきたら絶対に食べることになるのはそう、塩辛だ。神津島の特産品はそう、「アカイカ」だ。

日本にいて、これほどたくさんの国の食べ物を食べられるということにまず驚かされる。外食に飽きてしまうことはほぼない。
そういえば大体、海外で数日滞在するとは自分で作ることが多くなっていた。そしてスーパーに行くと困ることがある。欲しい食材がないからだ。その時私が欲しかったのは魚介類だった。魚はその土地に根付いたものしか売られていない。私は何故スーパーにサーモンしかないのだ、と嘆いた。他の魚もあるにはあるが、高い。サーモンは冷凍だった。そう。スウェーデンの話だ。サーモンが冷凍で売られている。アトランティックサーモンだ。私が日本でありがたがって食べているノルウェー産サーモン、脂が乗ってておいしいサーモン。それが大量に冷凍で売られていた。私は日本のスーパーでラベリングされた「ノルウェー産サーモン」というのを思い出していた。
神津島のスーパーは、魚はあるけど、島だから魚がいっぱいあるから安いかと思ったらそんなこともなかった。冷凍の魚も多く並んでいた。鮮魚より手前に。これもスウェーデンと似ていた。
そして肉、肉も限りなく少ない。もしかしたら、私は神津島に住むとしたら肉を食べなくてもいいような人間になるかもしれない。そう思った。でもたくさん肉も食べたし、よく食べた外食は唐揚げだったしハンバーガーだった。
あと、明日葉も食べた。明日葉は山に行けばたくさん生えている。島の人たちはそれをよく散策がてらにとっている。両手いっぱいに。それは、もう収穫じゃないか。もう、収穫だよ。そんな具合にとっている。とりかたも熟知している。教わったので私もいつでもとりにいくことができます。明日にでも。そう。今日とっても明日もとることができるのが明日葉なんだ。
明日葉ばかり食べているわけにはいかない。私は制作をしなければいけない。島時間はあっという間に過ぎていく。都会とは時間の流れが違うのだ。私は都会にいる気分でパソコンに向き合う。昨日撮影した映像を編集する。パソコンに対峙しているとき、私はシティーガールだ。いや、もしかしたら島の人たちも?
私はふと、村落について考えていた。なぜ、こんなに広大な島の面積がありながらも、村落はこんなに集中しているのだろう?だって、不思議じゃないか。民家がここの地域にだけ集中している。どういうことか。google mapをみると島全体が緑で、住宅地が点在することはない島の地形をしていた。

私はあの明日葉を思い出す。明日葉は自生し、それを人間が摘む。鳥がたくさんいる。カラスは村落に我が物顔で周回する。夜になったら暗闇が待っている。人間は自然に順応する。

人里離れ、各所に点在する祠を横目に、なるべく身軽な格好で散策がてらに食材探し。

明日生える葉っぱを待ち望んで。

「アートサイト神津島2024 山、動く、海、彷徨う」

出演アーティスト

青柳菜摘/だつお、上村なおか、宇佐美奈緒、遠藤薫、オル太、角村悠野、カニエ・ナハ、清原惟、小林萌、contact Gonzo、千日前青空ダンス倶楽部、環ROY、テニスコーツ、花形槙、嶺川貴子、山田亮太、U-zhaan


●梅若能楽学院会館opening performance

2024年4月28日(日)14:30~20:00


●神津島 tour & live performance

昼夜、アーティストが神津島の特設会場や島内を巡り、パフォーマンスや演奏を行います。

A program

2024年5月18日(土)・19日(日)・20日(月)

B program

2024年5月24日(金)・25日(土)・26日(日)


公式サイト

https://s-class-k.com/cate/artsite/


チケット
https://artsite.peatix.com

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