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四月大歌舞伎「神田祭」

友人に導かれ、最近は歌舞伎も覗いたりしている。2月は十八世中村勘三郎十三回忌追善興行にて「籠釣瓶花街酔醒」を。この4月はこちらの記事に従って「神田祭」を覗いてきた。

仁左衛門の鳶頭がただただかっこいい。玉三郎の芸者が、ひたすら艶やか。 舞踊劇なのでドラマらしいものもない。この2人も名前はなく、「鳶頭」と「芸者」でしかない。それなのに、何よりも劇的なのだ。

仁左衛門・玉三郎は半世紀にわたり共演を重ねてきた。その時間が観客を至福の時へと導く。ラスト、花道を去るときに、2人は笑顔で客席を見渡して会釈をする。それは、役者・仁左衛門と玉三郎としてのようでもあり、鳶頭と芸者としてのようでもある。観客としては、もはやそんなことはどうでもよく、この至福の時がこの1秒でも長く続いてほしい。そう思っているのに、2人は去り、幕は引かれる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/80474cd5f96657fd6cf0e004b983fe947ef040a6

と書かれている通りで、これ以上に的確な評はない。ここでは、あくまでも素人による個人の備忘録として、雑感を残しておく。



「神田祭」とは?

続いては、舞踊『神田祭』です。賑やかな祭囃子で幕が開くと、舞台は祭り気分に浮き立つ江戸の町。そこに、ほろ酔い気分の鳶頭の仁左衛門が登場し、江戸前のすっきりとした踊りを見せて祭りを盛り上げます。続いて、芸者の玉三郎が自らの思いのたけをくどきで表現する場面は、みどころの一つ。粋でいなせな鳶頭と艶やかな芸者の二人がそろって踊ると、その美しさに客席も華やぎ、鳶頭が大勢を相手に軽くあしらう立廻りでは、大きな拍手が沸き起こりました。仁左衛門と玉三郎による、歌舞伎の魅力を存分に味わえる舞台をお楽しみください。

https://www.kabuki-bito.jp/news/6607

短いクリップだが、こちらに雰囲気が分かる動画が。


「神田祭」 (坂東寛二郎・坂東里哉版)との比較

友人から事前に「神田祭」の動画を送ってもらっていたので、今回はこちらを観てから臨むことになったわけだが…。

この動画がいつ演じられたものなのかは不明。少なくとも動画がアップされた11年以上前のものであることは間違いない。ただ、今回の「神田祭」とはスーパー歌舞伎以前/以後の違いがあるように感じられた。

スーパー歌舞伎(あるいはスーパー歌舞伎に代表される猿之助歌舞伎)は「ストーリー(Story)」「スピード(Speed)」「スペクタクル(Spectacle)」の「3S」を重視することを特徴とした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E6%AD%8C%E8%88%9E%E4%BC%8E

正にこの特徴の通りで、鳶頭の喧嘩シーンでは寛二郎・里哉版において2人しかいなかった若い衆が、今回の仁左衛門・玉三郎版では6人。スピーディーなアクション、息の揃ったフォーメーションの練度も段違いだ。見得の代わりに、アクロバティック体操のような曲芸が見せ場となり、派手で観ていて楽しい。

また、寛二郎・里哉版においては舞踊の大半は祭の場面を表現しているように思うが、仁左衛門・玉三郎版では舞踊が2人のこの先の人生にまで拡張する瞬間・時間が長く、ストーリーにも重きが置かれている。

ラストの花道の活用にしても、若い衆がそこに逃げ込むようなことはなく、2人のための場所として温存されているからこそ、2人が花道を寄り添いながら歩く時間が愛おしく感じられるのだろう。

観劇方法

今回、自分は幕見席にて鑑賞。

2023年6月3日(土)に初日を迎える歌舞伎座「六月大歌舞伎」より、歌舞伎座の一幕見席の販売を再開します。

 歌舞伎座の4階に位置し、好きな幕だけお気軽にお楽しみいただける一幕見席。令和2(2020)年3月より販売を中止しておりましたが、このたび歌舞伎座「六月大歌舞伎」より、新たな運用方法での販売を開始することが決まりました。

 大きく変わる点は、指定席エリアができ、前売り販売が行われること。指定席は約70席、自由席は約20席販売され、お客様のご都合に合わせてご購入いただけます。

https://www.kabuki-bito.jp/news/8279

前日の12時に販売開始、「神田祭」は18時から20分の上演で1,000円でした。※大人気だったようで、別日には2分でチケット完売で友人は鑑賞できず…。

ただ、やっぱり遠いので繊細な感情表現を追うならオペラグラスは必須かも…。


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