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顔出しパネルとタマぼけと新世界

明日、何時に集合する?
リビングでそんな話が上がっていた。
聞き耳を立てていると、スナック平林の常連二人(ペイ君とピッチャー君としておく)が
どうやら天王寺で一眼レフの練習会をするらしい。

私も休みやねん!連れてって!
と大きな声でアピールすると快く受け入れてくれた。
じゃあめいさん、明日起きたら連絡してね。
そう言われた。

翌日。
私は楽しみすぎて8時半には目が覚めて、
休日についついサボってしまう洗濯物も回して、
ピッチャーが起き出すのを待っていた。
ちなみにペイは朝から別件のため先に出ていた。
9時。ピッチャーが起きてこない。
電話をして起こしたはずなのに、二度寝をしていたそうで、
やべーーー
って言いながら起きてきた。
聞いてみれば、
6時には起きるはずやってん
いやいや3時間経過してますけど。
と思いながら、シャワー終わるのを見計らってコーヒーを淹れてあげた。
喜んで飲んでくれ、出発まで仕事をするということで、ひとまず別行動。

ピッチャーと一緒に天王寺に着くと(ピッチャーは大阪出身のはずなのに、なぜか天王寺初上陸の私がエスコートしていた)、
すでにペイは到着していて、ランチの順番待ちをしていた。
お店の前に出ていた顔出しパネルで高校男児のようにきゃっきゃ遊んでいたら、陽気なヨーロッパ系のスタッフに呼ばれた。

3人でパスタとピザとポテトを頬張りながら、
ペイのシェアハウスに住むまでの経緯を聞いていた。
なんか人の人生って本当に色々だなと人ごとのように思ってしまったが、
人間の深さはやはり経験からきて、それが日々の言動に出るものだと
30手前にして思ったひとときだった。

さあ、始めようか。

ランチを食べ終わった後、撮影が始まった。
先生はペイ。生徒はピッチャー。
私はその練習台というわけだ。
ピッチャーは一眼レフのマニュアル撮影がほぼ初めてだったそう。
ペイが熱心にレクチャーをしていた。
被写体の私も初めての経験だから勝手が一ミリも分からない。
今撮られているのか、どこを向いたらいいのか分からない。
さぞかしカメラマン泣かせだっただろう。
それでも銀杏並木の前、クリスマスツリー、あべのハルカスの前、
さまざまな場所で撮影していた。
ちなみにその日で一番面白かったのは、芝生バックの写真。
グリーンバックのような出来上がりで3人で爆笑してしまった。

タマぼけとは、をペイが熱心に解説する傍で私はぼんやりと
この時間がいつまでも続けばいいのにと思っていた。
心地の良い人たちとゲラゲラ笑いながら、
一生コントみたいなやり取りをする時間。
まるで高校生の放課後のような時間の使い方。
きっと人間皆この時間が好きなのではないかと思う。

あ、そうそう、撮影をしていたら近寄ってきた男の子がいた。
ペイのひと押しでピッチャーがシャッターを切り、
何枚かの男の子の写真ができた。
なんだか、とってもピッチャー君がカメラマンをしていた。
その横顔がとてもカッコよかった。

てんしばを一周したところで、通天閣の方面、新世界に行こうと
思い立って歩き出した。
お腹すいたなーってペイが一言。
いやおたく、1時間前にたらふく食べたばっかりやん。
と私が返すと、それでも出されたら食べるんやろと一蹴された。

新世界に到着すると通天閣をしばらく撮影したあと、
その日の写真を見ながら3人でたこ焼きをつつくことにした。
タマぼけの写真は天候的にできなかったが、
逆光の力が十分に発揮され、私らしい写真で埋め尽くされていた。
それがとっても嬉しかったけど、
照れくさくてあんまりちゃんと言えなかったからここに記しておく。
ペイと私はレモンサワー、ピッチャーは男梅サワーを飲みながら、
その後は他愛のない話をしていた。ここでは書けない話だが。

その後は各々帰宅するなり次の用事に向かって行った。
私は帰りの阪急電鉄で心地よく酔っていたので、眠っていた。
夕焼けと夜の狭間の景色が広がる車窓をぼんやりと眺めながら、
とにかく気持ちよく食べ、笑い、喋り、笑い、たまにボケて、
テンポのいい会話をするこの人たちが
私の今の生活に欠かせない存在だと気がついた。

さあ、次はどこに行く?ていうか、どこに連れてってくれますか?

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