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2人用フリー台本『めっちゃ引越し先かぶるやつら』

<はじめに>

ようこそ初めまして、鳴尾です。
こちら、以前ボイコネで投稿していたシナリオになります。

10分、2人用(男2)フリー台本です。
演者様の性別は問いません。兼ね役も頑張れば可能です。
セリフは、多少であれば言いやすいように変えていただいて構いませんが、なるべくそのままだと嬉しいです。
お芝居としての趣味、商業利用、ご自由に使ってくださってください。
その際、鳴尾の名前添えていただけると嬉しいです。
無断転載や自作発言は悲しくなるのでやめていただけますと幸いです。

もし使用後にこちらのコメントかTwitter等で教えていただければ、できる範囲で聴きに行きたいと思いますので、よかったら教えてください。

<あらすじ>

は、タイトルの通りです。ちょっとコメディ?

<登場人物>

平社員。会社の都合でめちゃくちゃ転勤させられてるけど成績が悪いわけではない。
面倒見はいいけど、いい奴止まりで彼女はできない。

  • 西

ちょっと女っ早い。彼女はすぐ出来るけど長続きしない。
会社では役職についてるのにすごい転勤させられてる。


『めっちゃ引越し先かぶるやつら』


東:よし、やっと引越しの片付けが済んだ。転勤のせいで引越しには慣れたけど、やっぱ片付けめんどくさいなあ。もうしばらくは転勤ないといいなあ。あ、そうだ。お隣さんに挨拶してこよ。どんな人かな?いい人だといいなあ。

東:ピンポーン

東:すみませーん、先日隣に引っ越してきた東です。

西:えっ?東…?

東:へ?

西:ガチャ。

西:なんでいる?

東:あれ?西?なんで西がいるんだ?おっかしいなあ。疲れてるのかな。

東:あー…すみません間違えました。失礼しまーす。

西:あ、はい。

西:バタン。

東:いやあ俺疲れてるんだな。だって西がいるわけないもんな。

東:よし、1回家の中に入って深呼吸しよう。

東:すーはーすーはー。

東:よし、今度こそお隣さんに挨拶しに行くぞ。

東:ピンポーン

西:ガチャ

西:なんだよ。

東:あれ?まだ西が見える。

東:いやでもそんなはずはない。

東:すみません間違えました。

東:明日にしようかな。

東:バタン。

西:あいつ、勝手に自己完結して帰りやがった。っていうかなんでいるんだ…東。これで何回目だと思ってる。おかしいだろ…。くそっ。腹立つからこっちから引越しの挨拶行ってやる。

西:ピンポーン

西:すいませーん。昨日引っ越してきた西です。

東:…。

西:おい返事しろや。いるのは分かってんだよ。

東:ガチャ。

東:いやあガラの悪いお隣さんだなあ。それに前住んでたとこのお隣さんと苗字一緒って…どんな偶然だよ全く…。

東:あ、あなたに話しても分かりませんよね。すみません。

西:東。

東:あれ、なんで俺の名前知ってるんですか?

西:現実見ろよ。

東:…くっそお!!またかよ!!!

西:それはこっちのセリフだ。なんで隣なんだよ、また。おかしいだろ。

東:ついてくんなよ、西!

西:お前が僕についてきてるんだろ。

東:なあ西、この家決めたのいつ?

西:二ヶ月前の24日。お前は?

東:二ヶ月前の25日。

西:お前じゃねえかついてきてるの!

東:知るかよ俺は会社から紹介されたとこ来てんだよ!なめんな!

西:なめてねえよ。

東:そうか。

西:で、いる?

東:また百均の洗剤か?

西:悪かったな安モンで。そっちこそどうせいつもの水2リットルだろ。

東:別にいーだろ。こっちは使い道あんだから。俺まだお前が前の前の引越しの挨拶でくれた洗剤も残ってんだけど。

西:文句言わずに受け取れ。これしかねえんだよ。

東:あーあ。なんでこうなるんだよ。

西:僕が知りたい。

東:おかしいだろ。これで何連続だ?

西:17。

東:せめて時期くらいずらせよな。

西:そういうのはお前の会社の人事に言えばいいだろ?

東:お前が自分の会社の人事に言えよ。

西:うちの人事は独身の意見を聞かねえんだよ。

東:じゃあさっさと籍入れろ。

西:相手がいねえんだよ。殴るぞ。

東:わ、悪かったな。

西:謝んじゃねえよ虚しいだろ。

東:理不尽!

西:お前、次会社行ったら絶対人事に文句言え。そしてもう異動すんな。僕は多分また数ヶ月したら出てくから。

東:その作戦さ、前やったけどそーゆーときに限ってお前2年くらい異動しねえじゃん。

西:あれだってお前が焦れて異動願い出さなきゃうまくいっただろ。

東:お前がどっか行けって言ったんだろ。

西:言ってねえよ。

東:言ったって。ほらあの年末にやった飲み会でさ、ベロベロになったお前が『もう異動にならねえからお前が引っ越せ』って言ったじゃねえかよ。

西:…あのときのことは忘れろ。

東:忘れてたまるかよ、あんなおもしれえ西。やっとできた彼女にフラれて泣きじゃくって子どもみたいに熱出してそのまま出社して帰りに俺ん家の前でやけ酒あおってるとか、今思い出すだけでも笑い止まんねえんだけど。

西:今すぐ忘れろ!

東:仕事納めして帰ってきたら悪酔い状態のお前に絡まれて部屋に押し入られた俺の気持ちが分かるか?しかも二日酔いと風邪の悪化で俺の貴重な休み潰しやがって。忘れたくても忘れらんねえんだよ。

西:追い出せば良かったんだ。

東:俺そんな性格悪くねえ。お前と違ってな。

西:僕を何だと思ってんだよ。ふざけんな。僕だって優しさくらいある。

東:あの彼女はどうした。

西:結婚の知らせが届いた。

東:笑う。

西:殴るぞ。

東:八つ当たりは良くないぜ。

西:お前こそ彼女とかいねえの?

東:は?殴っていい?

西:いねえんだ。

東:お前が悉く邪魔するせいでな。

西:何のこと?

東:しらばっくれんな。知ってんだぞ。お前、俺が行く合コンで毎回いい感じのコ、口説いてるよな。しかもトイレとかで待ち伏せて俺に気づかれないようにしてさ。

西:知らねえな。自分がモテねえからって人のせいにしてんじゃねえよ。

東:相変わらずムカつくやつだな。顔だけ野郎。

西:うっせえブサイク。

東:それは直球過ぎねえかな。傷つくんだけど。

西:知るかよとっとと引っ越せ。いっそ会社辞めちまえ。

東:ひでえ。お前こそ転職しろよ。そんで引っ越せ。

西:僕は役職あるんだよ。ヒラのお前と違ってな。だからやめるならお前だ。

東:ていうかお前なんで偉いくせにこんな異動してるんだ?

西:お前に説明する義理はねえ。

東:あっそ。

西:とにかく、僕は今回短い予定だから、お前は絶対引っ越すな。もう定住しろ。いっそこの部屋買っちまえ。いいな。

東:…いや買わねえけど。まあいいや。俺もうこっから引っ越さねえから。お前が後悔しても遅いからな。

西:三ヶ月で引っ越してやる。

東:さっさと出ていっちまえ!



西:…くっそ。何であいついるんだよ。腹たつ…。

西:あ、電話。…西です…はい、はい…。え?今年もう異動しない?でもこないだ来年は異動なしって…。は?当分異動なし?いやおめでとうじゃなくて。…え本当に?あ、はい。分かり、ました…はい、失礼します。


西:……………………………あー………まじ?

こんにちは、自他共に認めるいかれポンチ鳴尾です。 いかがでしたか? あなたの期待に応えられるよう、これからも良い作品を書き続けますね。