Suchmos『THE ANYMAL』

2016年当時、音楽シーンの新しい波に酔いしれていたみなさん。Suchmos聞いてますか?
もしかして、すぐに来た違う波に乗っていっちゃいましたか?
彼らが『THE ANYMAL』なんて出しちゃったから、こりゃダメだとそっぽ向いちゃいましたか?
しかしそれは勿体無いよってことを言いたい。

まず『THE ANYMAL』は文句なしの大名盤である。私もSuchmosの作品ではブッチギリに好きな作品だし、もし彼らに"その後"があるとすればを想像せずにはいられない。
しかしその後はなかったし、HSUは若くして亡くなってしまった。

この作品が出た時、若干世間はSuchmosという新しい波にも飽き、新たな刺激を求めていた気がする。
2018年のフジロック出演時のYONCEが発した迷言や、同年の『THE ASHTRAY』があんまり振るわなかったことが遠因なのか。それとももっと大きな流れの影響か。

世間が離れるパターンはざっと以下の通りかなと思っている。
1.単純に飽きた。もっと違うものが出てきたし、まだそれやってんの? パターン
2.犯罪やって干された。センスが桁違いの人は細々と活動できるけど、正直当人のキャラや文化にもよる。あと罪の内容にもよる。
3.大衆性を減らしていき、自分の理想に近づいていった。

Suchmosはまごうことなき3に該当する。
この『THE ANYMAL』は、サイケというマイナージャンルに、申し訳程度の10's要素(微かにヒップホップの要素かな?)を混ぜた挑戦的な作品である。

上記に加えて
・自主レーベルを作ってまで自分たちのやりたいことを通した
・60、70'sの再構築
あたりがよく言われる評価ポイントかな?

個人的には、00's前半Radioheadに通ずるものを感じたので、その辺のポストロックの要素もあるのではないかと思っている。
特に何故だか『KID A』が頭に浮かんでくるのだ。やってることはもっと前の音楽なのに。
どちらも今までとは違うことに挑戦したって共通点があるか。
その辺は個人的な感じ方もあると思うが、ぜひポストロック、Radioheadファンに訊いてみたいポイントである。

百見は一聴にしかず。
非常に聴き手を選ぶ作品だが、触れないでいるのももったいない。
音楽にあまり触れてなくても刺さった方もいると聞く。
間違いなく名盤なのだよ。

良くも悪くも、『STAY TUNE』で世間が固定観念を持ってしまったが故に埋もれてしまった名盤だと思う。
ホントに悲しい。

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