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花とショートケーキ

ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは人間だし、花を愛するのも人間だもの。

太宰治『女生徒』


花を、自信を持って「好き」だと思い買うようになったのは、ここ数年のように思う。

昔は花がなんとなく苦手で、その理由のひとつに華道の存在があった。

私の通っていた高校は「華道」「茶道」「書道」「香道」「日本舞踊」と、日本の伝統芸能が授業で学べる学校で、海外への興味と同時に日本の伝統についても知りたいという気持ちが芽生えた私は、それらの授業をすべて履修した。

手順や決まりごとがはっきりしている「茶道」や「香道」と違って、「華道」は自由度がとても高い。もちろん、大人になってから習ったり仕事にされたりしている方は異なるのだろうけれど、私が高校の授業で受けた「華道」は少なくとも個人の“感性”が優先されていた。

私にはそれがつらかった。

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