メイテイ

ことばの雑貨屋さん。

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  • 告白

    日記のように、一人の人生を追体験するように、自分の経験から一つの小説を作り出すことをコンセプトに公開しているマガジン。更新停止中

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Steve Jobs for me

最近、一人でしたことはなんですか。誰かと過ごす時間と同じように、誰とも一緒にいない時間を過ごすことは、ときとして特別な時間になることがあります。一人で焼肉、一人でカラオケ、または、一人旅でしょうか。どれも素敵な時間として過ごせたでしょうか? 僕は、アメリカを一人旅しました。 そして、それは素敵な旅ではあったかも知れませんが、想像や期待通りの何かは、ただの一つもありませんでした。 スティーブ・ジョブズはスタンフォード大学の卒業式で行なったスピーチの中で「Keep look

    • 母なる大地と逆アンパンマン『メイドインアビス 烈日の黄金卿』の感想

      冬の低気圧はマジの体調不良になるので法律で禁止して欲しいです。メイテイです。 メイドインアビス2期観ました。非常によかったので感想を書きます。 Netflixでの2期の配信に気づいていなかったため、全話揃ってから一息で観た。そのせいで中盤の話の濃さに完全にやられ、半日のあいだ食欲がなくなった。メイテイが記事を書くには十分すぎる満足な内容だった。 ※この記事はネタバレを含みます。 1期より映画よりグロい過去とリコたちを繋げていくストーリー演出の巧さもさることながら、アビ

      • 「本当に人を愛したことがないんだ」『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』感想

        スーパーでバターを買って帰ったら、冷蔵庫にはもう一つのバターがありました。メイテイです。 なんとなく見に行った鬼太郎映画で、思っていたより食らってしまったので、書き残しておきます。 和ホラーと昭和と鬼太郎和ホラーの要素をふんだんに持っており、日本色の彩色が鬼太郎の世界観によくマッチしています。白粉顔の時麿だったり、歌舞伎っぽいお面も。 そして、電車内で会社内で部屋の中で煙草を吸いまくる水木。令和では考えられません。時代背景がすぐに分かるように描写されていますね。 川井憲次

        • 泣けないほど軽い昨今の音楽が虚しい

          中学生の頃は、イキって洋楽のカヴァーをYoutubeで漁っていました。メイテイです。 “昨今の音楽”さっそく、本題に入っていきましょう。昨今の流行りのポップスがなぜクソかについて。どこがクソなのかについて。 ここでは、令和以降の音楽を、昨今の流行りポップスとして捉えることとします。もう少し踏み込んだ言い方をすれば、YOASOBIの登場以降でしょう。既に多数のアーティストがスターダムを駆け上がっていますが、とりわけ、YOASOBIの世界的な影響は無視できません。 Gacha

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          君たちがどう産まれたか[スタジオジブリ 君たちはどう生きるか 感想]

          メイテイです。 ほとんど宣伝がされないまま、突如発表されたスタジオジブリの新作、君たちはどう生きるか、を観てきました。 宣伝なしの発表方法は映画アニメーション界ではすごく珍しいため、まだ新作が出たことに気づいていない人、映画館のポスターで知って、過去作のリバイバル上映だと思っている人、いろいろ情報が錯綜していると思います。 元ネタや、同名の漫画、小説との関係は以下の記事が詳しいです。詳しく知りたい方はこれを。 メイテイの結論としては、けっこう気持ちわるい映画でした。た

          君たちがどう産まれたか[スタジオジブリ 君たちはどう生きるか 感想]

          東京はさびしい

          訳あって突如一人暮らしを始めた。 埼玉県がいやになったからだ。実家は新築だったし、特に親のうるささは人並みだったろうけれど、実家に住み続けている自分と、埼玉県がいやになったから家を出た。 一人暮らしをはじめてみるとわかるが、料理や家事のありがたさを感じる前に、そんなことを気にするはるか以前に、問題はいくつもあったことに気がつく。 第一に、家具や家電、消耗品を買うサイクルができていることが、努力によってなされたものなのだと、生まれて初めて、理解する。 ティッシュやトイレット

          東京はさびしい

          情動型質感制作について

          こんにちは。メイテイです。 Intro: この記事について僕はデジタルメディアの分野で創作を経験してきました。実務経験はまだ浅いものが多いですが、そのジャンルは多岐にわたっています。具体例を挙げると、デザインから始まり、Webサイトを経由して、音楽のミックスを行い、それから動画編集も行ってきました。 多すぎて自分でもわけわからなくなってきました。数は自慢にはならないと考えていますが、とにかく、まとまりなく様々なことに手を出してきて、すべてに共通した最大公約数のようなものが

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          情動型質感制作について

          デイビッドはなぜ自殺したのか?[サイバーパンク エッジランナーズの感想]

          配信されているサイバーパンクのアニメを観た。すごくハマった。たとえるなら、家から出たくないときに出かける予定があるとき、ちょうど体調を崩して免罪符を得たような心地だ。それは身体どこかに空いている見えない穴にハマるパズルのピースみたいだった。メイテイは原作のゲーム版をプレイしていないが、十分に楽しめた。 ※この記事にはサイバーパンクとチェンソーマンのネタバレを含んでいます。 ・イケイケな狂気描写アニメーションがすごいのは書くまでもない。強烈な色彩設計(ハイライトが緑とピンク

          デイビッドはなぜ自殺したのか?[サイバーパンク エッジランナーズの感想]

          恋人に殺される夢

           夢を見た。今ならスマホゲームでありそうな、和物ビジュアルノベルのホラーだ。  僕はジャズ奏者でサックスを吹いていた。構内は催しが行われ、たくさんのお偉方が来ている。この大学は仏教の系列だからか、僧侶のような格好をした人が多い。  場がそうしたのか、僕の意思かは分からなかった。けれど僕は今日のセッションを完璧なものにした。誰がどう見ても素晴らしいものだったと自負できる。酸欠で息がくるしいが、それすらいい証拠であるように思えた。お偉方から直接「すばらしい演奏だったよ」と言わ

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          豆腐屋がおじいちゃんになっていた

          豆腐屋に会ったのは五年ぶりだった。実家で暇を持て余していたら、母が「豆腐を買ってこい」と言ったからだ。僕はいつも豆腐屋が鳴らしている「ぷー、ぷっぷ」という情けない音を聞きながら、財布を持って外へ出た。 この近くに豆腐屋は一つしかない。ラインナップのどれもがスーパーで買うより格段に美味しく、新鮮で、しかも安い。けれど軽自動車で売りに出るのは、一週間のうち火曜日と金曜日だけだ。不定期で、休んだり時間がずれたりする。 帰りのチャイムが鳴ったあと、暗くなると、近隣の家の前を例の音

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          マニュアル人

          エンジンをかけるときには、気をつけないといけない。クラッチペダルを踏み、ブレーキを押し込んで、ギアがニュートラルに位置しているのを確かめ、ハンドブレーキが一番上に来ていることを認める。すべてを確認できて初めて、両足をペダルに押し付けながらキーを回すことができる。エンジンが回りだす音が車伝いに分かって、油圧の変化に合わせ、力を入れているブレーキペダルが少しずつ沈み込んでいく。 これは、日本でマニュアル車で免許を取得するためには、まず覚えなくてはならないことだ。法律と交通ルール

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          コーヒーで愉しむまどろみ映画

          夢をみた。今ならNetflixにありそうな、それなりに名のある監督がつくった、実験的な映画のような夢だ。 ことの発端は昼寝をしたせいだった。昼寝の前に、起きたら飲むべくドリップコーヒーを淹れ、そのままにしてふて寝をし、仕方なく残ったコーヒーを夜に飲んだのがわるかった。いや、わるい体験ではなかったから、よかったのか。夢の中の映画はこんな感じだった。 いつものように歌舞伎町にいる。タトゥーが入った仲間や、ピアスの開いた仲間、金髪の仲間たちと一緒に、裏路地で人生を謳歌している。

          コーヒーで愉しむまどろみ映画

          詩然な文章

          自費出版の三兎群青『燃えない炎』を読んだ。彼の文体は独特で、村上春樹の流れをくむような、他国語から翻訳された文章や、嘆き(なんということだろうか!)など、特有のクセがある。どちらかと言えばフィッツジェラルドか。 白状すると、途中まで退屈に感じて、読み進めるのに詰まった。というのは、全体をどう捉えたらいいか分からなかったからだ。雰囲気があるキャラクターたちが魅力的なのは間違いないが、ドラマティックに展開していく物語ではなく、台詞の掛け合いは結論ありきだった。果たしてこれを物語

          詩然な文章

          嘘をついたことがあった。 母にゲームをやめろと言われて、家族が集まる一階から、誰もいない二階の部屋に帰ったときだった。 小学生のとき、僕は多くの子どもたちと同じように、ゲームをするのが好きだった。公園で集まってゲームをしている子どもたちの中の一人だった。しかし、満足ゆくほどゲームを買ってもらえるような家に僕は生まれなかったらしかった。携帯ゲーム機だけがあって、同じものばかりを遊んでいた。いろんな種類を試せないから、同じものをやり続ける他なかった。新しいゲームを手に入れるこ

          満員電車で胎児を目指す

          緊急事態宣言が出てからしばらくが経つ。電車は本数が減り、ゆったりしていた終電の時間は繰り上がり、鉄道各社は赤字が膨らんでいる。 しかし人々は満員電車をやめられない。東京都の家賃は他の国にある大都市と比べると平均値は安いにもかかわらず、わざわざベッドタウンに身を置き、満員電車に揺られて通勤する。働くひとたちの収入が少なく、ベッドタウンにしか住めない経済の問題だとひとまとめにするならば、それも一理ある。だれが好き好んで満員電車に乗っているものかといった怒りは、至極まっとうである。

          満員電車で胎児を目指す

          オタクと宗教民営化

          この国は無宗教だと言われて久しいけれど、本当のところは神道に染まっている。だって年始は初詣に行くし、実家には神棚があったりする。さらに言えばこの国には、エンペラーこと天皇さまがいらっしゃる。世界でいちばん偉い位を持ってるらしい。国民全員が天皇を知ってる。あまりにもあまねく人たちに浸透し過ぎているせいで、みんながみんな気が付かないだけだ。 でもこれは民営化された宗教じゃない、どちらかと言えば国営の宗教だ。全国民が信仰者みたいなものだから、規模も大きい。そうじゃなくて、じゃあも

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