不一致

私が彼に対して感じている距離。

親近感、親しみ、愛しみ(いつくしみ)、幸福を祈る気持ち、心の何をどこまで開示するか。

そういう対彼への想いの一切。

彼が私に抱く想いの一切。


想いも距離も一致しない。その不一致は確かめることなく認められ、一致など不可能であることも承知している。


それでもその不一致を感じた時、自分の拙い一方的な想いが宙ぶらりんになって、置いてけぼりを食らったかのような、いや、ずっと前から自分だけ同じ場所にいて置いてけぼりになっていることさえ気づかずに何年も幻想の世界にいた愚かさを思い知ったような気持ちになる。

不一致を正とし受け入れ、不一致はつまりお互いがかけがえのない別の個体であることの証明であるから、不一致は輝かしく美しいものでもあるのだとそう思っている。

感情は、感情である。


私の感情と、意志や思考とは必ずしも一致しない。

そういうものだ。

感情は、感情である。何か起きた時真っ先に自然に発生して、私がそれに気づくのは後。

後の祭りだ。

淡々と、それを受け入れ処理するのは私の役割だ。


知らぬ間に発生してしまった感情を内包して、私は生きる。

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