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輝きの正体

遠くの空にとても美しい輝く光があった。 彼はいつも、部屋のベランダに立ち夜空のその輝きを無心で見つめていた。雨や曇りでその輝きが見えない日を除いて、必ず輝きを見つめた。 ある夜はビールを片手に、またある夜は手すりに組んだ腕を置き、そこに頭を置いて。 空気が冷たくても、蚊に刺されても、膝が伸び切ってうまく曲げられなくなるまで見つめた。 その輝きは次々と色を変えた。 ガスコンロの火のような青、パプリカのような黄、オーロラのような緑、ポストのような赤、夕焼けのようなオレンジ、そ

    • 消耗

      人に届けた 私の言葉 私の気持ち 私の思考 私の善意 私のノウハウ 私のしたことが 消耗されていく 届けたその人に。 売るとは、買った人によって売ったものが消耗されるということだ。多くの場合。 ほんのごく一部、消耗せず大切に守り育ててくれる人がいる。 ただ消耗し、もしくは消費された私。 例えば林檎ちゃんは、例えば藤くんは、そんな風に思わないだろうか。 きっと、思うよね。 それでも、音楽を言葉をライブを作品を生み出して届け続けている。 私も、私が買

      • Tさんとご飯食べた議事録

        今日はTさんとご飯を食べに行った。 お客様であるTさんを私の自宅近くのお店まで来ていただいてごちそうまでしていただいた上に4時間もおしゃべりをしてくださった。 いつも私はお客様に接待してもらっている形になってしまう。 Tさんと出会ったのは3年半前くらいだけれどご飯に行くのは初めて。 Tさんは立派な人で素晴らしい人だなって前から思ってた。 言語化すると軽薄で安っぽくなるけど、 自分次第だ。相手ではなくて自分が考えややり方を変えるんだ。行動する。楽しむ。楽しませる。相

        • 不一致

          私が彼に対して感じている距離。 親近感、親しみ、愛しみ(いつくしみ)、幸福を祈る気持ち、心の何をどこまで開示するか。 そういう対彼への想いの一切。 彼が私に抱く想いの一切。 想いも距離も一致しない。その不一致は確かめることなく認められ、一致など不可能であることも承知している。 それでもその不一致を感じた時、自分の拙い一方的な想いが宙ぶらりんになって、置いてけぼりを食らったかのような、いや、ずっと前から自分だけ同じ場所にいて置いてけぼりになっていることさえ気づかずに何

        輝きの正体

          私は詐欺をはたらいている

          ウォーキングをしていたら石像に出会った。 いつ建立されたものかわからないけれど、彼はずっとここに微動だにせず立ち右腕をまっすぐ前に挙げたポーズでい続けている。 どんな天候であろうと、鳥が頭に乗ろうと糞をしようとただずっと前を見据えて立ち続けている。 石だから。辛さを感じていないし他の場所へ行きたいとか座りたいとか眠りたいとかあらゆる希望もない。 苦しくないから大丈夫。 どこかで生まれた石を無理やり削って生まれた場所とは全然違うところに置かれているけれど、たぶん石は何も感じてい

          私は詐欺をはたらいている

          藤くんの夢

          今朝起きてチャットの返事を打っているときに突然思い出した。 今日私は藤くんの夢を見たと。通常起きてすぐに夢が頭にあって映像が消えていくものだけど、起きた時には覚えていなくて全然違うことをしている時に突如思い出した。 やっぱり脳は、私にとって重要な情報は無意識の領域から意識の領域に情報をあげてくれているんだと思った。 夢はなんだか川床みたいなところでプチライブイベントみたいなことをしていて、私はなぜか客席側じゃなくて藤くんの後ろにいた。 サビの部分でちょっとした振りがあ

          藤くんの夢

          ドラマカルテットを見て

          カルテットは音楽が好きで音楽で生計を立てることにあこがれているけれど現実にできない30代4人の男女の恋愛と、夢の行き場を描いたドラマ。 最初はあまり面白くなくて途中で見るのをやめてしまったのだけど、しばらくして思い出してなんとなく続きから見始めたら面白くて4話から最終話まで一気に見てしまった。 忘れられないのが6話。数十分間にわたる松たか子さん演じるマキさんと宮藤官九郎さん演じるミキオさんの出会いから結婚、ミキオさんの失踪までの描写。 二人の心がずっと違う方向を見ていて

          ドラマカルテットを見て

          林檎ちゃんと石川さゆりさんのSONGSを見て

          林檎ちゃんはどうしてそこを切り取ったんだろうと思うようなところを音楽にする。 その感覚、その感情、私にもあるって気づかされる。口にしない語らない共有しない部分。 それがあるのを知っているのに、無視できてしまう部分。 気づいたら、どこにもたどり着けなくて世界は不安定でそんなものを持っていても仕方なくてひとりだけ取り残されたような気持ちになる。 地雷みたいなもの。 見つめ過ぎたら、触れ過ぎたら、どうにかなってしまうかもしれない気がする怖いもの。 どこにもたどり着けない

          林檎ちゃんと石川さゆりさんのSONGSを見て