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僕の身体が透けてしまうから。

丘の上の墓地で眠る僕は、
10月になると麦風にくすぐられて目を覚ます。
僕は森のなかのみずうみで彼女と会う。
彼女は蝋燭の灯を消す。
僕の身体が透けてしまうから。
灯を消すと暗がりに森が浮かびあがる。
しゃべれない僕のかわりに
浮かびあがる10月の森のすべてがさざめく。

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