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幽霊船が氷河で舵をきる。

この前のライブが終わったあと、はじめて来てくれた男の子が、「つららに溶ける太陽の永遠」がよかったです、と言ってくれた。真夜中に独りでつくったうたの名前を偶然会ったひとが発してくれる。そんな美しい響きがこの世にあるなんて知らなかった。

つららに溶ける太陽の永遠

名前捨てた少年が北の汽車を待つ
冬の牙のよな風が弱ったもの探す
かじかんだ両手の感触取り戻す
冬の牙のよなリフのギター思い出す

みじめになったことなんてない
大事な鴨の柄のナイフ見つめる
みじめになったことなんてない
白百合の強い匂い思い出す

名前捨てた少年が北の汽車に乗る
氷の精霊 窓に結晶吹きかけ
北限の音階が神話を蘇生する
いちばんこわいものは一枚の絵の美しさ

みじめになったことなんてない
幽霊船が氷河で舵をきる
みじめになったことなんてない
つららに溶ける太陽の永遠

名前捨てた少年が北の汽車おりる
すべての消えた鳥が彼を出迎える
優しいはばたきに夜は熟し
深く眠った彼をそっと隠す




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