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櫻坂46 『隙間風よ』 破壊と再生

櫻坂46には15枚連続で表題曲を歌唱しているメンバーが3人いる。
小林由依さん、土生瑞穂さん、小池美波さん

「隙間風よ」は間違いなく名曲となる。

欅坂46から櫻坂46

欅坂46「東京ドーム公演」のテーマは「破壊と再生」であった。
グループは常に過去をそのまま残すことでなく、過去を作り替え利用し新たな世界観を創造し進化していく道を選んできた。
「二人セゾン」の世界観を次曲の「不協和音」で破壊したときは、ファンたちも相当驚いた。
破壊に目がいきがちだが、それだけではなく破壊と再生を繰り返してきたとわかるものも沢山ある。その最たるものが「避雷針」の世界観だと思う。
「避雷針」は公演ごとに進化し、東京ドームで究極の形になった。

そして9枚目の発売を断念した時期に、欅坂46は究極の「破壊」として櫻坂46への改名を発表する、これこそは究極の破壊。

小林由依、1期生

「隙間風よ」は1期生の小林由依がセンターを務める。
今でこそ櫻坂を引っ張る小林であるが、欅坂に加入当初はそこまで目立つ存在ではなかった。
平手友梨奈・原田葵に次ぐ年少メンバーであるが、平手の最年少、原田の小学生キャラの前では年少のイメージは少ない。
小林自身は加入当初から多様な才能を見せてきた。
しかしグループには、ダンスでは鈴本、歌では今泉、リーダーシップでは菅井、バラエティ的には志田、理佐、織田といったメンバーが際立っており、小林は多才なれどどのジャンルでも飛び抜けたところはなかった。
そして欅坂では究極の表現力を持つ平手友梨奈が頭抜けた存在感を放っていたのである。
唯一無二、欅坂の平手であり、平手の欅坂となっていたのである。
平手の表現力の前に小林由依が悔し涙を流したのは有名な話だ。
それだけ自分にないものを2歳年下の平手は持っていた、追いかけても追いつかない存在だったのである。
小林由依が流した涙は当時の一期生全員の涙・悔しさだったと思う。
そしてあるものは平手を追いかけ、あるものは途中で心が折れたのかもしれない。


「隙間風よ」は、
欅坂の結成から綻びの発生のちの崩壊、そして櫻坂としての再生、
それを支え続けた1期生の心の物語。
そして欅坂としての短い期間では、1期生を支えることさえできなかった2期生の悔しさ。
今、櫻坂として飛躍している2期生が常に感じる1期生の苦悩の歴史
これらを表現した、聞けば聞くほど見れば見るほど味わい深い1曲。

今作の歌唱メンバーは1・2期生全員。
ご承知だろうが、1・2期生は全員が元欅坂46のメンバーである。

再生なのか創造なのか

「隙間風よ」考察
雲ひとつない青空なんて
残酷じゃないか
完璧なもの 見せつけられたら
僕に逃げ場はない

♪ 完結した過去に立ち向かう1.2期生の不安と覚悟の気持。
平手打ちとは平手友梨奈の衝撃。
平手に打たれた小林が先頭になり、メンバーが小林について行くんだという決意が表現されている大事なパート。
平手という良くも悪くも大きな存在に打たれた欅坂(櫻坂)が、小林を先頭にしての再生が始まる。

「でも 本当はそんな
ちゃんとできるような僕じゃないんだ
もっと僕らしく好きにやりたい
どうすりゃ許して貰えるんだろう?」

♪ 乃木坂46の妹グループという大きな看板を背負ってスタートした欅坂、最初から大きなステージで戦ってきた彼女たちのプレッシャーは計り知れず、たくさんの逡巡があっただろう。

隙間風 胸の奥 どこから吹くのか?
いつの間に傷ついた 今日までの自分
寂しいって ため息になって口から出た
本音だけが少しずつ漏れてく
Oh… 気づかないくらい
Ah… 静かな力で
Oh… 足を引っ張る
僕しか感じない微かな風

♪ アイドルになるという選択が正しかったのか、迷いながらも前に進むことをやめなかった現在のメンバーたち。
歯を食いしばってやってきたが、自分の心の中にいつの間にか「澱」が溜まっていき、そしてそれはため息として漏れてくる。

「そう こんな僕がさ
変わってるって言われちゃうのは
納得なんかできやしないけど
世界はそれでも無視して回る」
それならずっと 僕のことは数には入れないでよ

♪ エキセントリック、黒い羊、アンビバレント、多くの欅坂の楽曲が表現してきた感情。自分に真っ直ぐに努力していくと変わり者と見られ孤立していくという

Oh… 息をする度に
Ah… 逃げてくものとは
Oh… ずっと溜めてた
こっそり吸い込んだ希望の空気
誰にも人に言えない
何か きっと
心にあるだろう
知らずに少しずつ 言葉になって漏れてる気がする

♪ 様々な逡巡を重ね、夢とか希望を持って前に進むけど、その希望さえ吐き出して堪えきれなくなる時もある。聞いていて涙が出てくる部分、彼女たちの苦しさの気持ち。

どうせなら その穴を 大きく開いて
この胸の わだかまり 風になって出てけ

♪ これこそが彼女たちの強さ。
何度も壁にぶつかった
何度も挫折した
欅坂とともに楽曲さえ全て捨て去った
それでも立ち上がることを選択できたメンバーたち最高だ。

「破壊と再生」を繰り返してきたメンバーたち
心の小さな穴を大きくして全てを吐き出して、そして燃やしてしまおう。

お気づきかもしれないが、メンバーは全員が平手打ちされていた。
平手に打たれたと感じていた
平手に打たれながら歩いてきた気持ちだったである、が、
それは怒りだったり叱咤ではなかったということ。
実は平手は打ってなどなくその手で優しくみんなを包み込んでいたのである
それに気がついた時、21人いた1期生は半数ほどがいなくなっていた、まるで心の穴から隙間風が漏れていくように。
そして残ったもの達は再生の道を進む。

全てを燃やし灰とする
本当に全てを
そこから生まれてくるのは
もはや再生ではない
これは無からの創造なんだと


こんな強さを持つ1・2期生
そして「マモリビト」として櫻を継承すると力強く歌った3期生
本当に心強いです。
土生さんが卒業を発表し1期生の時間は少ないかもしれない。
でも2期生にはセンター経験者が5人いる。
3期生も順調に育ってるように見える。
欅坂でメンバーが抱えた心の隙間風はそれを肯定することで、グループの強さへと昇華したようだ。
新時代の櫻坂も「破壊と再生」「破壊と創造」を繰り返し、新しいものを見せていってほしい。

2023年発表の「桜月」「START OVER」「承認欲求」最高でした
年末に向け、歌番組、レコード大賞、紅白の出場もあるかもしれません。
これからの櫻坂46も楽しみです。

自分はアイドルグループにこんなにハマるとは思ってもいなかったです
櫻坂46って何かを持っているんですね。

小池さん、ゆっくり休んでまた戻ってきてほしいです。

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