小野正利作詞　柘植由秀作曲　笹路正徳編曲

・「君のためにできること」（フジテレビ系　1992／７／6～9／28）主題歌

　フジテレビ系月曜９時枠７月クールドラマ主題歌。いかにもヘビメタバンド出身らしい骨太な高音を聴かせた小野正利は、確かにヒット曲はこれ１曲ではあったが、アニソンの方に行ったり、ときどきものまね番組にも出たりしながら、現在もハイトーンシンガーのイメージを維持したままで、ボイストレーナーとして多くの歌手を手がけている。

　「君のためにできること」は吉田栄作唯一の月９主演作で、映画「ゴースト」の衣鉢を借りたラブストーリー。ストレートなファンタジー月９というのも異色であった。狂言回し役（映画ではウーピー・ゴールドバーグが演じていた）を岸田今日子が演じて異彩を放っていたが、ここで注目すべきはヒロイン役を演じた石田ゆり子であろう。

　まあ誤解を恐れずに言えば、これは石田ゆり子を見るドラマであった。以降現在に至るまでの30年間、テレビドラマや映画にほぼ切れ目なく出演しているだけでなく、スタジオジブリ作品では声優としてヒロインの声などを担当、ステージでも三谷幸喜作品などに出演、エッセイ集も数多く出版、近年では歌手活動もスタートするなどまさに八面六臂。年を経るに従い活動のフィールドを広げてその存在感を増し続け、今や同世代で最も共感を集める存在ともなった彼女だが、このころは妹・石田ひかりの陰に隠れた月のような存在だった。どこに行っても「お姉ちゃん」と言われ、それがとてもイヤだったと本人がのちに語っていた（同時期どこに行っても「お兄ちゃん」と言われイヤだったと言っていたのが当時の若花田、現在の花田虎上である）。