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Heart of Gold 孤独の旅

 40年も昔の話、アメリカ人の友人が、ギターを弾きながら
「ハート・オブ・ゴールド」という曲を歌って聞かせてくれました。
喉を細めて高めの声で歌うスタイルは、
ニール・ヤングそのものでした。
この歌があまりに好くて、すぐにレコード盤を買いに
行ったものでした。
この曲は、1972年Harvestというタイトルのアルバムの中に
あります。

 ニール・ヤングは、1995年にアメリカンロック歌手として
殿堂入りするほどの大物ロックミュージシャンです。        

 ヤングさんは1945年、カナダで生まれましたが、
活躍の場はアメリカでした。
アメリカ政府、アメリカ社会の強烈な御意見番でした。
ベトナム戦争に反対し、黒人公民権運動の弾圧に抵抗し、
湾岸戦争、イラク戦争に反対してブッシュ政権を非難しました。
まさに、武器を楽器に持ち替えて戦う戦士です。

 そのヤングさんが矛先を向けた先に綿花がありました。
ヤングさんは云います。
「コットン栽培に地球上でわずか5%の農地しか使っていないのに、
世界で使う殺虫剤の四分の一を撒いている。
化学農薬は土壌に滲みこんで汚染し、川の水を汚している。
灌漑用の水を大量に使い、染色などの加工の工程でも膨大な水を使い、
その量を足すと、なんと1枚のTシャツのために2,700リットルの
水を浪費している。これは即刻止めなくてはならない。
これからは、地球を守ることに声を張り上げ、行動してゆくことを誓う」

 ヤングさんは、ヨーロッパでのコンサートで、
観客にオーガニックコットン製のTシャツを配って
「地球環境のために、オーガニックコットンを着なくてはならない、
オーガニックコットン以外のコットンをボイコットしよう。
今後、自分のコンサートで売るTシャツもネットショップで売る商品も、
地球環境にダメージのある物は止めて、オーガニックな物に替えて行く」
と宣言しました。

 ヤングさんは、いくつかの環境運動の組織と協力を始め、
更に仲間のミュージシャン、ジャック・ホワイトやウイリー・ネルソン
といった大物歌手たちを巻き込んで運動を始めました。
農薬も遺伝子組み換えの種もボイコットして
「オーガニック」を広めて行くと主張しました。

 オーガニックコットンの普及活動をしてきた者として、
こんなに嬉しいことはありませんでした。
若い頃に聞き惚れたハート・オブ・ゴールドがこんな形で
縁を結ぶとは不思議な気がします。
ヤングさんのいう黄金の心とは、子々孫々のために
住みよい地球を維持してゆくというサスティナブルのことなんだと
勝手に解釈していい気持ちになっています。
 
I've been a miner for a heart of gold.
私は「黄金の心」を求めて掘り進める坑夫だと歌っています。

「黄金の心」は、優しい心、寛大な心の意味で、
人の真実を求めてどこへでも行くという気持ちが込められています。
歌詞はこんな感じです。
生きてる意味を知るためにこの身をささげてもいい                     だからずっと抗夫のように「黄金の心」を掘り進めている                「黄金の心」を探して年を重ねて行こう
ハリウッドに行ってみた レッドウッドにも行ってみた                    「黄金の心」を求めて海を渡ったこともある 
自分の心の中を彷徨ったこともある
人に「黄金の心」を探す力を授けられたこともある
そして年を重ねて老いてゆく 
わたしは優しい心を掘り当てる坑夫なのだ



 


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