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指先の超精度

家内が「日が落ちたら洗濯物、取り込んでね」と言い残して出掛けた。
午後から雲が出てきて湿気がちになったので、
早めにベランダに出て洗濯物を部屋に持ち込んだ。
案の定、触ってみるとまだ湿った感じがして、そのまま部屋に干した。
洗濯物に触った時、僅かな水分を指が感じる事って
凄いことだと改めて感動した。
 
熱い冷たい、堅い柔らかい、それからツルツル、ザラザラ、
ヌルヌル、フワフワの質感・・・
更にそれを主観的な感覚として捉えることをクオリアと呼ぶらしい。
指先のセンサーから大脳に伝わり、触覚担当の部位が瞬時に
知覚にまとめ上げるという。
 
ペンフィールドという学者が感覚の度合いで人体を表現してみた。
すると、手と口が異様に大きくなったホムンクルス人形となった。
 
5本の指と手のひらの面積は全身の10%程度だが、
大脳の30%以上の機能を使っている。
だから指先を使う職人さんやアーティストはボケないのだろう。
 
KTHというストックホルムの研究所で指先の感覚の精度を調べた。
結果はなんと13ナノメートルのデコボコを感知できたという。
これはとんでもない精度である。
地球の直径が約14,000km、
1ナノは10億分の1メートルだから、1,4cm。
だから、13ナノは、僅か18,2cmということになる。
地球と大きめのティーポットの比とは、にわかに信じられない。
 
こんなに高い精度で普段の生活をしているのかと、
啄木じゃないが、じっと手を見たのである。

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