親友が子どもを産んだ

親友が子どもを産んだ。


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この親友である。彼女はゼクシィ縁結びで真剣に婚活をし、誠実な年上の男性と出会い、メッセージを重ねて相互理解を深め、三回目のデートで付き合い、すぐに同棲し、結婚し、子どもを授かった。ゼクシィ縁結びは女性も月4000円弱お金がかかるらしい。彼女は本気だった。

休職中で何もかもフレキシブルなわたしは、彼女が希望する日にち・寂しいという時間帯に合わせ産後入院している病院に坂角総本舗の煎餅と彼女の好物である新大久保で買った韓国海苔を大量に抱え会いに行った。

産後一時的に歩けなくなり延泊したという二人部屋の病室には彼女しかいなかった。入院着姿の彼女はいつもよりも薄かった。中学生の頃からだが、眉毛もなかった。ただ、幸せそうな色というか、雰囲気は濃かった。他愛もない話をしたあと、赤ちゃんに触らせてもらった。「わたしもびっくりしたんだけどさ〜赤ん坊って肌と思えない感触だよ!足触って」と彼女に促されるまま信じられないくらい感触がパンパンでツヤツヤの足をおそるおそるつついた。なんともいえない尊い感触に涙が出た。わたしは今、何者でもなくて、誠実の対極にいるオトコに惑わされ、さらには医者にこれを飲む期間は妊娠を避けてほしいと言われた薬を服用している。自分には到底できえない、ありえない現実であった。

夕方には旦那さんが来た。早上がりして毎日彼女と赤ん坊に会いに来るらしい。その姿さえ眩しくて目をそらしたくなった。彼女が少しの間病室を出て行ったとき、旦那さんと二人になった。わたしはその時赤ん坊を抱っこさせてもらっていて、旦那さんは赤ん坊のほおをつつきながら雑談した。結構近い距離で。幸せに子どもを産んだ疑似体験。その時の赤ん坊に向ける旦那さんの顔が優しすぎて、自分にもこんな瞬間っていつか来るのかな、とぼんやりと思った。いつか来てほしいな、と思った。生まれて初めて、思った。そんな情緒をかき消すように「生まれて数日なのにもう歯が生えているように見えます!」と言い張り「え、そんなわけないですよ」と旦那さんをドン引きさせた。

わたしは自分の人生、かなり受け身で生きてきたように思う。

流れるまま、流されるまま、主にぽーっと日々を消費してきた。誘われたら行ったり、行かなかったり。告白されれば、付き合ったり、付き合わなかったり。

それでもだいたいはうまく行ってきたのが幸か不幸か自分の目を曇らせる原因だったのかもしれないね。

自分の意思で、自分を大切にして、自分の人生の責任を自分で取る。

自分が動かなければ、自分の本当の満足は得られない。


他人にどう思われても構わない。わたしはやりたいようにやる。

休職していろいろな人と会う中でようやくそう思えるようになったよ。

革命元年を生きるぞ〜


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