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ヴィンテージジュエリーの世界的評価

「どうしてガラスのジュエリーが何万円もするの?」と、
ご質問を受けることがあります。

アンティーク&ヴィンテージジュエリーの世界では、
いわゆるハイジュエリー(ダイヤモンドやゴールド)よりも、
高い評価があり、
1点数百万円を超えるガラスのヴィンテージジュエリーもあります。
美術館に展示されていたり、国際的なオークションにかけられたり、世界中にコレクターがいたり、ジュエリー本に掲載されていたりと、
美術品のような扱いを受けているものも。

1900年代のヴィンテージジュエリー(100年以内に制作されたもの)を主に、
話を進めます。
1900年代になり、ジュエリー工房やシルバー工房、金細工の職人だった人たちが、会社を立ち上げ、ブランドを作り、
コスチュームジュエリー(ガラスのジュエリー)を本格的に展開し始めます。
こうして、ブランド、デザイナーという価値が生まれました。

彼らは、
工房として、代々続くジュエリー制作の伝統を引き継いだり、
カルティエ、ヴァンクリーフ&アーペルなどで働いた経験と技術を生かし、
コスチュームジュエリーを制作し始めます。
高価なダイヤモンドやエメラルドをたくさん使ったり、
大きなストーンをなかなか使えない、
大きな作品を制作できないという多くの制限がハイジュエリーのデザインにはありましたが、
ガラスならば…どんな大きなジュエリーでも、制限なく、デザインできる!

デザイナーたちは、コスチュームジュエリーでデザインの自由を手にしたのです。

こうして、ハイジュエリーよりも安価で、カラフルで大きなガラスの入った、
コスチュームジュエリーが次々と誕生します。
素材はガラス!
だけど、デザイナーやブランド、職人たちは、
プライドを持ち、ハイジュエリーに負けない、ハイジュエリーを超えるジュエリーを!という情熱を持っていました。

その情熱は、ハイジュエリーを超える様々な名品を生みました。
ジュエリーの歴史に永遠に刻まれるもの、その後のジュエリーデザインに大きな影響を与えたもの、、
ジュエリー史だけでなく、ファッション史に残るものとして、
高い評価を受け、美術館に保管されたり、オークションにかけられたりしています。

「ガラスだから価値がない。金だから価値がある。」
そういった概念を超えるジュエリーを制作した、才能あるデザイナーたちの情熱と、魂の結晶がコスチュームジュエリーなのです。
そして、その素晴らしいジュエリーたちが、世界的にちゃんと評価されている。

それは、ジュエリーバイヤーとして仕事をする私にとっても、
本当に嬉しいことなのです。

一つ100円で購入できる茶碗もあれば、
一つ数百万の価値の付く茶碗もある。
どんな世界にも、こういったことはありますが、
それはヴィンテージコスチュームジュエリーの世界も同じなのです。

昨年、ロンドンでクリスチャンディオール展が開催され、
ディオール本人がデザインした洋服と共に、
貴重なディオールのコスチュームジュエリーが数多く展示されました。
1950〜60年代のディオールのコスチュームジュエリーには、
名品が多く、ディオール展の以前から、年々その価値は上昇していました。
しかし、ディオール展がとても好評だった影響があり、
明らかにその価値と評価がより高くなりました。

こうした状況によっても、より入手が困難になったり、
価値が高騰したりもします。

そして、価値や評価の高いジュエリーは、
それだけ多くの人を魅了する力があります。
見ているだけで幸せ…ただ、ただ持っていたい。
アメリカやヨーロッパでは、絵画を買うような感覚でジュエリーを集める
男性のコレクターもいるほどです。

私もまた、バイヤーという仕事をしながら、
コスチュームジュエリーに魅了された一人で、
コレクターでもあります。

これからも、奥深いコスチュームジュエリーの魅力を
お伝えできたらと思います。

http://meltingpot-shop.com




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