たからづか、との出会い ~序章その1~

まえがき本文は2018年当時、別アプリに記載していたものを転記したものです。大切な思い出として、一部編集しここに残します。

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たからづか?

宝塚といえば、宝塚歌劇団。
子供の頃からそれくらいは知っていた。
長い年月をかけて、少しずつ少しずつ知識をつけ、興味を持ち、そして自らの偏見を払拭しながら“たからづか”は近づいてきていた。

地元の同世代の子が宝塚音楽学校に入学すれば、新聞にも載っていたし、たとえば、天海祐希とか扇千景も所属していたとかその程度のことは知っていた。
「東の東大、西の宝塚」、と周りの大人もなんとなく教えてくれてた。

阪神大震災の復興何周年かの特別ドラマで、藤原のりか・木村佳乃・米倉涼子が男役を演じているドラマを両親が見ているのを横目でみてたことがあって、独特な化粧と黒燕尾にヒールという姿、そしてそのドラマの中で主役の藤原のりかが「トップスターはショートケーキのイチゴやねん」(飾りだけどみんなが欲しがるといった意味だった)みたいなセリフを言っていたのを子供心になんとなく覚えてる。

とにかくそれ以来、 たからづか(宝塚歌劇団)って、頭がよくて、高身長のスレンダー美人で、運動神経抜群で、とにかく何でもできるスーパーウーマンが所属している頂上集団という子供ながら抱いたイメージと、一方でひねくれた思春期には、男の恰好をして極めるとかいいながら、ヒールの高い靴を履いて赤い口紅を塗っている、男装の麗人というらしいちょっと理解しがたい美学を持った世界…「私とは交わる事の無い世界」と思っておりました。

全くの無縁にすごしていたある夜。勉強しながら時折眺めていたテレビ番組に“元トップスター”という肩書をつけて、2人の女性が出演していました。
(真琴つばささん・安蘭けいさんでした。)
生意気な私は、宝塚って何人元トップいるのよ、なんて思いながらも、「目にライトを入れ輝かせる事が重要で、目が悪い方が素敵だと思ってライトばかりみてた」と、淡々とそして面白おかしく話すのを聴いて、知らない世界に興味をひかれ手を止めました。

そんな中、真琴さんが「在団中下級生に言われた言葉で心に残っていることで“顔晴ってください”と言われたことがとても印象的だった」と熱弁をふるっていました。
「頑張ることは宝塚では皆が当たり前にしていること、だからこそ晴れやかな顔をしてくださいということだと下級生に教えてもらった」と。

目を輝かせてそう話しているのを見て、“なんてすばらしい理念の根付いたところなのだろう”と衝撃を受けました。
女の園で育った訳でもない私ですが、女子の先輩はとにかく恐ろしかった学生時代を過ごしていたので、後輩が先輩に声をかける事もその言葉を後々まで大切に持っていられるなんて信じられなかったんです。
そして感動すると同時に、こういう人たちのつくる“たからづか”というものを一度は見てみたいなと強烈に思いました。

とはいえ、子供がそう易々と叶えられる場所に住んでいる訳でもなく、熱烈に両親にお願いするでもなく…「一生に一度はみてみたいね☺️」という会話のあと、すぐにまた遠い記憶になってしまいました。

でもそこで終わらなかった。


数年経ったある日、私にたからづかを垣間見せてもらえるチャンスが巡ってきました。
2014年1月。スマスマです。
初めて見る現役タカラジェンヌという100人もの集団。5組あることもはじめて知りました。昔ドラマで見かけた「男装の麗人」や、堅物スーパーウーマンという偏見をまだ持っていましたが、意外にもご本人たちは真琴さんや安蘭さんのようにフランクでおもしろい人が沢山いるんだなと言う事や、短髪に涼し気な目元の女性たちが沢山いて、美の基準はそれぞれ活躍する場所で違うのだなと関心していました。

そして間髪入れず、その春NHKで放送された番組「トップ伝説」では宝塚の序列・スターシステムというものを知りました。バックステージですら女性とは思えない立ち居振る舞い、低い声や本物の宝塚舞台化粧にもとにかく驚かされました。
稽古の最中娘役が男役の足元にかしずきお伺いを立てる…。
男役がトップスターに深々と頭を下げる…。
舞台稽古も大変興味深く、「こういう世界なんだ」と。
そしてトップスターとそのファンの姿を見ました。

全てがはじめて見る事知る事で、面白くはあったものの「へー。やっぱり別世界だな」と完結しかけていました。

ここで終われば今の私も趣味はないままだったんですけどね!

ふと、好奇心が湧いてしまったのです。

宝塚の化粧をよく観察して、普段仕様にしたら私の顔面多少は華やかな立体顔になるんじゃないか!?と思いついてしまったが最後。

(当時、同期も先輩もみんなどえらい美人揃いで、大きな目にピシッと揃った白い歯は標準装備。加えてマネキンかな?ってくらい鼻筋が通ってたり、カラコンだよね?ってくらい綺麗な鳶色の目を持ってたり、エクステ何本盛りってくらい綺麗な自睫毛の子ばかりで完全に自分ゆるキャラ枠だ、とコンプレックスをもってましたので、十分すぎる動機だったんです。)

とりあえず散々テレビ見たのに面白い!で終わってしまって、現役の方々の名前を全く覚えていなくて。

結局ちゃんと覚えていたのは天海祐希さんだけ(笑)

とにかく天海さんを調べた。そして天海さんを調べているうちに連鎖的にあちこちつながってしまい……

2本の強烈なラインができた。

①天海さん→涼風さん→「LOST ANGEL」→エリザベート→明日海りおさん・望海風斗さん

②天海さん→ロミオとジュリエット(古典)→ロミオとジュリエット(星組初演)

特に②が強烈だった。

①はトートの人舞台化粧きれい!!しかも、「天海さんもそんなことある?」な望海さんが性格が可愛らしくて、芦名星に似てる美人さん!好きかも!となりました。
当時発売して間もなかった2014年花組エリザベートのBluRayをプレゼントしてもらい大満足でした。劇場まで行かなくってもこんなふうに見られるなら、ひと月に1、2本なにかしらBluRayを買ってこんな風に楽しめるのも趣味としていいな、と。

が、

②が厄介だった。某動画サイトでたまたま行き着き一度見たきりの<ロミオとジュリエット>という演目をもう一度見たい。これもBluRayを買えば何度でも見れる!完璧な作戦(?)だ。公演名を調べると4種類もあることがわかったけれど、自分が見たのがどれだかわからなかった!!完璧、じゃない!!!

仕方ないから評判が良いやつを1枚だけ買おう。
サンプル音源だと音月桂さんの声が好きだから雪組のにしようか…?
月組なら役替わりなんだお得だな?

いろんな方のブログを読んでみたところ、ほとんどの宝塚ファンには贔屓というお気に入りがいるということ、それゆえ同じ作品をフラットな目線で比較できる人はいない、ということがわかりました(笑)。
そして自分がみたのが星組の初演だったということもわかりました。

なのに、迷いに迷って購入したのは2013年星組公演。

でも決め手もちゃんと覚えてる。
「あのマーキューシオの人の別の2役がおさめられているから。」

私は知らぬ間に沼の淵に立っていたのでした。

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