見出し画像

had better

優しい脅しが苦手である。

いたたまれない気持ちになり、逃げ出したくなる。

「そっか~。まあでも〇〇しておいた方があなたの為にはなると思うけどねぇ。」

「まあそれで良いんじゃない?俺なら絶対こっちを選ぶけど。」

「うんうん。まあもう少し経験積んだら分かるようになるよ。」


自分の意見が相手とマッチングしなかった際に吐かれる、思いやりの皮を被った優しい脅し。

子供の頃は、「絶対違う!!アホー!!アホー!!この、わからず屋ー!!」と自分の意見が通らなかった際にこねていたダダが、大人になり、社会性を身に着け、拗らせる。

厄介なのは、当人は本気で相手を思いやっているつもり、というところだろう。

これらの、相手に干渉する言葉を一切、使わない方が良いというわけではない。
自分も相手に「こうした方が良いとは思う。」というニュアンスの言葉を使うことがある。

しかし、その言葉に対し責任を担保する。
相手の意見を聞いたうえで、
この先自分が相手と関わるうえで、
本当に相手に傷ついて欲しくない時や、
自分に影響がふりかかりそうな時、

相手の選択の先を共に見よう(何ならそこに同行しよう)と思う場合である。


自分と他者は違う。

これは当たり前の認識なのに、"思いやり"という思い込みは、時としてノック無しにリビングルームに上がり込み模様替えを要求する、偽の免罪符になる。

口出ししていいのはチャイムを鳴らし、家主に招き入れられ、ちゃんと椅子に腰かけ対話し、家主から問われた者だけである。

相手と意見を交わし、時に熱くなってしまう事は仕方がない。

優しい常識人のふりをして、自分が理解できない事や、認めたくない事に対し、聞こえだけは柔らかな捨て台詞を吐くのは、
砂浴びして、更には毛づくろいで羽を撒き散らし、ついでに糞をしながら立つ鳥である。

「キー!!このわからず屋!!地獄へ堕ちろ!!」

と言われた方がまだスッキリするし、愛おしい。


どうせ関わる必要のない相手から優しい脅しを受けた時は、
まっすぐ相手の眼を見て。

「勝手やん。」

と伝えましょう。


画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?